土木工事 業務改善Navi
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梅雨の工事対策|雨天中止の基準と工程の組み方

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梅雨の工事対策|雨天中止の基準と工程の組み方

梅雨の工事対策は、「雨天時の作業中止の基準を先に決める」「雨で作業できない日を見込んだ工程にする」「排水と養生で再開を早める」の3つが柱です。 中止の法令上の基準は労働安全衛生規則(安衛則)にあり、大雨などの悪天候で危険が予想されるときは高さ2m以上の作業などを中止しなければなりません。厚生労働省の解釈例規では大雨=1回の降雨量が50mm以上とされ、大雨の注意報・警報が出て悪天候が予想される場合も含みます。

工程については、国の「工期に関する基準」が降雨日・降雪日(雨休率の設定)を考慮して工期を設定するよう求めており、国土交通省の土木工事では施工に必要な実日数に雨休率を乗じて降雨等の日数を見込みます。本記事では、工種ごとの降雨時の扱い(土木工事共通仕様書)と、梅雨前に確認するチェックリストをまとめます。

梅雨対策の全体像(一覧)

対策内容根拠・参考
1. 作業中止の基準を決める悪天候の定義と中止する作業、判断者を施工計画書に定める安衛則 第522条ほか、解釈例規
2. 工種ごとの降雨時の扱いを確認するコンクリート打込み・舗装・鉄筋の降雨時の規定を押さえる土木工事共通仕様書
3. 雨休率を見込んだ工程を組む雨に弱い作業を梅雨前に前倒しし、降雨日を見込む工期に関する基準
4. 排水計画と養生仮設排水路・釜場・ポンプ・シート養生を梅雨前に整える安衛則 第534条、共通仕様書
5. 雨天時の代替作業書類整理・安全教育・機械整備などを用意する現場の段取り
6. 安全管理の強化大雨の後の点検、漏電対策、熱中症対策安衛則 第358条・第373条・第333条・第612条の2

梅雨が土木工事に与える影響

工種主な影響
土工事(掘削・盛土)地盤の軟弱化、法面の崩壊、搬出土の含水比(土に含まれる水の割合のこと)の上昇
コンクリート工事打込み中の雨水の混入、表面の荒れ、養生条件の悪化
舗装工事路盤の含水比の上昇、混合物の温度低下、施工できない日の増加
鉄筋工事屋外保管中の錆、ガス圧接ができない日の発生
測量視界不良、機器への水濡れ
安全管理足元の滑り、地山の崩壊、仮設電気の漏電、梅雨の晴れ間の熱中症

対策(1) 雨天時の作業中止の基準を決める

法令で中止が義務づけられている作業

安衛則は、強風・大雨・大雪等の悪天候のため作業の実施について危険が予想されるときは、次の作業を行わせてはならないと定めています。「何mm降ったら自動的に中止」という書き方ではない点に注意してください。

対象となる作業根拠
高さ2m以上の箇所での作業安衛則 第522条
つり足場・張出し足場・高さ2m以上の足場の組立て・解体・変更安衛則 第564条
型枠支保工の組立て・解体安衛則 第245条
クレーン・移動式クレーンに係る作業(強風のとき)クレーン等安全規則 第31条の2、第74条の3

悪天候の定義(解釈例規)

用語定義
大雨1回の降雨量が50mm以上の降雨
強風10分間の平均風速が毎秒10m以上の風
大雪1回の降雪量が25cm以上の降雪
「悪天候のため」の範囲実際に悪天候となった場合のほか、気象注意報・警報が発せられ悪天候となることが予想される場合を含む

大雨の「50mm」は1時間あたりの雨量ではなく、1回の降雨量です。これらの数値は台風時と同じ基準で、工事現場・建設現場の台風対策でも詳しく解説しています。

自社基準は施工計画書に書いておく

法令の基準は「これを超えたら必ず中止」という最低限の線です。梅雨時期は「降っているが作業できるか」で迷う場面が増えるため、次の項目を施工計画書に定め、朝礼で共有しておきます。土木工事安全施工技術指針も、気象庁などの防災気象情報等を踏まえて作業の中止を判断するよう求めています。

