盛土の締固め管理基準と土工の施工管理|路体90%・路床95%
道路土工の盛土の締固め管理は、国土交通省の品質管理基準で、砂置換法なら路体は最大乾燥密度の90%以上(締固め試験A・B法)を1,000㎥につき1回、路床と構造物取付け部は95%以上(A・B法。C・D・E法なら90%以上)を500㎥につき1回測るのが基本です(砂質土の場合)。 施工は土木工事共通仕様書(案)で、一層の仕上り厚を路体30cm以下、路床20cm以下とし、各層ごとに適切な含水比で締め固めると定められています。
本記事では、土工(掘削・盛土)の施工管理について、国の共通仕様書と品質管理基準で決まっている数値を早見表にまとめ、締固め管理の3つの方法(砂置換法・RI計器・TS/GNSS)、掘削工の管理、試験回数の計算例とチェックリストを示します。数値は末尾の「出典・参考」に挙げた令和8年3月版の公表資料で確認したものに限っています。自治体の工事では独自の基準が指定されることがあるため、契約図書で適用基準を確認してください。
早見表:土工で決まっている数値
土木工事 業務改善Naviが、道路土工に関わる国の基準の数値を工程順に並べ直した早見表です。
| 工程 | 決まっていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 路床・路体の区分 | 路床は盛土仕上り面下(切土部は掘削仕上り面下)1m以内、路体は路床以外の盛土部分 | 共通仕様書 1-2-4-1 |
| 伐開除根 | 盛土高1mを超える場合と1m以下の場合で処理を分ける(設計図書に示されない場合) | 共通仕様書 1-2-4-1 表1-2-3 |
| 段切 | 1:4より急な勾配の地盤上に盛土する場合は段切を行う(特に指示する場合を除く) | 共通仕様書 1-2-4-3 |
| 一層の仕上り厚(路体) | 30cm以下とし、各層ごとに締め固める | 共通仕様書 1-2-4-3 |
| 一層の仕上り厚(路床) | 20cm以下とし、各層ごとに締め固める | 共通仕様書 1-2-4-4 |
| 構造物の隣接箇所・狭い箇所 | タンパ・振動ローラ等の小型締固め機械で、仕上り厚20cm以下で入念に締め固める | 共通仕様書 1-2-4-3・1-2-4-4 |
| 路床の盛土材料 | 最大寸法は10cm程度 | 共通仕様書 1-2-4-4 |
| 岩塊・玉石の路体盛土 | 空隙を細かい材料で充填。やむを得ず30cm程度のものを使う場合は路体の最下層に使う | 共通仕様書 1-2-4-3 |
| 作業終了時・中断時 | 表面に4%程度の横断勾配を設け、平坦に締め固めて排水をよくする | 共通仕様書 1-2-4-3・1-2-4-4 |
| 片切り・片盛りの接続部 | 1:4程度の勾配で緩和区間を設ける(特に指示する場合を除く) | 共通仕様書 1-2-4-4 |
| 現場密度(路体・砂質土・砂置換法) | 最大乾燥密度の90%以上(A・B法)。1,000㎥につき1回、5,000㎥未満の工事は1工事3回以上 | 品質管理基準 27 道路土工 |
| 現場密度(路床・構造物取付け部・砂質土・砂置換法) | 最大乾燥密度の95%以上(A・B法)または90%以上(C・D・E法)。500㎥につき1回、1,500㎥未満の工事は1工事3回以上 | 品質管理基準 27 道路土工 |
掘削工の施工管理
共通仕様書で決まっていること
国の共通仕様書(道路土工の掘削工)は、掘削について次のことを定めています。
- 機械の選定:現場の地形、掘削高さ、掘削量、地層の状態(岩の有無)、掘削土の運搬方法などから使用機械を設定する
- 地山の監視:掘削中の地山の挙動を監視する
- 中止と協議:掘削中に土質の著しい変化や埋設物を発見した場合、崩壊・地すべり等が生じた(生じるおそれがある)場合は工事を中止し、監督職員と協議する(緊急時は応急処置のうえ直ちに通知)
- 路床面の支持力:設計図書に示す支持力が得られない場合や均等性に疑義がある場合は監督職員と協議する
- 硬岩掘削:法の仕上り面近くでは過度な発破を避け、浮石等を残さない
- 湧水:工事目的物に影響を及ぼすおそれのある予期できなかった湧水が発生した場合は工事を中止し、監督職員と協議する
掘削の種類と主な留意点
| 掘削の種類 | 内容 | 主な留意点 |
|---|---|---|
| 切土 | 自然地盤を切り取る | 法面の安定、湧水処理、浮石の除去 |
