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場所打ち杭の施工管理|管理項目と規格値・工法別の手順

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場所打ち杭の施工管理|管理項目と規格値・工法別の手順

場所打ち杭の施工管理は、「支持層に達したことの確認」「コンクリート打込み前のスライム(孔底沈殿物)の除去」「トレミー管をコンクリート中に2m以上入れたままの打込み」「出来形の確認」の4つが柱です。 国の土木工事施工管理基準では、場所打杭工の出来形を全数の杭中心で測り、基準高±50mm、根入長は設計値以上、偏心量100mm以内、傾斜1/100以内、杭径は設計径(公称径)-30mm以上を規格値としています。施工後に地中の杭を直接確かめることはできないため、掘削中と打込み中の記録がそのまま品質の証明になります。

本記事では、場所打ち杭の管理項目と規格値を早見表で整理したうえで、オールケーシング工法・リバース工法・アースドリル工法の手順、鉄筋かごとコンクリートの管理、よくあるトラブル、施工計画書への記載事項をまとめます。

場所打ち杭とは

場所打ち杭は、現場で地盤を掘削し、その孔に鉄筋かごを入れてコンクリートを打ち込んでつくる杭です。工場でつくった杭を打ち込む既製杭と違い、大きな径の杭を現場でつくれるため、橋梁の基礎や大型構造物の基礎、深い支持層まで届かせたい場合に使われます。

国の「土木工事共通仕様書(案)」では、場所打杭工の施工にあたり、試験杭の施工、杭長を決める管理方法の施工計画書への記載、施工記録の整備・保管と完成時の提出を求めています。

早見表:場所打ち杭の管理項目と基準

共通仕様書と施工管理基準の要求を、工程順に並べ直した早見表です(土木工事 業務改善Navi作成)。

工程管理項目基準・求められること根拠
着手前試験杭設計図書に従う。示されていない場合は各基礎ごとに試験杭を施工(最初の1本を本杭として使ってよい)共通仕様書 3-2-4-5
着手前施工計画杭長決定の管理方法等を施工計画書に記載共通仕様書 3-2-4-5
据付け機械の据付け地盤掘削中の水平度・安定を確保できるよう整備し、杭位置に据え付ける共通仕様書 3-2-4-5
掘削鉛直・掘削速度常に鉛直を保持し、地質に適した速度で掘削共通仕様書 3-2-4-5
掘削孔内水位(リバース・アースドリル等)孔内水位を外水位より低下させない。掘削深度・排出土砂・孔内水位の変動・安定液の濃度や比重等を管理共通仕様書 3-2-4-5
支持層支持地盤の確認掘削深さ・掘削土砂・地質柱状図・サンプル等で確認し、資料を保管・提出共通仕様書 3-2-4-5
孔底スライムコンクリート打込み前に除去。孔底沈殿物の管理は検測テープで、規格値は設計図書による共通仕様書 3-2-4-5、品質管理基準
鉄筋かごスペーサ同一深さに4か所以上、深さ方向3m間隔程度。杭頭部は鉄筋かご円周長に対して500〜700mm間隔共通仕様書 3-2-4-5
鉄筋かご継手・組立て継手は重ね継手。構造設計上考慮する鉄筋に形状保持の溶接をしない共通仕様書 3-2-4-5
打込みトレミー管プランジャー方式で打ち込み、打込み量と打込み高を常に計測。打込み開始時を除き、トレミー管をコンクリート上面から2m以上入れておく共通仕様書 3-2-4-5
打込みケーシング(オールケーシング)引抜き最終時を除き、ケーシング下端をコンクリート上面から2m以上入れておく。鉄筋かごの共上がりを防ぐ共通仕様書 3-2-4-5
杭頭余盛り孔内水を使用しない場合50cm以上、使用する場合80cm以上高く打ち込み、硬化後に取り壊す。オールケーシング工法は鉄筋天端高さまで打ち込む共通仕様書 3-2-4-5
杭頭杭径の確認全ての杭で、床掘完了後(杭頭余盛部の撤去前)に杭頭部の杭径を確認し、写真を提出共通仕様書 3-2-4-5
出来形基準高・根入長・偏心量・傾斜・杭径下の規格値表のとおり(全数)施工管理基準

