出来形管理とは|土木工事の測定項目・管理基準値【一覧表】
出来形管理とは
出来形管理とは、施工した構造物の形状・寸法が設計図書の通りに仕上がっているかを確認・記録する業務です。公共工事では、国土交通省の「土木工事施工管理基準」に基づき、工種ごとに測定項目・測定頻度・管理基準値が定められています。
出来形管理の結果は、工事成績評定に直結するため、確実な管理が求められます。
出来形と出来高の違い
似た言葉に「出来高」がありますが、意味はまったく異なります。
| 用語 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 出来形 | 施工した構造物の形状・寸法(設計どおりに仕上がっているか) | 品質・精度の管理 |
| 出来高 | 工事の進捗に応じて完成した工事の数量・金額 | 部分払い(出来高払い)の請求・査定 |
「出来高調書」は、部分払いを受けるために完成済みの数量・金額を集計した書類で、出来形測定の結果(出来形管理表)を根拠資料として添付するのが一般的です。
出来形管理の基本的な流れ
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| (1) 管理項目の把握 | 施工管理基準から測定項目・頻度を確認 |
| (2) 測定計画の作成 | いつ、どこで、誰が測定するかを計画 |
| (3) 施工中の測定 | 施工と並行して出来形を測定・記録 |
| (4) 出来形管理図の作成 | 測定結果をグラフ化して管理 |
| (5) 出来形管理表の作成 | 測定値を一覧表にまとめる |
| (6) 写真管理 | 測定状況を写真で記録 |
| (7) 検査への対応 | 中間検査・完成検査で結果を提示 |
主要工種の測定項目と管理基準値
土工(掘削・盛土)
| 測定項目 | 規格値 | 測定頻度 |
|---|---|---|
| 基準高さ | プラスマイナス50mm | 40mに1箇所以上 |
| 幅 | プラスマイナス100mm(マイナスは不可の場合あり) | 40mに1箇所以上 |
| 法長 | 設計値のプラスマイナス100mm | 40mに1箇所以上 |
舗装工(アスファルト舗装)
| 測定項目 | 規格値 | 測定頻度 |
|---|---|---|
| 厚さ | 設計値のマイナス9mm以内(個々の測定値) | コア採取1,000m2に1箇所 |
| 幅 | 設計値以上 | 80mに1箇所 |
| 平坦性 | 3mmプロフィルメーター:2.4mm以下 | 全延長 |
コンクリート構造物
| 測定項目 | 規格値 | 測定頻度 |
|---|---|---|
| 基準高さ | プラスマイナス20mm | 構造物ごと |
| 厚さ | 設計値のマイナス20mm以内 | 構造物ごと |
| 幅 | 設計値のマイナス20mm以内 | 構造物ごと |
| 延長 | 設計値のマイナス30mm以内 | 構造物ごと |
管渠工(下水道)
| 測定項目 | 規格値 | 測定頻度 |
|---|---|---|
| 管の中心のずれ | プラスマイナス30mm | マンホール間1箇所以上 |
| 管底高さ | プラスマイナス30mm | マンホール間1箇所以上 |
| 勾配 | 設計値のプラスマイナス10%以内 | マンホール間ごと |
出来形管理図の作成方法
出来形管理図は、測定値を視覚的に表示し、設計値からのばらつきを確認するためのグラフです。
作成手順
(1) 横軸に測定位置(測点番号等)、縦軸に測定値を設定
(2) 設計値を中心線として記入
(3) 上限値・下限値(規格値)を記入
(4) 各測定位置の測定値をプロット
(5) 測定値を線で結ぶ
(6) 平均値を算出して記入
管理図の見方
| 状態 | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 全測定値が規格値内 | 合格 | 記録を保存 |
| 一部が規格値を超過 | 要対応 | 原因調査と是正措置 |
| 平均値が設計値から偏り | 傾向管理 | 施工方法の見直し |
| 測定値のばらつきが大きい | 傾向管理 | 施工精度の改善 |
測定の実施ポイント
測定機器
| 機器 | 用途 | 精度 |
|---|---|---|
| レベル(水準測量) | 高さの測定 | プラスマイナス数mm |
| TS(トータルステーション) | 位置・高さの測定 | プラスマイナス数mm |
| GNSS受信機 | 位置・高さの測定 | プラスマイナス20-30mm |
| コンベックス(巻尺) | 幅・厚さの測定 | プラスマイナス1mm |
| スケール(直尺) | 短い寸法の測定 | プラスマイナス1mm |
ICTを活用した出来形管理
近年は、ドローン測量や地上型レーザースキャナーを使った3次元出来形管理(面管理)が普及しています。面管理では、従来の測点管理に比べて以下のメリットがあります。
- 施工箇所全体の出来形を面的に確認できる
- 測定の漏れや偏りが少ない
- データの自動処理で管理図の作成が効率化される
ICT施工の導入方法については関連記事をご覧ください。
写真管理のポイント
出来形の測定時には、測定状況を写真で記録します。
| 撮影のポイント | 内容 |
|---|---|
| 黒板の記載 | 工事名、工種、測定項目、設計値、実測値 |
| 撮影範囲 | 測定位置と測定器具が分かるように撮影 |
| スケールの配置 | 測定箇所に当てた状態で撮影 |
| 連続性 | 測定位置の前後関係が分かるように撮影 |
検査での出来形管理の位置づけ
出来形管理の結果は、中間検査と完成検査で検査員に提示します。
| 提出書類 | 内容 |
|---|---|
| 出来形管理表 | 全測定値の一覧 |
| 出来形管理図 | 測定値のグラフ |
| 出来形展開図 | 構造物の寸法を図示 |
| 出来形写真 | 測定状況の写真 |
検査では、書類上の確認に加え、検査員が現場で実測する「出来形検測」も行われます。日頃から正確な測定と記録を心がけましょう。
出来形管理でつまずきやすい点
規格値を満たしているのに書類が通らない、という相談が多い箇所をまとめます。原因のほとんどは測定そのものではなく、測定の位置・頻度・記録の残し方にあります。
| つまずき | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| 測定位置が基準と違う | 数値は良いが、指定の断面で測っていないため無効 | 着手前に測定断面を図面に落として承認を得る |
| 頻度が足りない | 延長に対して測点が少なく、管理として成立しない | 基準の測定間隔を工程表に組み込む |
| 写真と数値が対応しない | どの測点の写真か分からず、証拠にならない | 黒板に測点名を書き、写真と管理図表の番号を揃える |
| 不可視部分を撮り忘れる | 埋め戻し後は二度と撮れない | 埋設前の撮影を工程の必須チェックにする |
| 平均値だけで判断する | 個々の測点が規格値を外れていても気づかない | 各測点の値と規格値の対比を残す |
規格値を外れたときの進め方
外れた事実を隠して先に進むのが最悪の対応です。次の順で処理します。
- 直ちに施工を止め、外れた範囲を特定する
- 監督員へ報告し、対応方針(是正、手直し、そのまま存置の可否)を協議する
- 決まった方針を書面で残す
- 是正後に再測定し、記録を残す
存置が認められる場合でも、協議の記録が無ければ後の検査で問題になります。「口頭で了解を得た」は記録として機能しません。
まとめ
出来形管理は、施工品質を証明するための重要な管理業務です。工種ごとの測定項目と管理基準値を正確に把握し、施工と並行して確実に測定・記録を行いましょう。品質管理計画と一体的に運用することで、工事成績の向上につながります。
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