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安全管理計画書の作成をAIで効率化する具体手順|5ステップで下書き完了

安全管理計画書の作成をAIで効率化する具体手順|5ステップで下書き完了

安全管理計画書作成に時間がかかる3つの原因

安全管理計画書は、工事のたびに作成が必要な書類の代表格です。「過去工事のファイルをコピーして手直しすればよい」と言われる一方で、実際には現場に合わせた書き換えに丸1日以上かかることも珍しくありません。

なぜ時間がかかるのかを整理すると、原因は以下の3つに集約されます。

原因具体的な内容
1. リスクの洗い出しに漏れが出やすい工種が変われば想定災害も変わるため、毎回考え直しが必要
2. 法令や技術指針との整合確認労働安全衛生規則、土木工事安全施工技術指針との照合に時間が必要
3. 過去工事からのコピペで現場不整合工種・現場条件と合わない記述が残ってしまう

特に1つ目の「リスクの洗い出し」が最も頭を使う工程であり、ベテラン社員の経験が問われる部分です。ChatGPTやGeminiといった汎用AIを使えば、この最も頭を使う工程を「漏れを防ぐためのチェックリスト作り」として大幅に短縮できます

この記事では、安全管理計画書の作成をAIで効率化するための5ステップの具体手順を紹介します。安全管理計画書そのものの書き方については土木工事の安全管理計画書の書き方をあわせてご参照ください。

AI活用の全体像:5ステップの流れ

Step内容所要時間
Step 1工事概要をAIに伝える5分
Step 2リスクアセスメントのたたき台を作る10分
Step 3具体的対策と法令根拠を肉付けする30分
Step 4過去工事のテンプレートと統合する30分
Step 5人の目による最終チェックと発注者向け調整60分

全体として、ベテラン1人が従来8時間かけていた作業を、2〜3時間に短縮できるイメージです。以下、各ステップを具体的に解説します。

Step 1: 工事概要をAIに伝える

AIは工事の状況を自動的には理解できません。まず、工事概要を整理して伝えることから始めます。ここで情報が不足すると、後のリスクアセスメントもピントのぼけた内容になります。

AIに伝えるべき工事概要の項目

項目記載例
工事件名〇〇地区道路改良工事
工期2026年5月1日〜2026年11月30日
工事場所の特性市街地、供用中の道路に隣接、歩道あり
主な工種道路拡幅、擁壁工、排水工
使用機械バックホウ0.45m3、ダンプ10t、クレーン付きトラック
想定される最大作業員数1日あたり10名程度
近隣の状況住宅地、小学校が200m先、通学路あり

この情報を1つのテキストにまとめて、AIに貼り付けます。発注者固有の情報(担当者名、金額など)は含めないようにしてください。

Step 2: リスクアセスメントのたたき台を作る

工事概要が整ったら、AIにリスクアセスメントのたたき台を作らせます。このステップが最も時短効果が大きい工程です。

そのまま使えるプロンプト例

あなたは土木工事の安全管理を支援するアシスタントです。
以下の工事概要から、想定される労働災害のリスクを表形式で20項目挙げてください。

【工事概要】
(Step 1で整理した工事概要をここに貼り付け)

出力形式:
| No | 工種・作業 | 想定される災害 | 原因・発生要因 | 重篤度(大/中/小) |

注意事項:
- 労働安全衛生規則、土木工事安全施工技術指針で扱われる災害を想定
- 類似の災害はまとめず、できるだけ細かく分ける
- この現場で該当しないものも候補として含めてよい(後で絞り込む)

このプロンプトで出てくる20項目を、現場代理人が「このリスクは該当する/しない」で選別していきます。ベテランの頭の中にある経験を、漏れなく取り出す「チェックリスト」として使うのがポイントです。

出てくる項目の例:

  • 掘削法面の崩壊による作業員の下敷き
  • バックホウ旋回時の接触事故
  • ダンプトラック後退時の挟まれ
  • 供用中道路への出入りでの交通事故
  • 歩行者との接触
  • 酸素欠乏(管渠内作業)
  • 粉じん吸入
  • 熱中症(夏期作業)
  • 感電(埋設物損傷)