出来形の規格値(場所打杭工)

測定項目規格値測定基準
基準高±50mm全数について杭中心で測定
根入長設計値以上同上
偏心量100mm以内同上。偏心量は杭中心の2方向のずれから求める
傾斜1/100以内縦断方向(道路線形方向、橋軸方向等)とそれに直交する横断方向の2方向で測定
杭径設計径(公称径)-30mm以上全数

偏心量の「杭径の1/4以内かつ100mm以内」という規格値は既製杭工(鋼管ソイルセメント杭)のものです。場所打杭工は「100mm以内」なので混同しないようにしてください。スライムの残留厚さなど、表にない管理値は設計図書・特記仕様書で確認します。

主な場所打ち杭工法の比較

項目オールケーシング工法リバース工法アースドリル工法
掘削方法ケーシングチューブを揺動・回転させて押し込み、内部をハンマーグラブで掘削回転ビットで掘削し、土砂を水とともにドリルパイプ内を吸い上げて排出(逆循環)ドリリングバケットを回転させて掘削し、バケットごと土砂を排出
孔壁の保護ケーシングチューブ孔内水(泥水)の水頭安定液
管理の要点ケーシングの挿入長、鉄筋かごの共上がり孔内水位、泥水の状態、スライム処理安定液の濃度・比重、孔壁の崩壊

適用できる杭径・深さや、玉石・礫層への適否は、機種と地盤で変わります。設計図書と施工業者・機械メーカーの資料で確認してください。

オールケーシング工法の施工手順

(1) 据付け:据付け地盤を整備し、掘削機を杭位置に据え付ける

(2) ケーシングチューブの押込みと掘削:ケーシングチューブを揺動・回転させながら地盤に押し込み、内部の土砂をハンマーグラブで掘削・排出する。深さに応じてケーシングを継ぎ足す

(3) 支持層の確認:掘削深さ・掘削土砂・地質柱状図・サンプルなどで、設計図書の支持地盤に達したことを確認する

(4) 孔底処理:孔底のスライムを除去する

(5) 鉄筋かごの建込み:スペーサで所定のかぶりを確保し、湾曲・脱落・座屈を防ぎながら建て込む

(6) トレミー管のセットとコンクリート打込み:トレミー管を用いたプランジャー方式で打ち込み、打込み量と打込み高を常に計測する。トレミー管は打込み開始時を除きコンクリート中に2m以上入れておく

(7) ケーシングの引抜き:コンクリートの打込みに合わせて引き抜く。引抜き最終時を除き、ケーシング下端をコンクリート上面から2m以上入れておき、鉄筋かごの共上がりを起こさない

(8) 杭頭:鉄筋天端高さまでコンクリートを打ち込み、硬化後に設計の高さまで取り壊す

安全面では、ハンマーグラブの操作中は掘削機に近寄らないこと、ケーシング内に入るときはあらかじめ換気または有害ガスの測定を行うことが、国の土木工事安全施工技術指針に示されています。

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リバース工法の施工手順

リバース工法(リバースサーキュレーションドリル工法)は、孔内に満たした水の圧力(水頭)で孔壁を保ちながら回転ビットで掘削し、掘った土砂を水と一緒にドリルパイプの中から吸い上げて排出する工法です。通常の循環と逆向きに水を回すことから、この名があります。

