土木工事 業務改善Navi
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土木の若手育成計画|施工管理の新人を育てる3年ロードマップ

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土木の若手育成計画|施工管理の新人を育てる3年ロードマップ

土木の若手育成は、「いつまでに何ができるようになるか」を時期ごとに決めた育成計画(ロードマップ)をつくり、指導担当者・スキルチェック表・定期面談の3つで回すのが基本です。 施工管理の新人であれば、入社から3年ほどを基礎期・実践期・応用期・自立期に分け、安全と現場の基本から、測量・出来形管理・品質管理、協力会社や発注者との調整へと段階的に任せていきます。令和6年度から施工管理技術検定の第一次検定は学歴・実務経験を問わず、2級は17歳以上、1級は19歳以上(受検年度末時点)で受けられるようになったため、入社1〜2年目から資格取得を計画に組み込めます。

本記事では、4つの時期ごとに教える項目と指導のポイント、新しい受検資格に合わせた資格取得の段取り、運用に使うスキルチェック表と面談の頻度を整理します。若手が辞めない職場づくり(離職率の実態や労働環境・処遇の見直し)は建設業の若手の離職率と定着の取り組みで解説しています。

なぜ育成ロードマップが必要なのか

土木工事の現場では「見て覚えろ」という育成が長く続いてきました。このやり方では、指導者によって教える内容と順番がばらつき、若手は「何を目標にすればいいか分からない」「いつまでも任せてもらえない」と感じやすくなります。

育成ロードマップをつくると、次の効果があります。

  • 指導する側とされる側が、同じ到達目標を共有できる
  • 教え漏れや、雑用ばかりが続く状態に気づける
  • 資格取得の時期を現場の配置計画と合わせて考えられる
  • 若手が自分の成長を確かめられ、意欲を保ちやすい

3年間の育成ロードマップ(全体像)

時期位置づけ主な到達目標資格の目安
入社〜3か月基礎期安全意識と現場の基本が身につく必要な特別教育・技能講習の受講
3か月〜1年実践期測量・数量計算・日報・書類作成を自分でできる第一次検定に向けた学習開始
1年〜2年応用期小規模な工種の施工管理を担当できる第一次検定の受検・合格(技士補)
2年〜3年自立期上司の指導のもとで現場全体を管理できる第二次検定に向けた実務経験の積み上げ

到達の時期は、本人の経験や会社の工事の種類によって前後します。表は一つの型として、自社の工事に合わせて項目と時期を調整してください。

基礎期(入社〜3か月):安全と現場の基本

この時期は、安全意識の定着と現場の基本を覚えることが最優先です。

習得項目内容達成の目安
安全教育新規入場者教育、KY活動、保護具の使い方、危険箇所の認識1か月目
現場のルール朝礼の流れ、報告・連絡・相談の基本、服装・マナー1か月目
工具・機械の名称主要な工具・建設機械の名前と用途2か月目
測量の補助レベル・トータルステーションの据付補助、スタッフ持ち3か月目
写真撮影の基本黒板の書き方、撮影の向き、整理の仕方3か月目

新規入場者教育の進め方は新規入場者教育の内容と進め方、担当する作業に必要な特別教育は特別教育の一覧を参照してください。

指導のポイント

  • 終業時に短い振り返りの時間をとる
  • 「なぜそうするのか」を必ず説明する(理由が分かると覚えが早い)
  • 小さな成功を言葉で認める

実践期(3か月〜1年):測量・数量・書類を自分でこなす

基礎が身についたら、実務を少しずつ任せていきます。

習得項目内容達成の目安
日報の作成工事日報の記入、出来形の記録4か月目
測量の実施レベル測量を一人で行う、丁張りの設置補助6か月目
数量計算土量計算、面積計算の基本6か月目
図面の読み方平面図・縦断図・横断図の基本的な読み方8か月目
品質管理の補助土の締固め試験の補助、コンクリートの受入検査の補助10か月目
安全書類の作成作業員名簿、新規入場者教育の記録12か月目

指導のポイント

  • 「一緒にやる → 見守る → 任せる」の3段階で進める
  • 失敗を責めず、原因と対策を一緒に考える
  • 週1回は1対1で困りごとを聞く

測量の基礎を体系的に身につけたい若手には、測量士補の取得も選択肢になります。資格の違いは測量士と測量士補の違いで解説しています。

応用期(1年〜2年):小規模な工種を任せる

小規模な工種を任せ、管理業務の基本を学ぶ時期です。

習得項目内容達成の目安
小規模な工種の担当側溝工・舗装工など比較的単純な工種の施工管理14か月目
協力会社との打合せ作業内容の伝達、進捗の確認16か月目
出来形管理規格値の確認、出来形管理図表の作成18か月目
原価管理の基本日々の出来高と投入原価の記録20か月目
第一次検定の受検2級または1級の土木施工管理技術検定 第一次検定に合格し、技士補になる受検する年度

