土木工事 業務改善Navi
コラム約29分で読めます

電子納品の手順|土木工事の要領・フォルダ構成とチェック方法

公開日 最終更新日
電子納品の手順|土木工事の要領・フォルダ構成とチェック方法

電子納品とは、工事完成図・台帳などの工事完成図書と、施工計画書・打合せ簿などの工事帳票を、国の要領で決められた形式の電子データで発注者に納めることです。 国の土木工事の手順は、①工事着手時に監督職員と事前協議 → ②施工中は情報共有システムでデータを作成・共有 → ③完成時に要領どおりのフォルダ・ファイル名で整理 → ④「電子納品チェックシステム」でエラーを確認 → ⑤オンライン(原則)または電子媒体で納品、の流れです。最新の「工事完成図書の電子納品等要領」は令和8年2月版で、令和8年4月1日以降に契約する工事から適用されます。

本記事では、国土交通省の「工事完成図書の電子納品等要領」(以下、要領)と「電子納品等運用ガイドライン【土木工事編】」(以下、ガイドライン)にもとづき、手順・フォルダ構成・ファイル命名規則・チェック方法を整理します。数値やフォルダ名は末尾の「出典・参考」に挙げた公表資料で確認できるものに限っています。

電子納品とは

要領は、電子納品を「受注者が発注者に、電子成果品及び工事帳票を納品すること」と定義しています。用語を整理すると次のとおりです。

用語意味(要領・ガイドラインの定義の要約)
電子成果品工事完成図書のうち、電子的手段で納める成果品(工事完成図、台帳、地質データなど)
工事帳票施工計画書、打合せ簿、段階確認書、材料確認願、品質管理資料、出来形管理資料など
工事写真写真管理基準(案)で撮影した写真。電子データは「デジタル写真管理情報基準」で作成
オンライン電子納品情報共有システムに登録した電子成果品を、インターネット経由で納品すること
電子検査書類を紙に出力せず、電子データで行う検査

ガイドラインは、工事完成図書は原則として電子成果品とし、事前協議で紙での提出とした書類だけを紙で納めるとしています。また、受注者が押印・署名した紙の書類など、施工中に受発注者間で紙で交換・共有した書類は、電子納品の対象としません(要領 8-4)。

適用する要領・基準の版(早見表)

電子納品は、どの版の要領・基準で作るかで細部が変わります。国交省の電子納品Webサイトに掲載されている、土木の主な要領・基準の最新版は次のとおりです。

要領・基準最新版適用
工事完成図書の電子納品等要領令和8年2月令和8年4月1日以降に契約する工事
電子納品等運用ガイドライン【土木工事編】令和8年2月令和8年4月1日以降に契約する工事
CAD製図基準令和7年12月令和8年4月1日以降に契約する工事・業務
地質・土質調査成果電子納品要領令和8年2月令和8年4月1日以降に契約する工事・業務
デジタル写真管理情報基準令和5年3月令和5年4月1日以降に契約する工事・業務
オンライン電子納品実施要領【工事編】令和7年3月令和7年4月1日以降に竣工する工事

それより前に契約した工事は、契約時点の版を使うのが基本です。どの版を適用するかは事前協議で決める事項なので、着手時に必ず確認してください。自治体の工事では、その自治体の電子納品要領や運用基準が別にあることが多いため、発注者の指定を優先します。

電子納品の手順(全体の流れ)

ガイドラインにもとづく全体の流れは次のとおりです。

ステップやること時期
(1) 事前協議事前協議チェックシートで、情報共有の方法、電子納品の対象書類、納品方法、適用する要領の版などを監督職員と決める工事着手時
(2) データの作成・共有工事帳票は情報共有システムで作成・共有。工事写真はデジタル写真管理情報基準で整理施工中
(3) 電子成果品の作成工事完成図(CAD製図基準)、台帳、地質データなどを要領のフォルダ構成で作成工事完成時
(4) チェック電子納品チェックシステムでチェックし、管理ファイル・図面を目視でも確認。ウイルスチェックを行う納品前
(5) 納品情報共有システムからのオンライン電子納品が原則。できない場合は電子媒体に格納して納品工事完成時
(6) 工事写真の提出工事写真を格納した電子媒体を監督職員に提出工事完成時

オンライン電子納品では、打合せ簿(MEET)のデータだけを情報共有システムで作り、それ以外の電子成果品は受注者のパソコンで作成・チェックしてから情報共有システムに登録し、打合せ簿と結合して納品します。

事前協議で決めること

ガイドラインは、工事着手時に「事前協議チェックシート(土木工事用)」を使って、次の事項を監督職員と協議し決定するとしています。

協議事項具体的に決めること
施工中の情報交換・共有の方法情報共有システムの種類、利用する機能
電子納品の対象書類どの書類を電子で納めるか(道路工事完成図等作成要領の適用、地質調査の有無など)
納品方法オンライン電子納品か、電子媒体による納品か
施設情報の登録内容施設コード、施設名称、測地系、緯度経度、平面直角座標
オリジナルファイルの形式受注者が作るファイルの形式、ソフトウェアとバージョン
適用する要領・基準各電子納品要領・基準とガイドラインの版
その他インターネットへの接続環境、検査の方法

