アスファルト温度管理基準一覧|到着・転圧・交通開放の温度
アスファルト舗装の温度管理基準は、国土交通省の土木工事共通仕様書で「敷均し時の混合物温度110℃以上」「交通開放は舗装表面温度50℃以下」、品質管理基準で「初転圧前の温度110℃以上(記録は1日4回)」と定められています。 転圧中の温度は、初転圧110〜140℃、二次転圧の終了時70〜90℃が一般的な目安です。出荷温度は配合設計で決めた混合温度を基準にし、監督職員の承諾を得た温度の±25℃以内で管理します。
本記事では、これらの基準値を工程順の一覧表にまとめ、「到着温度の基準はあるのか」「交通開放(解放)温度は何度か」といった現場でよく迷う点と、記録の取り方を整理します。数値はすべて末尾の「出典・参考」に挙げた公表資料で確認できるものに限っています。
アスファルト舗装の温度管理基準一覧(工程順)
国の直轄工事で使われる土木工事共通仕様書・品質管理基準と、日本アスファルト協会が示す目安を、工程順に並べると次のとおりです。発注者によって独自の仕様書がある場合は、そちらが優先します。
| 工程 | 管理する温度 | 位置づけ | 根拠 |
|---|---|---|---|
| プラント(混合・出荷) | 配合設計で決定した混合温度。出荷時の温度は監督職員の承諾を得て、承諾温度の±25℃以内 | 規定 | 共通仕様書 3-2-6-7/品質管理基準 |
| 運搬 | 温度低下を防ぐため、運搬中はシート類で覆う | 規定 | 共通仕様書 3-2-6-7 |
| 施工時の気温 | 気温5℃以下のときは施工しない(監督職員が承諾した場合を除く) | 規定 | 共通仕様書 3-2-6-7 |
| 敷均し | 敷均したときの混合物温度110℃以上 | 規定 | 共通仕様書 3-2-6-7 |
| 初転圧前 | 110℃以上。測定は随時、記録は1日4回(午前・午後各2回) | 規格値 | 品質管理基準 |
| 初転圧 | 混合物温度110〜140℃のときに行う | 目安 | 日本アスファルト協会 |
| 二次転圧 | 終了時の混合物温度70〜90℃ | 目安 | 日本アスファルト協会 |
| 交通開放 | 舗装表面温度50℃以下になってから開放(監督職員の指示がある場合を除く) | 規定 | 共通仕様書 3-2-6-7 |
「規定」「規格値」は仕様書・品質管理基準に書かれた守るべき値、「目安」は技術的な標準の範囲です。中温化技術(混合物の製造・施工温度を下げる技術)を使った混合物や、締固め効果の高いローラを使う場合などは、設計図書に関して監督職員と協議のうえ、所定の締固めが得られる範囲で適切な温度を決めることが共通仕様書で認められています。改質アスファルト混合物も、製品や配合設計で温度が変わるため、一律の数値を当てはめず配合設計書と特記仕様書で確認してください。
プラントの出荷温度と温度管理
プラントでは、アスファルト・骨材・混合物の温度を温度計で随時測定し、配合設計で決めた混合温度になっているかを確認します(品質管理基準の「温度測定(アスファルト・骨材・混合物)」)。
出荷時の温度は受注者が監督職員の承諾を得て決め、その変動は承諾を得た温度に対して±25℃の範囲内としなければなりません。出荷温度そのものに全国一律の数値があるわけではなく、「配合設計の混合温度」と「承諾温度±25℃」の2つで管理する、と覚えておくと整理しやすくなります。
到着温度に基準はあるか
「アスファルト 到着温度 基準」はよく検索される言葉ですが、国の土木工事共通仕様書と品質管理基準には、現場到着時の温度そのものの規格値は定められていません。規定があるのは、その先の敷均し時110℃以上と初転圧前110℃以上です。
そのため現場では、次の順に考えて到着温度を管理します。
- 敷均し時・初転圧前に110℃以上を確保できるか
- そのためには、運搬時間・外気温・風・待機時間を見込んで、到着時に何℃必要か
- 必要な到着温度を満たせるよう、出荷温度(承諾温度±25℃の範囲内)と運搬の段取りを決める
到着時の温度を施工計画書で管理値として定めている場合や、発注者の仕様書に規定がある場合は、その値に従います。受け入れ時にダンプの荷台で測っておくと、敷均し温度が不足したときに「運搬で下がったのか、待機で下がったのか」を切り分けられます。
各工程のポイント
運搬
運搬中はシート類で覆って温度低下を防ぐことが共通仕様書で定められています。ダンプトラックの荷台は清浄で平滑なものを使い、混合物の付着を防ぐ油または溶液を薄く塗布します。運搬距離が長い、外気温が低い、風が強いといった条件では、到着後の待機時間を短くする段取り(ダンプの配車間隔の調整など)もあわせて考えます。