指導のポイント

  • 「任せる」と決めたら、途中で口を出しすぎない
  • ただし安全に関わることはその場で指摘する
  • 第一次検定の学習時間を会社として確保する(勉強会、受検日の勤務扱いなど)

自立期(2年〜3年):上司の指導のもとで現場全体を管理する

現場全体の管理を、上司の指導のもとで一通り経験する時期です。

習得項目内容達成の目安
小規模現場の管理上司の指導のもとで小規模な現場の工程・品質・安全を管理28か月目
施工計画書の作成上司の指導のもとで施工計画書を作成30か月目
発注者との協議設計変更の協議、検査への対応32か月目
工程管理全体工程の管理と遅れたときの挽回策34か月目
後輩の指導新入社員への基本的な指導36か月目

現場に置く主任技術者・監理技術者には、建設業法で資格や実務経験の要件があります。若手を現場の責任者として配置できるかは、資格の取得状況と照らして判断してください。配置の要件は施工管理技士と監理技術者・主任技術者の違いで整理しています。

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新しい受検資格に合わせた資格取得の組み込み方

施工管理技術検定は、令和6年度から受検資格が変わりました。育成計画に資格取得を組み込むときは、次の新しいルールを前提にします。

第一次検定(合格すると「技士補」)

区分受検資格(令和6年度から)
2級 第一次検定17歳以上(受検年度末時点)。学歴・実務経験は問わない(従前から変更なし)
1級 第一次検定19歳以上(受検年度末時点)。学歴・実務経験は問わない

第一次検定に合格すると、「2級土木施工管理技士補」「1級土木施工管理技士補」の称号を得られます。

第二次検定(合格すると「施工管理技士」)

新しい受検資格では、第二次検定に必要な実務経験は第一次検定などに合格した後の年数で数え、卒業した学校や学科は問いません。土木施工管理の主なルートは次のとおりです。

受検する検定受検資格(新受検資格)
2級 第二次検定2級第一次検定の合格後、実務経験3年以上
2級 第二次検定1級第一次検定の合格後、実務経験1年以上
1級 第二次検定1級第一次検定の合格後、実務経験5年以上
1級 第二次検定1級第一次検定の合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
1級 第二次検定1級第一次検定の合格後、監理技術者補佐としての実務経験1年以上
1級 第二次検定2級第二次検定の合格後、実務経験5年以上、または特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上(いずれも1級第一次検定の合格者に限る)

特定実務経験とは、建設業法の適用を受ける請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事で、監理技術者・主任技術者(当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った施工管理の経験です。第一次検定の合格は令和3年度以降の合格が対象です。

令和6年度から令和10年度までは経過措置として、学歴ごとに卒業後の実務経験年数を定めた旧受検資格でも第二次検定を受けられます。令和11年度以降は新受検資格のみになります。

育成計画への組み込み例

時期資格の目標根拠となるルール
入社1〜2年目2級第一次検定(17歳以上)または1級第一次検定(19歳以上)に合格し、技士補になる第一次検定は年齢のみが受検資格
2級第一次検定の合格から3年後2級第二次検定を受検2級第一次検定合格後の実務経験3年以上
1級第一次検定の合格から1年後2級第二次検定を受検1級第一次検定合格後の実務経験1年以上
1級第一次検定の合格から3〜5年後1級第二次検定を受検合格後の実務経験5年以上、または特定実務経験1年以上を含む3年以上

19歳以上であれば、最初から1級第一次検定に挑戦する道もあります。1級第一次検定に合格すると、2級第二次検定に必要な実務経験が1年以上で済むため、学習の負担と受検の時期を本人と相談して決めるとよいでしょう。勉強の進め方は2級土木施工管理技士の合格戦略と1級土木施工管理技士の合格率と勉強法を参照してください。

