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掘削計画書の書き方と掘削勾配の基準|記載項目と記入例

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掘削計画書の書き方と掘削勾配の基準|記載項目と記入例

掘削計画書は、施工計画書の「施工方法」「安全管理」の中で、地山の調査結果、掘削の時期と順序、掘削面の高さと勾配、土留めの要否、湧水の処理、使用する重機と運行経路、点検の体制を具体的に書く書類です。 労働安全衛生規則(安衛則)は、地山の崩壊などのおそれがあるときは事前に調査して掘削の時期と順序を定めること(第355条)、車両系建設機械を使うときは作業計画を定めること(第155条)を求めており、掘削計画書はこれらを1つにまとめたものと考えると書きやすくなります。掘削勾配の基準は、手掘りの場合に安衛則第356条・第357条で決まっており、たとえば「その他の地山」なら掘削面の高さ2m未満で90度以下、2m以上5m未満で75度以下、5m以上で60度以下です。

本記事では、掘削計画書に書く項目を根拠つきの一覧表にし、項目ごとの書き方、掘削勾配の基準表、土留め・湧水・安全対策の書き方、そのまま使える記入例を示します。数値は末尾の「出典・参考」に挙げた法令と国の基準で確認できるものに限っています。

掘削計画書に書く項目一覧(根拠つき)

土木工事 業務改善Naviが、掘削計画書に書く項目を、根拠となる法令・基準と並べて整理した一覧です。発注者の指定様式がある場合は、その様式の欄にこの内容を当てはめてください。

章記載項目書く内容根拠
1掘削箇所の概要位置図・平面図・断面図、掘削深さ・幅・延長・土量設計図書
2地山の調査結果形状・地質・地層、き裂・含水・湧水・凍結、埋設物、高温のガス・蒸気の有無安衛則 第355条
3掘削の時期と順序調査結果に合った掘削の時期・順序・区割り安衛則 第355条
4掘削面の高さと勾配断面ごとの掘削面の高さ、勾配、段(小段)の位置安衛則 第356条・第357条
5土留めの要否と形式深さ1.5m以上は原則として土留め。採用する工法と組立図建築基準法施行令 第136条の3、公衆災害防止対策要綱、安衛則 第370条
6湧水・排水の処理地下水位、排水の方法、排水先安衛則 第534条、共通仕様書 1-2-4-1
7重機の作業計画機械の種類と能力、運行経路、作業の方法安衛則 第154条・第155条
8作業主任者と点検地山の掘削作業主任者(高さ2m以上)、毎日の点検安衛則 第358条・第359条
9埋設物・近接構造物の保護試掘、管理者との立会い、補強・移設安衛則 第362条・第363条
10異常時の対応土質の変化・埋設物の発見・崩壊時の中止と協議、退避の方法共通仕様書 1-2-4-2

項目ごとの書き方

(1) 掘削箇所の概要

設計図書から、掘削箇所の位置、最大掘削深さと断面ごとの深さ、掘削幅、延長、掘削土量を書き出します。断面図には、設計掘削ライン、掘削面の勾配、床付け面(掘削の最終深さ)の高さ、地下水位、既設埋設物の位置、段(小段)の位置を入れます。

(2) 地山の調査結果

安衛則第355条は、地山の崩壊や埋設物の損壊などで危険が生じるおそれがあるときは、あらかじめボーリングその他の適当な方法で次の事項を調査し、その結果に適応する掘削の時期と順序を定めるよう求めています。

  • 形状、地質及び地層の状態
  • き裂、含水、湧水及び凍結の有無及び状態
  • 埋設物等の有無及び状態
  • 高温のガス及び蒸気の有無及び状態

計画書には、地質調査報告書(土質柱状図・地下水位)から読み取った内容と、試掘や埋設物管理者への照会で確認した埋設物の情報を書きます。車両系建設機械を使う場合は、安衛則第154条により、作業場所の地形・地質の状態などを調査して記録しておくことも必要です。

(3) 掘削の時期と順序

調査結果に合わせて、どこから・どの順に・どの区割りで掘るかを書きます。雨期や凍結期を避ける、湧水の多い区間は排水の準備ができてから掘る、といった「時期」の判断もここに入れます。