Step 3: 具体的な対策と法令根拠を肉付けする

リスクの洗い出しが済んだら、次はそれぞれのリスクに対する具体的な対策を追記します。ここでもAIを使えば、ベースの対策案が一気に揃います。

そのまま使えるプロンプト例

前のリクエストで挙げた20項目のリスクについて、
それぞれに対する具体的な安全対策を列記してください。

出力形式:
| No | 想定災害 | 対策1 | 対策2 | 対策3 | 関連法令 |

注意事項:
- 対策は「誰が、いつ、何をする」が分かるように具体的に
- 関連法令は労働安全衛生規則の条文番号まで特定できる場合は記載
- 確信がない条文番号は「要確認」と明記

法令条文までAIに答えさせることはできますが、間違いも混じります。条文番号は「要確認」として出させて、最終的には人の目で正しい条文を確認する運用が安全です。

法令条文の確認方法

業務参照元
労働安全衛生規則の条文確認e-Gov法令検索
土木工事安全施工技術指針の確認国土交通省サイト
各業界協会の安全資料全建、土研等の資料

AIが出した条文と照らし合わせて、正しい番号と内容に修正します。

Step 4: 過去工事のテンプレートと統合する

多くの会社では、安全管理計画書の「社内テンプレート」が存在します。AIの出力をそのまま使うのではなく、社内テンプレートに流し込んで整合性を取るのが重要です。

統合時の観点

観点確認内容
会社独自の項目社長方針、会社の安全衛生ポリシー等は社内テンプレートを優先
発注者の要求項目特記仕様書で指定された記載項目は必ず含める
表現の統一言い回しや用語を自社スタイルに統一
分量のバランスAI出力は網羅的すぎることが多い。現場規模に合わせて絞る

施工計画書全体の作成ガイドは土木工事の施工計画書の完全作成ガイドで整理していますので、施工計画書の他章との整合性もあわせてチェックしてください。

Step 5: 人の目による最終チェックと発注者向け調整

AIは、もっともらしい文章を生成できますが、事実と異なることを書いてしまう場合があります(ハルシネーション)。最終チェックは必ず人間の目で行います。

最終チェックリスト

チェック項目ポイント
現場条件と記述の整合市街地・山間部など、条件に合わない対策が残っていないか
使用機械と作業内容の整合計画書と実際の投入機械が一致しているか
法令条文の番号と内容条文番号が正しいか、内容と合っているか
数値の妥当性離隔距離、作業員数、機械台数の数値
固有名詞工事件名、発注者名、会社名、現場責任者名
記名・押印欄会社印、現場責任者印の欄があるか

発注者への提出前の追加確認

項目確認内容
特記仕様書の指定事項発注者が要求した記載項目がすべて含まれているか
提出部数・様式指定の様式(Word、Excel等)で作成しているか
添付書類体制図、連絡先一覧、緊急連絡網等の添付漏れ

よくある失敗と注意点

AIを使った安全管理計画書作成で、現場からよく聞く失敗パターンを3つ紹介します。

失敗1: AIの出力を検証せず発注者に提出

AIの出力には、事実と異なる記述(法令条文の誤り、技術指針の誤引用など)が混じることがあります。そのまま提出すると、発注者から修正指示が入るだけでなく、書類の信頼性そのものが疑われます。必ず人の目で確認する運用を徹底してください。

失敗2: 機密情報の入力

発注者から受領した設計図面・特記仕様書を、無料版のAIにそのまま貼り付けるのは避けてください。入力内容が学習に使われる可能性があります。業務で使うなら、学習オプトアウトができる有料プランが必須です。

失敗3: AI任せで若手が育たなくなる

AIに頼りすぎると、若手社員が「なぜその対策が必要なのか」を学ばないまま書類だけ作れるようになってしまいます。新人教育の場では、AIの出力を教材として使いつつ、なぜその対策が必要かを一緒に議論する時間を作ることが重要です。

まとめ:AIは「漏れを防ぐチェックリスト作成ツール」として使う

安全管理計画書の作成にAIを活用するポイントを整理します。

  • AIは「白紙から書く道具」ではなく「抜け漏れを防ぐチェックリスト作成ツール」として使う
  • 工事概要をしっかり伝えることが、リスクアセスメントの質を決める
  • 法令条文は必ず人の目で確認。AIの出力は「要確認」として扱う
  • 社内テンプレートと統合して、自社のスタイルに合わせる
  • 最終チェックは人間が必ず行う。AI任せは事故の元

従来8時間かかっていた安全管理計画書の作成を、AIを使えば2〜3時間に短縮できます。浮いた時間は現場の安全巡視や協力会社との打合せといった、人にしかできない本来業務に充てることができます。

書類業務全体の効率化の考え方は土木工事の業務効率化|現場代理人の残業を減らす5つの方法もあわせて参考にしてください。

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