敷均し
アスファルトフィニッシャで敷均し、敷均したときの混合物温度は110℃以上とします(共通仕様書)。表層・基層の一層の仕上がり厚さは、設計図書に示す場合を除き7cm以下です。日本アスファルト協会は、フィニッシャをできるだけ一定速度で連続運転することを勧めています。雨が降り出した場合は敷均しを中止し、すでに敷均した混合物を速やかに締め固めて仕上げます。
初転圧
初転圧は、混合物温度が110〜140℃のときに、10〜12tのロードローラ(鉄輪のローラ)で2〜3km/h程度で踏み固めて安定させる、というのが日本アスファルト協会の示す標準的なやり方です。品質管理基準でも初転圧前の温度110℃以上が規格値になっており、ここが温度管理の最重要ポイントです。
二次転圧
二次転圧は、8〜20tのタイヤローラ(6〜10km/h)または6〜10tの振動ローラ(3〜6km/h)で行い、終了時の混合物温度は70〜90℃が目安です(日本アスファルト協会)。タイヤローラの練り返し(ニーディング)作用で骨材の配列を安定させ、緻密な表面をつくります。
仕上げ転圧
仕上げ転圧は、タイヤローラまたはロードローラで不陸を修正し、ローラマーク(転圧の跡)を消すために行います。
継目
継目は締め固めて密着させ、平坦に仕上げます。縦継目・横継目・構造物との接合面には瀝青材料を薄く塗布し、表層と基層の縦継目は15cm以上、横継目は1m以上ずらします(共通仕様書)。
舗装の交通開放(解放)温度
交通開放は、舗装表面温度が50℃以下になってから行います(共通仕様書 3-2-6-7、監督職員の指示による場合を除く)。検索では「解放温度」「開放温度」と表記が揺れますが、同じことを指しています。
表面温度が高いうちに車両を通すと、わだち掘れ(タイヤの通り道が凹む変形)の原因になります。夏場や厚い層を施工した日は冷えるまでに時間がかかるため、交通規制の解除時刻を温度の実測で判断できるよう、工程に余裕を持たせておきます。
温度管理に関するよくある不具合
| 不具合 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 締固め不足(密度不足) | 低温での転圧、転圧の遅れ | 初転圧前110℃以上の確認、ローラの配置と台数の見直し |
| 継目の段差・ひび割れ | 継目部の温度低下、端部の締固め不足 | 継目を早めに締め固める。締固め不足や亀裂の多い端部は切り取ってから隣接部を施工する(共通仕様書) |
| 早期のわだち掘れ | 表面温度が高いうちの交通開放 | 表面温度50℃以下を実測してから開放 |
| 敷均し温度の不足 | 運搬時間・待機時間が長い、保温不足 | シート養生の徹底、配車間隔の調整、出荷温度の見直し(承諾温度の範囲内) |
締固め度は、品質管理基準で「基準密度の94%以上」(10個の平均で96%以上など)が規格値になっています。温度管理は、この締固め度を確保するための手段と位置づけると、記録の意味が現場で共有しやすくなります。
温度管理の記録と測定頻度
品質管理基準では、プラントの温度測定は「随時」、舗設現場の初転圧前の温度測定は「随時」で、測定値の記録は1日4回(午前・午後各2回)とされています。これを最低限として、施工計画書で記録する項目を決めておきます。
| 記録項目 | 品質管理基準の頻度 | 現場での記録の例 |
|---|---|---|
| 混合物温度(プラント) | 随時 | 出荷伝票の温度を車両ごとに保管 |
| 初転圧前の温度 | 随時。記録は1日4回(午前・午後各2回) | 午前2回・午後2回を所定の様式に記入し、写真も残す |
| 敷均し時の温度 | 共通仕様書の規定(110℃以上)の確認 | 施工計画書で決めた頻度で記録 |
| 交通開放時の表面温度 | 共通仕様書の規定(50℃以下)の確認 | 開放前に測定し、時刻とあわせて記録 |
| 気温 | 施工可否(5℃以下は原則施工しない)の判断 | 施工開始前と気温が下がる時間帯に記録 |
現場用:温度管理チェックリスト(当日の朝〜交通開放まで)
土木工事 業務改善Naviが、上記の規定と目安を「当日そのまま使える順番」に並べ直したチェックリストです。発注者の特記仕様書に別の定めがあれば、そちらに置き換えて使ってください。
| タイミング | 確認すること | 判断の基準 |
|---|---|---|