(4) 掘削面の高さと勾配

次の節の基準表を使って、断面ごとに「地山の種類」「掘削面の高さ」「採用する勾配」を書きます。機械掘削の場合の考え方も次の節で説明します。

掘削勾配の基準(労働安全衛生規則 第356条・第357条)

手掘りの場合の勾配の上限

安衛則第356条・第357条は、手掘り(パワー・ショベルなどの掘削機械を使わない掘削)で地山を掘るときの掘削面の勾配を、次の値以下にするよう定めています。

地山の種類掘削面の高さ掘削面の勾配根拠
岩盤又は堅い粘土からなる地山5m未満90度以下第356条
岩盤又は堅い粘土からなる地山5m以上75度以下第356条
その他の地山2m未満90度以下第356条
その他の地山2m以上5m未満75度以下第356条
その他の地山5m以上60度以下第356条
砂からなる地山-35度以下とするか、掘削面の高さを5m未満とする第357条
発破等で崩壊しやすい状態になっている地山-45度以下とするか、掘削面の高さを2m未満とする第357条

計画書に書くときの注意点は次のとおりです。

  • 段で区切って判定する:掘削面に奥行き2m以上の水平な段があるときは、段で区切られたそれぞれの面を1つの掘削面として勾配を判定します(第356条)。
  • 砂は「勾配」か「高さ」のどちらか:35度以下にするか、高さを5m未満にするかのいずれかです。
  • 数値は上限:国の「土木工事安全施工技術指針」は、特に地質が悪い地山ではさらに緩やかな勾配とするよう求めています。

勾配の基準と土砂崩壊を防ぐ対策全般は、土留めが必要な深さの基準と掘削勾配で詳しく解説しています。

機械掘削の場合

機械掘削の勾配を数値で定めた条文はありません。土木工事安全施工技術指針は、切土面にその箇所の土質に見合った勾配を保って掘削すること(安衛則第356条・第357条を参照)を求め、施工計画では地山の調査結果に基づいて掘削面の高さと勾配を箇所ごとに定めるよう求めています。のり面が長くなる場合は数段に区切って掘削します。計画書には「機械掘削部も第356条・第357条の勾配を目安に、調査結果から○度とする」のように、採用した勾配とその理由を書きます。小段の幅や段の高さは、設計図書と施工計画で決めてください。

土留め(山留め)の書き方

深さ1.5m以上は原則として土留め

建築基準法施行令第136条の3第4項は、深さ1.5m以上の根切り工事では、地盤が崩壊するおそれがないときなどを除き山留めを設けるとしており、国の「建設工事公衆災害防止対策要綱」は、土木工事の土留めの要否もこの基準に準じるとしています。1.5m未満でも、地山の崩壊や土石の落下の危険があるときは、安衛則第361条により土止め支保工・防護網・立入禁止などの措置が必要です。

工法の選定理由と組立図

土留めを採用する場合は、次の内容を書きます。

  • 採用する工法(親杭横矢板、鋼矢板、SMWなど)と、地下水位・地盤・周辺環境から見た選定理由
  • 土留め壁と支保工の仮設計算書(設計図書に含まれる場合はその写し)
  • 組立図(部材の配置・寸法・材質、取付けの時期と順序。安衛則第370条)
  • 1段ごとの掘削深さと、支保工を取り付けてから次の段を掘る段階図
  • 点検の計画(設置後7日を超えない期間ごと、中震以上の地震の後、大雨等の後。安衛則第373条)と土止め支保工作業主任者

工法ごとに適用できる深さや部材寸法は、地盤条件と設計計算で決まります。一律の数値で選ばず、設計図書・仮設計算書で確認してください。工法の比較と施工手順は土留め工の施工手順にまとめています。仮設全体の計画は仮設計画書の書き方も参照してください。

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湧水・排水の処理の書き方

安衛則第534条は、地山の崩壊などのおそれがあるときは、崩壊の原因となる雨水や地下水等を排除するよう求めています。また国の共通仕様書(道路土工)は、工事目的物に影響を及ぼすおそれのある予期できなかった湧水が発生した場合は工事を中止して監督職員と協議し、施工中は雨水等の滞水を生じない排水状態を維持するよう定めています。