| 開削(床掘り・溝掘り) | 管路・構造物のための掘削 | 土留め、埋設物の防護 |
| 岩掘削 | 岩盤の掘削 | 発破・ブレーカの選定、仕上り面の保護 |
| 浚渫 | 水中の土砂の除去 | 濁水処理、土砂の運搬 |
掘削時の安全管理
手掘りで地山を掘るときの掘削面の勾配は、労働安全衛生規則(安衛則)第356条・第357条で上限が決まっています。たとえば「その他の地山」は掘削面の高さ2m未満で90度以下、2m以上5m未満で75度以下、5m以上で60度以下、砂からなる地山は35度以下か高さ5m未満です。掘削面の高さが2m以上の地山の掘削では、地山の掘削作業主任者を選任します(安衛則第359条)。
勾配表の全体と土留めが必要な深さは土留めが必要な深さの基準と掘削勾配、掘削の計画の書き方は掘削計画書の書き方で解説しています。
盛土の施工管理
盛土材料
共通仕様書は、盛土の締固め基準を確保できないような予測しない軟弱地盤・有機質土・ヘドロ等の不良地盤が現れた場合は、処置工法について監督職員と協議するよう定めています。盛土材料の適否は、一般に次のような傾向があります。採用の可否は設計図書と土質試験の結果で判断してください。
| 傾向 | 土の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 締め固めやすい | 砂質土、礫質土 | 含水比の影響を受けにくく、締固め管理がしやすい |
| 含水比の管理が重要 | 粘性土 | 含水比が高いと締め固めにくく、重機の走行性(トラフィカビリティ)が落ちる |
| 盛土に向かない | 有機質土(腐植土)、含水比が極端に高い土 | 圧縮しやすく、締め固めにくい |
締固めの施工要領
(1) まき出しと一層の仕上り厚:路体は30cm以下、路床は20cm以下の仕上り厚になるようにまき出し、各層ごとに締め固めます。構造物の隣接箇所や狭い箇所は、タンパ・振動ローラ等の小型締固め機械で仕上り厚20cm以下とします(共通仕様書)。
(2) 含水比の管理:共通仕様書は、締固め作業を適切な含水比の状態で行うよう求めています。品質管理基準の規格値も「締固めが可能な範囲の含水比において」の密度で決められているため、含水比が高すぎる場合は、ばっ気乾燥や安定処理などを監督職員と協議します。
(3) 転圧回数:転圧回数や機械の組み合わせに一律の数値はありません。試験施工で規格値を満たす回数と仕上り厚を確かめ、施工計画書に書いて守らせます。TS/GNSSで締固めを管理する場合は、この試験施工で決めた回数が管理の基準になります。
(4) 段切と管渠周り:1:4より急な勾配の地盤に盛土するときは段切を行い、管渠等がある箇所は両側から盛土して偏圧がかからないよう締め固めます。
(5) 作業の終了・中断時:表面に4%程度の横断勾配を設け、平坦に締め固めて排水をよくします。降雨や湧水で路床面に水がたまる場合は、路肩などに仮排水路を設けて速やかに排水します。
締固め管理の方法と規格値
品質管理基準(27 道路土工)では、現場密度の測定を次の3つの方法のいずれかで行います。
(1) 砂置換法(JIS A 1214)
| 区分 | 砂質土の規格値 | 粘性土の規格値 | 試験の頻度 |
|---|---|---|---|
| 路体 | 最大乾燥密度の90%以上(A・B法) | 空気間隙率2%以上10%以下、または飽和度85%以上95%以下 | 1,000㎥につき1回。5,000㎥未満の工事は1工事3回以上 |
| 路床・構造物取付け部 | 最大乾燥密度の95%以上(A・B法)または90%以上(C・D・E法) | 空気間隙率2%以上8%以下 | 500㎥につき1回。1,500㎥未満の工事は1工事3回以上 |
- 1回の試験につき3孔で測定し、3孔の最低値で判定します。
- 最大粒径が53mmを超える場合は、舗装調査・試験法便覧の突砂法によります。
- 粘性土でも、締固め管理が可能な場合は砂質土の基準を適用できます。
- 規格値を満たしていても、規格値を著しく下回っている点がある場合は、監督職員と協議のうえ(再)転圧を行います。
(2) RI計器を用いた盛土の締固め管理
RI計器(放射性同位元素を使って密度と含水比を測る機器)による方法では、盛土を「管理単位」に分けて管理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規格値(砂質土・路体) | 1管理単位の現場乾燥密度の平均値が最大乾燥密度の92%以上(A・B法) |
