土木工事会社の人材採用|若手が集まる会社の共通点
土木工事業界の人手不足の現状
国土交通省の「最近の建設産業行政について」(令和7年9月)によると、建設業就業者(令和6年)は55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%で、高齢化が進んでいます(総務省「労働力調査」の年平均をもとに国土交通省が作成)。建設業就業者数も、ピークの平成9年の685万人から令和6年は477万人に減っています。若手の応募が少ないと悩む土木工事会社は少なくありません。
本記事では、若手に選ばれるために土木工事会社が取り組める求人の出し方、教育体制、休日・労働時間、資格取得支援、採用チャネルのポイントを解説します。統計は末尾の「出典・参考」に挙げた公表資料で確認したものです。
若手が集まる会社の5つの共通点
共通点1: 求人情報に「具体的な数字」がある
「アットホームな職場です」「やりがいのある仕事です」だけでは若手には響きません。求職者が知りたいのは、具体的な労働条件です。
| あいまいな書き方 | 具体的な書き方(○には自社の実際の数字を入れる) |
|---|---|
| 給与: 当社規定による | 月給○万〜○万円(経験・資格による) |
| 休日: 週休2日制 | 年間休日○日(土日祝休み、土曜出勤は月○回など実態どおりに) |
| 福利厚生充実 | 資格取得支援(受験費用の会社負担の範囲)、社宅の有無 |
| 残業あり | 月平均の残業時間(昨年度の実績)、繁忙期の目安 |
数字は実態と合っていることが前提です。入社後に求人内容と違うと分かれば、早期離職の原因になります。
共通点2: SNSやWebで会社の雰囲気を発信している
若手はまず会社名で検索します。ホームページが10年前のデザインだったり、そもそも存在しなかったりすると、それだけで選択肢から外されます。
効果的な発信の例は次のとおりです。
- 現場の写真を定期的にSNS(Instagram、TikTok)で投稿
- 若手社員のインタビュー記事をホームページに掲載
- 1日の仕事の流れを動画で紹介
- 施工実績を写真付きで公開
費用をかけなくても、スマートフォンで撮った写真をInstagramに投稿するだけで十分です。
共通点3: 教育体制が明確になっている
「先輩の背中を見て覚えろ」では今の若手は定着しません。入社後にどのような教育を受けられるのか、いつ頃に独り立ちできるのかが見えることが重要です。
| 入社からの期間 | 育成の目安 |
|---|---|
| 1-3ヶ月 | 安全教育、基本的な測量補助 |
| 3-6ヶ月 | 写真管理、数量計算の補助 |
| 6ヶ月-1年 | 小規模な工種の担当 |
| 1-2年 | 2級土木施工管理技士の第一次検定の受検(受検年度末時点で17歳以上なら受検可) |
| 2-3年 | 小規模現場の現場代理人 |
上の期間は育成計画を立てるときの例で、法令で決まったものではありません。令和6年度からの新しい受検資格では、2級の第二次検定は2級第一次検定の合格後に実務経験3年以上が必要です(国土交通省)。旧受検資格の扱いなど詳しくは国土交通省の案内を確認してください。育成ロードマップの作り方は土木工事の若手育成 独り立ちまでのロードマップで詳しく解説しています。
共通点4: 休日と労働時間を改善している
休日の少なさや長時間労働は、若手が建設業を選ぶときに気にする点です。建設業にも令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用されており、休日と労働時間の改善は採用のためだけでなく、法令を守るためにも必要です(詳しくは土木工事の2024年問題)。
すぐにできる改善策
- 4週8閉所(4週間で8日現場を閉める)を目標設定する
- 雨天時の振替休日を制度化する
- 現場の段取りを工夫して日没前に作業を終える
- 業務効率化で残業を減らす(業務効率化の5つの方法も参考)
共通点5: 資格取得を会社が支援している
土木工事は資格がキャリアアップに直結する業界です。資格取得支援制度があると、「この会社でスキルアップできる」という安心感を与えられます。
| 支援内容 | ねらい |
|---|---|
| 受験費用の会社負担 | 金銭的なハードルを下げる |
| 勉強時間の確保(早帰り等) | 実際の学習を支援する |
| 合格祝い金 | 合格の目標を持たせる |
| 資格手当 | 長期的な待遇改善につなげる |
金額は会社の規模や資格の種類で決めるもので、決まった相場はありません。社内規程に定めて、求人票にも明記します。
効果的な採用チャネルの選び方
求人の出し方によって、応募者の層は大きく変わります。
| 採用チャネル | 特徴 | コスト |
|---|---|---|
| ハローワーク | 公的な職業紹介。地元の求職者に届く | 無料 |
| 求人検索サイト(Indeed・求人ボックス等) | Webで仕事を探す人に届く | 無料掲載と有料掲載がある |
| 建設業専門の求人サイト | 業界経験者に届きやすい | 有料(サイトにより異なる) |
| 工業高校・高専への求人 | 新卒採用の王道。早めの関係構築が必要 | 低コスト |
| SNS(Instagram等) | 会社の雰囲気を伝えやすい。採用広告も可 | 無料-有料 |
| 社員紹介(リファラル) | 定着率が高い。紹介料を社員に支給 | 紹介料のみ |
特に高校や高専への求人は、インターンシップの受け入れから関係を構築するのが効果的です。
面接で注意すべきポイント
若手の面接では、会社側も「選ばれている」という意識が大切です。
- 面接場所は清潔に整える(散らかった事務所はマイナス印象)
- 一方的に質問するのではなく、会社の魅力も伝える
- 入社後の具体的なキャリアパスを示す
- 可能であれば現場見学の機会を設ける
- 面接結果はできるだけ早く連絡する(連絡が遅いと他社に決まることがある)
まとめ
若手が集まる土木工事会社は、特別なことをしているわけではありません。具体的な求人情報、Webでの情報発信、教育体制の整備、労働環境の改善、資格取得支援といった基本的な取り組みを地道に行っています。
人材採用は短期間で結果が出るものではありません。自社の求人票と採用ページを見直すところから、1つずつ取り組んでください。
出典・参考
- 国土交通省 不動産・建設経済局 建設振興課「最近の建設産業行政について」令和7年9月(建設業就業者の55歳以上36.7%・29歳以下11.7%、就業者数 685万人(平成9年)から477万人(令和6年)。総務省「労働力調査」をもとに国土交通省が作成)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001566406.pdf - 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」(2級第一次検定は受検年度末時点で17歳以上、2級第二次検定は2級第一次検定合格後に実務経験3年以上)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001707687.pdf
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