受検資格は検定種目ごとに扱いが異なる場合があるため、受検する年度の「受検の手引」(全国建設研修センター)で必ず確認してください。

育成ロードマップを運用するコツ

スキルチェック表をつくる

各時期の習得項目をチェック表にまとめ、定期的に到達度を確認します。土木工事 業務改善Naviがおすすめする評価の段階は次の3つです。

評価基準
A:一人でできる指示なしで作業を完了できる
B:補助があればできる確認や助言があれば作業できる
C:見学の段階まだ見て学んでいる段階

スキルチェック表の例(実践期の一部)

習得項目1か月後3か月後6か月後指導担当のコメント
工事日報の作成CBA記入漏れなし
レベル測量CBB閉合差の確認を習慣に
土量計算CCB平均断面法を復習
作業員名簿の作成CBA特になし

指導担当者(メンター)を決める

「全員で教える」は「誰も教えない」になりがちです。若手1人に対して指導担当者を1人決め、責任を持って育成にあたってもらいます。指導担当者の負担が大きくなりすぎないよう、指導の時間を工程に組み込むことも大切です。

定期的に面談する

面談の頻度内容
毎日終業時の短い振り返り(基礎期の間)
週1回困りごとの確認、翌週の目標設定
月1回スキルチェック表の更新、成長の確認
半年に1回キャリアの方向性と資格取得の計画の話し合い

訓練費用の助成制度

社員に職務に関連した訓練を計画的に受けさせる場合、厚生労働省の「人材開発支援助成金」で訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されることがあります。建設業向けには「建設労働者認定訓練コース」「建設労働者技能実習コース」が設けられています。要件や助成額は改正されるため、厚生労働省の最新のページで確認してください。

育成でよくある失敗と対策

よくある失敗対策
忙しくて教える時間がない指導の時間をあらかじめ工程に組み込む
指導者によって教え方が違うロードマップとスキルチェック表で教える内容をそろえる
成長が遅いと感じて厳しくなる個人差を前提に、チェック表で小さな前進を確認する
雑用ばかり任せてしまうロードマップに沿って計画的に経験させる
資格の勉強を本人任せにする勉強会の開催、学習時間の確保、受検費用の負担を会社が支援する
受検資格を古い制度で考えてしまう令和6年度からの新受検資格(第一次検定は年齢のみ)で計画を立て直す

よくある質問

Q. 土木の若手育成は何から始めればよいですか。 A. まず指導担当者を1人決め、入社から3年ほどの到達目標を時期ごとに書き出したロードマップをつくります。そのうえで、スキルチェック表と定期面談で進み具合を確かめます。

Q. 施工管理の新人に最初に教えることは何ですか。 A. 安全です。新規入場者教育、KY活動、保護具の使い方、危険箇所の認識を最初の1か月で身につけ、そのうえで現場のルール、工具・機械の名称、測量の補助へ進むのが一般的な順番です。

Q. 新入社員は何年目から施工管理技士の試験を受けられますか。 A. 令和6年度から、第一次検定は学歴・実務経験に関係なく、2級は17歳以上、1級は19歳以上(受検年度末時点)で受検できます。入社1年目から受けられます。第二次検定は、第一次検定に合格した後の実務経験(2級第一次検定合格後3年以上、1級第一次検定合格後1年以上など)が必要です。

Q. 技士補とは何ですか。 A. 施工管理技術検定の第一次検定に合格した人の称号です。1級の技士補は、主任技術者の資格を持っていれば、2つの現場を兼務する監理技術者(特例監理技術者)のもとで監理技術者補佐として専任配置されることがあり、その経験は1級第二次検定の受検資格の実務経験(1年以上)になります。

Q. 育成ロードマップと定着の取り組みはどう違いますか。 A. ロードマップは「何をどの順番で教えるか」の計画です。定着の取り組みは、労働時間・休日・処遇・指導の仕方など、若手が辞めない環境づくりを含む広い施策です。後者は建設業の若手の離職率と定着の取り組みで解説しています。

まとめ

  • 若手育成は、時期ごとの到達目標を決めたロードマップをつくり、指導担当者・スキルチェック表・定期面談で回す
  • 施工管理の新人は、基礎期(安全と現場の基本)→実践期(測量・数量・書類)→応用期(小規模な工種の担当)→自立期(現場全体の管理)の順に任せていく
  • 令和6年度から第一次検定は2級17歳以上・1級19歳以上で受検でき、入社1〜2年目から技士補を目指せる
  • 第二次検定は第一次検定合格後の実務経験で受検するため、合格の時期から逆算して配置と経験を計画する

そもそも若手を採用する段階で課題がある場合は、土木工事会社の人材採用 若手が集まる会社の共通点を参考にしてください。

出典・参考

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