| 施工前日 | 天気予報で気温・降雨を確認 | 気温5℃以下・雨天は原則施工しない(承諾があれば別) |
| 施工前日 | 出荷温度の承諾値とプラントへの伝達 | 承諾温度±25℃の範囲 |
| 施工前日 | 混合物の種類(中温化・改質など)と温度の取り決め | 配合設計書・特記仕様書・協議記録 |
| 朝一番 | 温度計の動作確認、記録様式・カメラの準備 | 初転圧前の記録は1日4回 |
| 到着時 | 荷台のシート掛け、到着時の温度 | 敷均し110℃以上を確保できる温度か |
| 敷均し直後 | 混合物温度 | 110℃以上 |
| 初転圧直前 | 混合物温度(午前2回・午後2回は記録) | 110℃以上。目安110〜140℃で初転圧 |
| 二次転圧終了時 | 混合物温度 | 目安70〜90℃ |
| 継目 | 塗布・ずらし量 | 縦継目15cm以上、横継目1m以上ずらす |
| 交通開放前 | 舗装表面温度と時刻 | 50℃以下 |
施工計画書への記載
アスファルト舗装の施工計画書には、温度管理について次の内容を記載しておくと、監督職員との協議や検査での説明がスムーズです。舗装工事の施工計画書全般は舗装工事の施工計画書を参照してください。
- 使用する混合物の種類と、配合設計で決めた混合温度
- 出荷温度の承諾値と管理幅(±25℃)
- プラントの名称・所在地・運搬経路と所要時間
- 各工程の温度管理基準(敷均し110℃以上、初転圧前110℃以上、交通開放50℃以下など)
- 温度の測定方法・測定頻度・記録様式
- 転圧機械の種類・台数と転圧の手順
- 気温5℃以下・雨天時の施工判断と対応
品質管理計画の立て方は品質管理計画書の作成も参照してください。
よくある質問
Q. アスファルトの温度管理基準で必ず押さえる数値は何ですか。 A. 国の共通仕様書・品質管理基準で決まっているのは、敷均し時110℃以上、初転圧前110℃以上(記録は1日4回)、交通開放時の舗装表面温度50℃以下、施工時の気温5℃以下は原則施工しない、出荷温度は承諾温度の±25℃以内、の5点です。
Q. アスファルトの到着温度の基準は何℃ですか。 A. 国の共通仕様書・品質管理基準には、到着温度そのものの規格値はありません。敷均し時・初転圧前の110℃以上を確保できる到着温度を、運搬時間や気温から逆算して施工計画書で管理値として決めるのが一般的です。発注者の仕様書に規定がある場合はそれに従います。
Q. 舗装の開放温度(解放温度)は何℃ですか。 A. 舗装表面温度が50℃以下になってから交通開放します(監督職員の指示がある場合を除く)。
Q. 改質アスファルトや中温化混合物も同じ温度ですか。 A. 同じとは限りません。中温化混合物などは、監督職員と協議のうえ所定の締固めが得られる範囲で温度を決めることが共通仕様書で認められています。配合設計書と特記仕様書で確認してください。
まとめ
- 規定値として押さえるのは「敷均し110℃以上」「初転圧前110℃以上(記録1日4回)」「交通開放は表面温度50℃以下」「気温5℃以下は原則施工しない」「出荷温度は承諾温度±25℃以内」
- 初転圧110〜140℃、二次転圧終了時70〜90℃は、転圧のタイミングを決める目安
- 到着温度は全国一律の規格値がないため、敷均し・初転圧の110℃から逆算して施工計画書で管理する
出典・参考
- 国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和8年3月」第3編 第2章 第6節 一般舗装工 3-2-6-7 アスファルト舗装工(出荷温度の管理幅、運搬時の保温、施工時の気温、敷均し温度、一層の仕上がり厚さ、継目、交通開放時の舗装表面温度)
https://www.mlit.go.jp/tec/r08dobokukoujikyoutsuusiyousyo/honbun03_syo02_setsu06.html - 国土交通省「土木工事施工管理基準及び規格値(案)令和7年3月」品質管理基準及び規格値 14 アスファルト舗装(温度測定、現場密度の測定)
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001880547.pdf - 一般社団法人 日本アスファルト協会「入門講座 8-3 表基層の施工」(初期転圧・二次転圧の温度とローラ、交通開放の温度)
https://askyo.jp/knowledge/08-3.html
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