  • 中止を判断する人(現場代理人など)と判断の時刻(前日夕方・当日朝など)
  • 判断に使う情報(大雨の注意報・警報、現場周辺の雨量予報、河川水位)
  • 工種ごとの中止・再開の条件(次の対策(2)の規定を反映する)
  • 雷が予想されるときの屋外作業の扱い(法令に数値の定めはないため、自社の基準として定める)

対策(2) 工種ごとの降雨時の扱いを確認する

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)には、降雨時の施工について次の規定があります。発注者の特記仕様書に別の定めがあれば、それに従います。

工種降雨時の扱い共通仕様書の条項
コンクリートの打込み練混ぜから打ち終わるまでの間、コンクリートを日光・風雨等から保護する。打込み中に表面にブリーディング水(コンクリート表面に浮き出る水のこと)があれば取り除いてから打つ第1編 1-3-6-4 打設
コンクリートの養生打込み後の一定期間、硬化に必要な温度・湿潤状態に保ち、有害な作用の影響を受けないよう養生する第1編 1-3-6-9 養生
鉄筋の貯蔵直接地表に置かず倉庫内に貯蔵する。屋外に貯蔵する場合はシート等で覆う第1編 1-3-7-2 貯蔵
鉄筋のガス圧接降雪雨または強風等の時は作業をしない(防風対策等で適切な作業ができることを確認した場合を除く)第1編 1-3-7-6 ガス圧接
セメント・石灰安定処理の路盤監督職員が承諾した場合以外は、気温5℃以下のとき及び雨天時に施工しない第3編 3-2-6-7 アスファルト舗装工
加熱アスファルト安定処理雨が降り出したら敷均しを中止し、敷均した混合物は速やかに締め固めて仕上げる第3編 3-2-6-7 アスファルト舗装工
コンクリート舗装舗設中に雨が降ってきたら直ちに作業を中止する第3編 3-2-6-12 コンクリート舗装工
防水層降雨直後は防水層の施工を行わない第3編 3-2-6-5 舗装準備工

梅雨時期のコンクリート打設は、打設日を天気予報で選び、打設中の降雨に備えてシートや雨よけを用意しておきます。品質管理全体は土木工事のコンクリート品質管理、アスファルト舗装の温度と施工条件はアスファルト温度管理基準一覧をご覧ください。

対策(3) 雨休率を見込んだ工程を組む

工期に関する基準の考え方

中央建設業審議会の「工期に関する基準」は、工期の設定・見積りで考慮すべき自然要因として、降雨日・降雪日(雨休率の設定等)、猛暑日(WBGT値が31以上の場合の不稼働等)、河川の出水期における作業制限などを挙げています。また、国土交通省発注の土木工事では、施工に必要な実日数に雨休率を乗じた日数を見込み、雨休率は地域ごとの数値のほか0.7を用いることもできるとしています。

雨休率は、休日(土日・祝日・年末年始・夏季休暇)と降雨・降雪等による作業不能日の年間の発生率で、実働日数に対する割合として表します。長野県・島根県の工期設定の資料では、降雨・降雪等による作業不能日を「1日の降雨・降雪量が10mm以上の日」として数えています。発注者ごとに値や数え方が異なるため、特記仕様書で確認してください。

計算例:雨休率で作業所要日数を見込む

長野県の工期設定方法の式(作業別の雨休日数=作業別の実働日数×雨休率)に、工期に関する基準が示す雨休率0.7を当てはめた例です。

項目計算日数
作業別の実働日数(作業に必要な稼働日数)工程表から算出60日
雨休日数(休日+降雨等の作業不能日)60日 × 0.742日
作業所要日数60日 + 42日102日

雨休日数には休日も含まれる点に注意してください。雨休率は年間の発生率なので、雨の続く梅雨期に雨に弱い作業が重なると見込みより遅れることがあります。雨に弱い作業は梅雨入り前に終える工程にしておくと、遅れを吸収しやすくなります。工程表の作り方は施工計画書に添付する工程表の作り方で解説しています。