排水の方法概要計画書に書くこと
釜場排水掘削底に設けた集水ます(釜場)に水を集めてポンプで排水する釜場の位置、ポンプの台数と予備
ウェルポイント多数の小径の集水管で地下水を吸い上げ、地下水位を下げる適用する範囲、周辺地盤・井戸への影響の確認方法
ディープウェル深い井戸で地下水をくみ上げ、地下水位を下げる同上
止水(薬液注入・止水性の土留め壁など)地下水の流入を止める採用理由、周辺への影響の確認方法

どの方法が適するかは、地盤の透水性、地下水位、掘削深さ、周辺の状況で決まります。適用範囲を一律の数値で書かず、地質調査の結果と設計図書・協議で決めた方法を書いてください。あわせて、排水の放流先、放流の許可・承諾、濁水の処理方法(沈砂・濁水処理設備など)、放流先の水質の基準を書きます。

重機の作業計画(安衛則 第155条)

車両系建設機械(バックホウなど)を使って掘削するときは、安衛則第155条により、事前の調査(第154条)に適応する作業計画を定め、それに従って作業しなければなりません。作業計画に示す事項は次の3つで、運行経路と作業の方法は関係労働者に周知します。

  • 使用する車両系建設機械の種類及び能力
  • 車両系建設機械の運行経路
  • 車両系建設機械による作業の方法

掘削計画書では、この3つを掘削の順序と合わせて書くと、作業計画を兼ねられます。

安全対策の書き方

対策計画書に書くこと根拠
作業主任者掘削面の高さ2m以上の地山の掘削では、技能講習修了者から地山の掘削作業主任者を選任する安衛法施行令 第6条第9号、安衛則 第359条
毎日の点検点検者を指名し、その日の作業開始前、大雨の後、中震以上の地震の後に、浮石・き裂、含水・湧水・凍結の変化を点検する安衛則 第358条
崩壊の危険への措置土止め支保工・防護網・立入禁止など安衛則 第361条
近接構造物掘削で損壊のおそれがあるブロック塀・擁壁などは補強・移設等をしてから作業する安衛則 第362条
埋設物ガス導管・地中電線路などを機械で損壊するおそれがあるときは、掘削機械等を使わない(試掘・手掘り)安衛則 第363条
運搬機械運行経路と土石の積卸し場所への出入の方法を定めて周知、後進して近づくときなどは誘導者を配置安衛則 第364条・第365条
重機との接触運転中の車両系建設機械に接触するおそれのある箇所への立入禁止(誘導者を置く場合を除く)安衛則 第158条
保護帽明り掘削の作業者に着用させる安衛則 第366条
昇降設備高さ又は深さが1.5mを超える箇所には安全に昇降する設備等を設ける安衛則 第526条

安全衛生計画全体の書き方は安全衛生計画書の作成ガイドを参照してください。

掘削中の管理と異常時の対応

国の共通仕様書(道路土工の掘削工)は、掘削中の地山の挙動を監視すること、掘削中に土質の著しい変化や埋設物を発見した場合や、崩壊・地すべり等が生じた(生じるおそれがある)場合は工事を中止して監督職員と協議すること(緊急時は応急処置のうえ直ちに通知)を定めています。計画書には、次のような管理項目と、それぞれ誰がいつ確認するかを書きます。

管理項目確認方法の例頻度・時期の決め方
掘削面の勾配丁張り、勾配定規掘削の進行に合わせて。法令の点検(第358条)とあわせて記録
掘削深さ・床付け面レベル測量断面ごと。出来形は設計図書・出来形管理基準による
地山の状態(浮石・き裂・湧水)目視点検作業開始前・大雨の後・中震以上の地震の後(第358条)
地下水位観測井施工計画で決める
土留めの変位・部材目視、傾斜計など点検は7日を超えない期間ごと等(第373条)。計測頻度は施工計画で決める
周辺地盤・構造物レベル測量、クラックゲージ施工計画で決める