| 規格値(砂質土・路床・構造物取付け部) | 平均値が97%以上(A・B法)または92%以上(C・D・E法) |
| 規格値(粘性土) | 1管理単位の現場空気間隙率の平均値が8%以下 |
| 管理単位 | 1日の1層あたりの施工面積が基準。1,500㎡を標準とし、2,000㎡以上なら2管理単位以上に分割 |
| 測定点数の目安 | 500㎡未満:5点、500㎡以上1,000㎡未満:10点、1,000㎡以上2,000㎡未満:15点 |
| 適用 | 最大粒径100mm未満の場合 |
(3) TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理
TS(トータルステーション=距離と角度を測る測量機器)やGNSS(衛星測位システム)でローラの走行軌跡を記録し、施工範囲を小分割した管理ブロックのすべてが規定回数だけ締め固められたことを確認する方法です。1日の施工が複数層に及ぶ場合でも1管理単位を複数層にまたがらせず、土取り場や土質が変わる場合は新しい管理単位とします。導入の進め方はICT施工の導入方法を参照してください。
その他の試験
| 試験 | 品質管理基準での位置づけ |
|---|---|
| 土の締固め試験(JIS A 1210) | 材料の試験。当初及び土質の変化した時 |
| CBR試験(路床) | 材料の試験。当初及び土質の変化した時 |
| 含水比試験 | 施工時の試験。路体は1,000㎥につき1回(5,000㎥未満は1工事3回以上)、路床は500㎥につき1回(1,500㎥未満は1工事3回以上) |
| プルーフローリング | 路床仕上げ後、全幅・全区間で実施(現道打換工事、仮設用道路維持工事は除く) |
河川土工(築堤)の場合
河川の築堤は、品質管理基準の「24 河川土工」によります。砂置換法では最大乾燥密度の90%以上が規格値で、頻度は1,000㎥に1回の割合、または堤体延長20mに3回の割合のうち測定頻度の高い方です。判定は道路土工と違い、3孔の平均値で行います。築堤の一層の仕上り厚は30cm以下です(共通仕様書 第1編 第2章 第3節)。
各工種の品質管理項目を計画書の表にまとめる方法は、品質管理計画書の例・サンプルで記入例を紹介しています。
計算例:現場密度試験は何回必要か
品質管理基準の頻度(砂置換法)を、工事数量に当てはめた例です。
| 区分 | 盛土量 | 計算 | 必要な試験回数 |
|---|---|---|---|
| 路体 | 12,000㎥ | 1,000㎥につき1回 | 12回 |
| 路体 | 2,000㎥ | 5,000㎥未満の工事は1工事3回以上 | 3回以上 |
| 路床 | 3,000㎥ | 500㎥につき1回 | 6回 |
| 路床 | 900㎥ | 1,500㎥未満の工事は1工事3回以上 | 3回以上 |
1回の試験は3孔で測るため、孔の数は回数の3倍になります。工程上、試験のタイミングが偏らないよう、層ごと・区間ごとに振り分けて計画書に書いておきます。
土量配分計画
掘削した土を盛土に使うため、土量配分計画(マスカーブ)を作ります。土は掘るとほぐれて体積が増え、締め固めると減るため、土量の変化率で換算します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 地山の土量 | 掘削する前の、自然の状態の土量 |
| ほぐした土量 | 掘削してほぐれた状態の土量(運搬する量) |
| 締め固めた土量 | 盛土として締め固めた後の土量 |
| 変化率L | ほぐした土量 ÷ 地山の土量 |
| 変化率C | 締め固めた土量 ÷ 地山の土量 |
変化率の値は土質によって異なります。設計図書(積算の条件)に示された値、または土質試験・試験施工の結果を使ってください。残土の処理は残土処理計画書の書き方で解説しています。
現場用:盛土の締固め管理チェックリスト
| タイミング | 確認すること | 根拠 |
|---|---|---|
| 着手前 | 適用する品質管理基準の版と、締固め管理の方法(砂置換法・RI・TS/GNSS)を決めた | 品質管理基準、特記仕様書 |
| 着手前 | 土の締固め試験で最大乾燥密度・最適含水比を求めた | 品質管理基準(当初及び土質の変化した時) |
| 着手前 | 試験施工で仕上り厚と転圧回数を決めた | 施工計画書 |
| 盛土の前 | 伐開除根、1:4より急な地盤の段切、不良地盤の有無を確認した | 共通仕様書 1-2-4-1・1-2-4-3 |