梅雨入り前に前倒ししたい作業

優先度作業内容理由
高土工事(掘削・盛土)降雨で地盤が軟弱化し、含水比の管理が難しくなる
高路盤工安定処理路盤は雨天時に施工できない(共通仕様書)
中法面保護工法面が雨で崩れる前に保護する
中コンクリート打設打設中は風雨から保護する必要があり、打設日が天候に左右される
低屋内・覆いの下でできる作業天候の影響が比較的少ない

梅雨入り・梅雨明けの時期は地域ごとに異なります。気象庁は地域ごとに梅雨入り・梅雨明けの速報を発表し、季節が終わった後に実際の天候経過を踏まえて確定値を公表しています。年間工程を組むときは、現場の地域の平年値を確認しておきます。

工期に影響が出たら協議する

天候不良などで工期内に完成できない場合の工期変更は、工事請負契約書と共通仕様書(1-1-1-19 工期変更)に沿って監督職員と協議します。降雨で作業を中止した日は、工事日報と写真で記録を残しておくと協議の根拠になります。

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対策(4) 排水計画と養生

現場内の水処理を適切に行うことで、雨天後の早期再開が可能になります。安衛則第534条は、地山の崩壊・土石の落下の危険を防止するため、その原因となる雨水・地下水等を排除するよう求めています。

排水設備の種類と用途

設備用途設置のタイミング
仮設排水路現場内の雨水を集水し排水掘削開始前
釜場(集水桝)掘削底面の水を集めてポンプで排水掘削中
水中ポンプ溜まった水を強制排水常時(降雨前に動作確認)
土のう仮設的な止水・誘導降雨予報時
シート養生法面や盛土面の浸水防止降雨前

排水計画のポイント

(1) 降雨量の想定を、気象庁の過去の気象データで確認する

(2) 排水先(放流先)を確認し、必要な関係機関との協議・届出を行う

(3) 水中ポンプは予備を含めて確保し、降雨前に動作を確認する

(4) 排水路の勾配を確保し、滞水しないようにする

(5) 一般の交通に使う歩道・車道は、雨天でも通行に支障がないよう排水を良好にしておく(建設工事公衆災害防止対策要綱)

排水施設そのものの施工手順は排水工事の施工方法を、法面の保護は法面保護工の種類と選定方法をご覧ください。

対策(5) 雨天時の代替作業を確保する

雨天で屋外作業ができない日でも、現場の進捗を止めないために代替作業を事前に計画しておきます。

雨天時に実施可能な作業内容
書類整理施工記録、写真帳、品質管理資料の整理
安全教育新規入場者教育、KY活動(危険予知活動のこと)、安全ビデオの視聴
材料検収倉庫内での材料確認、品質証明書の照合
機械整備建設機械の点検・メンテナンス
工程会議今後の工程調整、関係者との打ち合わせ
屋内作業鉄筋加工(加工場がある場合)、覆いの下での型枠加工

対策(6) 安全管理の強化

梅雨時期は地山の崩壊や漏電、晴れ間の熱中症など、雨に関連する労働災害のリスクが高まります。法令で定められた点検と措置を、梅雨入り前に確認しておきます。

リスク求められる措置根拠
地山の崩壊・土石の落下明り掘削の作業箇所と周辺の地山を、その日の作業開始前と大雨の後に点検する安衛則 第358条
土止め支保工の変状大雨等で地山が急激に軟弱化するおそれのある事態が生じた後に点検し、異常があれば補強・補修する安衛則 第373条
雨水による崩壊地山の崩壊等の原因となる雨水・地下水等を排除する安衛則 第534条
漏電による感電水等で湿潤している場所で使う移動式・可搬式の電動機械器具には感電防止用漏電遮断装置を接続する安衛則 第333条
熱中症熱中症のおそれのある作業では、報告体制と悪化防止の措置・手順を定めて作業者に周知する安衛則 第612条の2
滑り・転倒足場板・通路の滑り止め、滑りにくい安全靴現場の安全対策
増水河川近接工事では水位の情報を確認し、避難経路を周知する土木工事安全施工技術指針