(1) スタンドパイプの設置:地表部に鋼管(スタンドパイプ)を建て込み、孔口を保護する

(2) 孔内水の充満:孔内に水(泥水)を満たし、孔内水位を外水位(地下水位)より下げない

(3) 掘削:ドリルパイプ先端のビットで掘削し、土砂を水とともにドリルパイプ内を逆循環させて地上に排出する

(4) 掘削中の管理:掘削深度、排出土砂、孔内水位の変動、安定液を使う場合の濃度・比重などを管理する。管理値は施工計画書・特記仕様書で定める

(5) 支持層の確認:掘削深さ・排出土砂・地質柱状図・サンプルなどで確認する

(6) 孔底処理:スライムを除去する。鉄筋かごやトレミー管の建込みで時間が空いた場合は、打込み直前にスライムの状態を再確認し、必要に応じて再処理する

(7) 鉄筋かごの建込み:鉄筋かごを孔壁に接触させて孔壁崩壊を起こさないよう降ろす

(8) コンクリート打込み:トレミー管を用い、コンクリートで孔内水を押し上げて置き換えながら打ち込む。余盛りは孔内水を使用する場合として80cm以上とする

(9) 泥水の処理:泥水は、水質汚濁に係る環境基準や都道府県の公害防止条例などに従って処理する

櫓の組立て・解体・移動は作業指揮者の直接の指揮で行い、強風時はクレーンのブームを倒し、櫓をケーシングと連結して転倒を防ぐ、といった安全上の留意事項も安全施工技術指針に示されています。

アースドリル工法の要点

アースドリル工法は、安定液で孔壁を保護しながら、回転するドリリングバケットで掘削する工法です。孔内水位を外水位より下げないこと、安定液の濃度・比重などを管理すること、鉄筋かごを孔壁に接触させないことは、リバース工法と同じく共通仕様書で求められています。

鉄筋かごとコンクリートの管理

鉄筋かご

  • スペーサは同一深さに4か所以上、深さ方向3m間隔程度で取り付ける。杭頭部は位置がずれやすいため、鉄筋かご円周長に対して500〜700mm間隔で設置する
  • 継手は重ね継手とする。これにより難い場合は監督職員の承諾を得る
  • 形状保持などのための溶接を、構造設計上考慮する鉄筋に行わない
  • 運搬・建込み中の湾曲・脱落・座屈を防ぐ

コンクリート

  • 配合(呼び強度、スランプなど)は設計図書・特記仕様書と配合計画書による
  • トレミー管を用いたプランジャー方式で、連続して打ち込む
  • 打込み量と打込み高を常に計測し、トレミー管下端とコンクリート立上り高の関係を確認する。打込み量が理論量より大きく外れる場合は、孔壁の崩壊などを疑う
  • 余盛りは、孔内水を使用しない場合50cm以上、使用する場合80cm以上。オールケーシング工法は鉄筋天端高さまで打ち込む。硬化後、杭本体を傷めないよう設計の高さまで取り壊す

よくあるトラブルと対策

孔壁崩壊

孔壁が崩れると、杭の断面欠損や品質低下につながります。リバース工法やアースドリル工法では、孔内水位を外水位より下げないこと、安定液の状態を管理することが基本です。オールケーシング工法では、ケーシングを先行させて孔壁を保護します。打込み量が理論量を大きく上回ったときは、崩壊の可能性を記録とともに検討します。

スライム処理不良

スライムが残ると、杭先端の支持力が確保できません。品質管理基準の摘要は、孔底に沈積するスライムの量を、掘削完了直後とコンクリート打込み前に検測テープで測った孔底の深さを比べて把握するとしています。孔底処理から打込みまで時間が空いた場合は、打込み直前に再確認し、必要なら再処理します。

鉄筋かごの変形・共上がり

長い鉄筋かごは自重で変形しやすいため、組立て時に堅固にし、運搬・建込みで変形させないようにします。オールケーシング工法では、ケーシングの引抜き時に鉄筋かごが一緒に上がる「共上がり」に注意します。

現場用:打込み前の最終チェックリスト

確認すること記録・証拠
支持地盤に達したことを、掘削深さ・土砂・柱状図・サンプルで確認したか掘削記録、土質サンプル、写真
掘削完了直後の孔底深さを検測テープで測ったか検測記録
鉄筋かごのスペーサの数・間隔、継手は仕様どおりか配筋検査記録、写真
打込み直前にもう一度孔底深さを測り、スライムを確認したか検測記録
トレミー管の長さと、打込み開始後の挿入長(2m以上)を確認する準備はあるか打込み記録(時刻・数量・コンクリート上面の高さ)
余盛りの高さ(孔内水の有無で50cm以上/80cm以上)を決めているか施工計画書
泥水・殻の処理方法と運搬時の飛散防止は決まっているか施工計画書