掘削箇所は埋め戻すと再撮影できないため、床付け面・土留め・埋設物の状況は工事写真の撮影計画にも入れておきます。撮影計画は写真管理計画の書き方を参照してください。

掘削計画書の記入例

計画書の「4 掘削面の高さと勾配」「5 土留め」の欄の書き方の例です。○の部分は工事の数値に置き換えてください。

欄記入例
地山の種類地質調査報告書(No.○孔)より、地表から○mまで砂質土、以深は粘性土。安衛則第356条の「その他の地山」に該当
掘削面の高さ最大○m(No.○〜No.○)
勾配(手掘り部)掘削面の高さ2m以上5m未満のため75度以下とする(安衛則第356条)
勾配(機械掘削部)土質と地下水位から○度とし、○m以上の区間は奥行き○mの段を設けて区切る
土留めの要否深さ1.5m以上となる区間(No.○〜No.○)は親杭横矢板による土留めを設ける。選定理由:地下水位が床付け面より低く、周囲に用地の余裕がないため
点検地山の掘削作業主任者(氏名は現場組織表)が作業開始前・大雨の後・中震以上の地震の後に点検し、記録する

提出前チェックリスト

確認すること根拠
□ 地山の形状・地質・地層、き裂・含水・湧水・凍結、埋設物、高温のガス・蒸気を調査し、結果を書いた安衛則 第355条
□ 調査結果に合った掘削の時期と順序を書いた安衛則 第355条
□ 断面ごとに地山の種類・掘削面の高さ・勾配を書き、手掘り部は上限以下になっている安衛則 第356条・第357条
□ 深さ1.5m以上の区間で土留めの要否を検討し、採用する場合は組立図をつけた建築基準法施行令 第136条の3、安衛則 第370条
□ 重機の種類と能力、運行経路、作業の方法を書いた安衛則 第155条
□ 地山の掘削作業主任者(高さ2m以上)と、土止め支保工作業主任者(支保工がある場合)を書いた安衛則 第359条・第374条
□ 毎日の点検の時期と点検者を書いた安衛則 第358条
□ 湧水・雨水の排水方法、放流先、濁水処理を書いた安衛則 第534条、共通仕様書 1-2-4-1
□ 埋設物の確認方法と、損壊のおそれがある箇所の手掘りを書いた安衛則 第363条
□ 土質の変化・埋設物の発見・崩壊時の中止と協議の手順、退避の方法を書いた共通仕様書 1-2-4-2

よくある質問

Q. 掘削計画書は法律で提出が義務づけられていますか。 A. 「掘削計画書」という名前の書類を定めた条文はありません。ただし、安衛則第355条(調査と掘削の時期・順序)、第155条(車両系建設機械の作業計画)、第370条(土止め支保工の組立図)などで、計画を事前に定めることは求められています。公共工事では、これらを施工計画書の一部として監督職員に提出するのが一般的です。

Q. 掘削勾配の基準を教えてください。 A. 手掘りの場合、岩盤又は堅い粘土からなる地山は高さ5m未満で90度以下・5m以上で75度以下、その他の地山は2m未満で90度以下・2m以上5m未満で75度以下・5m以上で60度以下です。砂は35度以下か高さ5m未満、発破等で崩れやすい地山は45度以下か高さ2m未満です(安衛則第356条・第357条)。

Q. 機械掘削の勾配はどう書けばよいですか。 A. 機械掘削の勾配を数値で定めた条文はありません。国の土木工事安全施工技術指針は土質に見合った勾配を保つよう求めているため、第356条・第357条を目安に、地山の調査結果から採用した勾配と理由を書きます。

Q. 土留めは深さ何mから計画書に書く必要がありますか。 A. 深さ1.5m以上の掘削では原則として土留めを設けるのが基準です(建築基準法施行令第136条の3、公衆災害防止対策要綱)。1.5m未満でも崩壊の危険があれば安衛則第361条の措置が必要なので、要否の判断とその理由を書いておきます。

まとめ

  • 掘削計画書は、地山の調査結果、掘削の時期と順序、掘削面の高さと勾配、土留め、湧水処理、重機の作業計画、点検と作業主任者を書く
  • 手掘りの掘削勾配は安衛則第356条・第357条の上限以下(その他の地山:2m未満90度、2m以上5m未満75度、5m以上60度)。機械掘削は土質に見合った勾配を理由つきで書く
  • 深さ1.5m以上は原則として土留め、掘削面の高さ2m以上は地山の掘削作業主任者
  • 適用深さ・排水方法・計測頻度などに一律の数値はないため、設計図書と仮設計算書、施工計画で決めた値を書く

施工計画書全体の構成は土木工事の施工計画書 完全作成ガイド、上下水道の開削工事は管渠工事の施工管理も参考にしてください。掘削計画書の作成でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

出典・参考

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