掘削時の崩壊防止は土木工事の土砂崩壊事故を防ぐ、河川近接工事の出水対策は河川工事の水害対策と出水時の安全管理、全体の計画は安全衛生計画の詳細で解説しています。

梅雨前のチェックリスト(印刷用)

土木工事 業務改善Naviが、上記の法令・共通仕様書・工期の基準を「いつ・何を確認するか」の順に並べたチェックリストです。

時期チェック項目根拠・参考
年間工程の作成時□ 雨休率を見込み、雨に弱い作業を梅雨期に重ねない工程にした工期に関する基準、特記仕様書
年間工程の作成時□ 現場の地域の梅雨入り・梅雨明けの平年値を確認した気象庁
梅雨入り前□ 施工計画書に悪天候時の中止基準と判断者を定めた安衛則 第522条等
梅雨入り前□ 工種ごとの降雨時の扱い(打込み・舗装・圧接)を作業員に周知した共通仕様書
梅雨入り前□ 仮設排水路・釜場・水中ポンプ(予備含む)を準備し、動作を確認した安衛則 第534条
梅雨入り前□ 屋外の鉄筋・資材をシートで覆う準備をした共通仕様書 1-3-7-2
梅雨入り前□ 湿潤箇所で使う電動工具の漏電遮断装置を確認した安衛則 第333条
梅雨入り前□ 熱中症の報告体制と措置の手順を決めて周知した安衛則 第612条の2
梅雨期間中□ 前日・当日朝に注意報・警報と雨量予報を確認して作業可否を判断した安衛則 第522条等、安全施工技術指針
梅雨期間中□ 中止日を工事日報と写真で記録した工期変更の協議の根拠
大雨の後□ 明り掘削の地山を点検した安衛則 第358条
大雨の後□ 土止め支保工を点検した安衛則 第373条
梅雨明け後□ 法面・盛土を点検し、遅れた工程の回復計画を作った共通仕様書 1-1-1-19(工期変更は協議)

よくある質問

Q. 雨の日に工事を中止する基準は何mmですか。 A. 安衛則の「大雨」は、解釈例規で1回の降雨量が50mm以上の降雨とされています。大雨で危険が予想されるときは、高さ2m以上の作業や足場・型枠支保工の組立て等を中止しなければなりません。大雨の注意報・警報が出て悪天候が予想される場合も含みます。これより厳しい基準を自社で定めることもできます。

Q. 小雨でもコンクリートは打設できますか。 A. 共通仕様書は、練混ぜから打ち終わるまでの間、コンクリートを日光・風雨等から保護するよう定めています。打設するなら雨よけ等で保護できることが前提で、表面にブリーディング水があれば取り除いてから打ちます。保護できない雨量なら打設日を変えるのが基本です。発注者の特記仕様書の定めも確認してください。

Q. 雨休率とは何ですか。 A. 休日と降雨・降雪等による作業不能日の年間の発生率で、実働日数に対する割合です。国の「工期に関する基準」では、国土交通省の土木工事は施工に必要な実日数に雨休率を乗じて日数を見込み、雨休率は地域ごとの数値のほか0.7も使えるとしています。

Q. 梅雨で工期が遅れたら工期延長できますか。 A. 天候不良などで工期内に完成できない場合は、工事請負契約書と共通仕様書(1-1-1-19 工期変更)に沿って監督職員と協議します。中止した日を日報と写真で記録しておくことが大切です。

まとめ

  • 中止の基準:大雨(1回の降雨量50mm以上)などの悪天候で危険が予想されるときは、高さ2m以上の作業等を中止する。注意報・警報で悪天候が予想される場合も含む(安衛則・解釈例規)
  • 工種ごとの規定:コンクリートは打ち終わるまで風雨から保護、安定処理路盤は雨天時に施工しない、コンクリート舗装は雨が降ってきたら中止、ガス圧接は降雪雨時に作業しない(共通仕様書)
  • 工程:雨休率で降雨等の日数を見込み、雨に弱い作業は梅雨前に前倒しする(工期に関する基準)
  • 安全:大雨の後は地山と土止め支保工を点検し、漏電・熱中症の対策も梅雨前に整える

出典・参考

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