いずれも後から確かめられないため、記録が無いことは確認していないことと同じに扱われます。撮影計画を打込み前に決めておいてください。

施工計画書への記載

場所打ち杭の施工計画書には、土木工事の施工計画書ガイドの基本項目に加えて、次を記載します。

  • 工法の選定理由
  • 杭の諸元(杭径、杭長、設計支持力)
  • 試験杭の計画と、杭長決定の管理方法
  • 掘削手順と支持層の確認方法
  • 孔内水位・安定液の管理計画(リバース工法・アースドリル工法の場合)
  • 孔底処理(スライム除去)の方法と確認方法
  • 鉄筋かごの組立て・建込み計画(スペーサ、継手)
  • コンクリートの配合計画と打込み計画(トレミー管、余盛り)
  • 品質管理・出来形管理計画(管理項目、規格値、確認方法)
  • 泥水・杭土・殻の処理方法

品質管理計画の立て方については品質管理計画書の作成も参照してください。

よくある質問

Q. 場所打ち杭の管理基準値はどこに決められていますか。 A. 出来形は国の「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」で、場所打杭工は基準高±50mm、根入長は設計値以上、偏心量100mm以内、傾斜1/100以内、杭径は設計径(公称径)-30mm以上です。施工方法は「土木工事共通仕様書(案)」の場所打杭工に定められています。

Q. リバース工法とは何ですか。 A. 孔内に満たした水の圧力で孔壁を保ちながら回転ビットで掘削し、土砂を水とともにドリルパイプの中から吸い上げて排出する工法です。孔内水位を外水位より下げないことが管理の基本です。

Q. ケーシングはどこまでコンクリートに入れておく必要がありますか。 A. オールケーシング工法では、引抜き最終時を除き、ケーシングチューブ下端をコンクリート上面から2m以上コンクリート内に入れておくことが共通仕様書で求められています。トレミー管も、打込み開始時を除き2m以上入れておきます。

Q. スライムはどこまで取ればよいですか。 A. 施工管理基準では、孔底沈殿物の管理は検測テープで行い、規格値は「設計図書による」とされています。掘削完了直後と打込み前の孔底深さを比べて管理し、残留厚さの許容値は設計図書・特記仕様書で確認してください。

Q. 余盛りはどれくらい必要ですか。 A. 孔内水を使用しない場合は50cm以上、使用する場合は80cm以上高く打ち込み、硬化後に設計の高さまで取り壊します。オールケーシング工法は鉄筋天端高さまで打ち込みます(共通仕様書)。

まとめ

  • 場所打ち杭の施工管理は、支持層の確認、スライムの除去、トレミー管・ケーシングの2m以上の挿入、出来形の全数確認が柱
  • 出来形の規格値は、基準高±50mm、根入長 設計値以上、偏心量100mm以内、傾斜1/100以内、杭径 設計径-30mm以上
  • リバース工法・アースドリル工法は孔内水位を外水位より下げず、安定液を管理する
  • 地中の杭は後から見られないため、掘削・打込みの記録と写真がそのまま品質の証明になる

出典・参考

  • 国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和8年3月」第3編 第2章 第4節 3-2-4-5 場所打杭工(試験杭、支持地盤の確認、スライム除去、鉄筋かご、トレミー管、余盛り、ケーシング、杭径確認、水頭差の確保、泥水処理)
    https://www.mlit.go.jp/tec/r08dobokukoujikyoutsuusiyousyo/honbun03_syo02_setsu04.html
  • 国土交通省「土木工事施工管理基準及び規格値(案)令和8年3月」出来形管理基準及び規格値 3-2-4-5 場所打杭工(Ⅰ-27)、品質管理基準及び規格値 場所打杭工 孔底沈殿物の管理(Ⅱ-8)
    https://www.mlit.go.jp/tec/content/001990185.pdf
  • 国土交通省大臣官房技術調査課「土木工事安全施工技術指針」令和4年2月 第8章 第3節 機械掘削基礎工(オールケーシング工法・リバースサーキュレーションドリル工法の留意事項)
    https://www.mlit.go.jp/tec/content/001464734.pdf

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