| まき出し | 一層の仕上り厚が路体30cm以下、路床20cm以下になっている | 共通仕様書 1-2-4-3・1-2-4-4 |
| 締固め | 含水比が締固め可能な範囲にある | 共通仕様書、品質管理基準 |
| 締固め | 構造物の周りは小型機械で仕上り厚20cm以下 | 共通仕様書 |
| 試験 | 頻度(路体1,000㎥・路床500㎥につき1回など)を満たしている | 品質管理基準 |
| 試験 | 規格値を著しく下回る点があれば監督職員と協議して再転圧した | 品質管理基準 |
| 作業終了時 | 表面に4%程度の横断勾配をつけ、排水をよくした | 共通仕様書 |
| 路床仕上げ後 | プルーフローリングを全幅・全区間で実施した | 品質管理基準 |
| 土質の変化時 | 締固め試験・CBR試験をやり直した | 品質管理基準 |
よくある質問
Q. 盛土の締固め度の基準は何%ですか。 A. 国の道路土工(砂質土・砂置換法)では、路体が最大乾燥密度の90%以上、路床と構造物取付け部が95%以上(締固め試験A・B法。C・D・E法なら90%以上)です。RI計器で管理する場合は、1管理単位の平均値で路体92%以上、路床97%以上(A・B法)になります。
Q. 現場密度試験の頻度は。 A. 砂置換法の場合、路体は1,000㎥につき1回(5,000㎥未満の工事は1工事3回以上)、路床と構造物取付け部は500㎥につき1回(1,500㎥未満の工事は1工事3回以上)で、1回につき3孔を測って最低値で判定します。
Q. 盛土の一層の厚さは何cmですか。 A. 共通仕様書で、一層の仕上り厚は路体30cm以下、路床20cm以下と決まっています。構造物の隣接箇所や狭い箇所は、小型締固め機械で仕上り厚20cm以下です。
Q. 転圧回数の基準はありますか。 A. 国の基準に一律の転圧回数はありません。試験施工で規格値を満たす回数を確かめて施工計画書に書きます。TS/GNSSで管理する場合は、その回数が管理の基準になります。
まとめ
- 道路土工の締固めは、砂置換法なら路体90%以上・1,000㎥に1回、路床95%以上・500㎥に1回(砂質土、A・B法)。3孔の最低値で判定する
- 一層の仕上り厚は路体30cm以下、路床20cm以下。構造物周りは小型機械で20cm以下
- RI計器は管理単位の平均値(路体92%・路床97%)、TS/GNSSは規定回数の確認で管理する
- 転圧回数や土量の変化率に一律の数値はないため、試験施工と設計図書で決める
品質管理の全体像は品質管理計画の書き方、盛土の法面の管理は盛土の転圧・締固め管理基準と現場密度試験も参考にしてください。
出典・参考
- 国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和8年3月」第1編 第2章 第4節 道路土工(1-2-4-1 一般事項、1-2-4-2 掘削工、1-2-4-3 路体盛土工、1-2-4-4 路床盛土工)
https://www.mlit.go.jp/tec/r08dobokukoujikyoutsuusiyousyo/honbun01_syo02_setsu04.html - 国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和8年3月」第1編 第2章 第3節 河川土工・海岸土工・砂防土工(盛土工の一層の仕上り厚)
https://www.mlit.go.jp/tec/r08dobokukoujikyoutsuusiyousyo/honbun01_syo02_setsu03.html - 国土交通省「土木工事施工管理基準及び規格値(案)令和8年3月」品質管理基準及び規格値 24 河川土工、27 道路土工
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001990185.pdf - 労働安全衛生規則 第356条・第357条(掘削面の勾配)、第359条(地山の掘削作業主任者)e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
いまの課題に近いものはどれですか?
選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。
お使いの業務に合う機能と、無料体験の内容をご確認いただけます。