フォルダ構成の基本

要領(令和8年2月)のフォルダ構成は、「電子成果品」「情報共有システムから出力する工事帳票」「工事写真」で分かれています。フォルダ名はすべて半角英数大文字です。

電子成果品のフォルダ

フォルダ名格納するデータ
(ルート直下)工事管理ファイル INDEX_C.XML とそのDTD
DRAWINGF工事完成図(CAD製図基準に従う)
REGISTER台帳管理ファイル。その下に着手前・完成写真と、台帳のオリジナルファイルを入れる ORGnnn フォルダ
BORING地質・土質調査の電子データ(地質・土質調査成果電子納品要領に従う)
OTHRSガイドラインで示すその他の書類を入れる場合に作成。その下に ORGnnn フォルダ(監督職員の承諾を得て複数作成可)
ICONi-Constructionに係る電子データ(3次元計測の点群など)
BIMCIMBIM/CIMに関する電子データ(その下に DOCUMENT・MODEL フォルダ)

情報共有システムから出力する工事帳票のフォルダ

フォルダ名格納するデータ
PLAN施工計画書管理ファイル PLAN.XML。その下の ORG フォルダに施工計画書のオリジナルファイル
MEET打合せ簿管理ファイル MEET.XML。その下の ORG フォルダに打合せ簿と添付書類のオリジナルファイル
OTHRSその他の書類を入れる場合に作成

工事写真のフォルダ

フォルダ名格納するデータ
PHOTO写真管理ファイル PHOTO.XML とそのDTD
PHOTO/PIC写真ファイル
PHOTO/DRA参考図ファイル(撮影位置図など。参考図がなければ作らなくてよい)

なお、DRAWINGS フォルダは、発注者が貸与する発注図を入れるフォルダで、受注者が作る工事完成図は DRAWINGF に入れます。格納するデータがないフォルダは作らなくてかまいません。規定のないフォルダに保存したデータは電子納品保管管理システムに登録されないため、独自のフォルダを作らないよう注意します。

PattoAI

施工計画書や入札書類の作成に、毎回時間を取られていませんか?

施工計画書・入札書類・積算(実行予算/見積)の作成にかかる時間を、PattoAI で大幅に短縮できます。

ファイル命名規則

共通のルール

項目ルール
使用文字ファイル名・拡張子は半角英数大文字
文字数ファイル名8文字以内、拡張子3文字以内が基本(オリジナルファイルの拡張子は4文字まで可)
管理ファイルINDEX_C.XML(DTDは INDE_C09.DTD)、REGISTER.XML、OTHRS.XML、PLAN.XML、MEET.XML
着手前・完成写真PRE-PIC.JPG(着手前)、POST-PIC.JPG(完成)

図面(CAD)ファイルの命名規則

CAD製図基準(令和7年12月)では、CADデータの形式は SXF(P21)形式で、圧縮した SXF(P2Z)形式も対象です。ファイル名は次の順に並べます。

構成要素文字数内容
図面番号半角数字3文字表題欄の図面番号(001〜)
ライフサイクル半角英大文字1文字S(測量)、D(設計)、C(施工)、M(維持管理)
整理番号半角英数大文字1文字0〜9、A〜Z(さらに細かく区分するときに使う)
図面種類半角英大文字2文字PL(平面図)など
改訂履歴半角英数大文字1文字0〜9、A〜Yの順に使い、最終成果はZ
ユーザ定義領域先頭に「-」を付け、52文字以下図面の内容がわかる名前(原則として表題欄の図面名)
拡張子ピリオドを含め4文字.P21 または .P2Z

CAD製図基準に関する運用ガイドラインの記載例は「001D0PLZ-平面図.P21」です。納品時は改訂履歴をZにします。命名規則は版によって異なるため、適用するCAD製図基準の版を事前協議で確認してください。

写真ファイルの命名規則

デジタル写真管理情報基準(令和5年3月)では、次のとおりです。

ファイル命名規則
写真ファイル「P」+写真フォルダ内で重複しない英数字7文字(例:P0000001.JPG)
参考図ファイル「D」+参考図フォルダ内で重複しない英数字7文字+作成ソフト固有の拡張子
使用できる文字半角の大文字アルファベット(A〜Z)、数字(0〜9)、アンダースコア(_)

CADデータ(SXF形式)作成の注意点

CAD製図基準が対象とするのは SXF(P21)形式と、それを圧縮した SXF(P2Z)形式です。DWG・JWWなど各CADソフトの独自形式で作図した場合は、SXF形式に変換して納めます。変換では次のような不具合が起きやすいため、ガイドラインのとおりSXFビューア等で表示して目視確認します。

よくある問題起こりやすい原因対策
文字化け・文字のずれフォントの違い変換後にSXFビューアで表示して確認する
線や要素が消えるレイヤの対応づけの違いCAD製図基準のレイヤ名で作図・変換する
寸法や縮尺がずれる寸法線・用紙設定の差変換後に図面と寸法を目視で照合する
ハッチングが崩れるSXFで表現できないパターン単純なパターンに置き換える

工事写真の電子データ

工事写真は、写真管理基準(案)で撮影し、デジタル写真管理情報基準で整理して提出します。写真管理ファイル(PHOTO.XML)には、写真ごとに次のような項目を記入します。

項目記入内容(デジタル写真管理情報基準の要約)
写真-大分類工事写真は「工事」
写真区分「着手前及び完成写真」「施工状況写真」「安全管理写真」「使用材料写真」「品質管理写真」「出来形管理写真」「災害写真」「事故写真」「その他」のいずれか
工種・種別・細別新土木工事積算体系のレベル2〜4
写真タイトル写真管理基準(案)の撮影項目・撮影時期に相当する内容
撮影箇所測点位置、撮影対象までの距離、撮影内容など
撮影年月日CCYY-MM-DD形式の10桁(例:2026-10-01)
代表写真・提出頻度写真該当すれば「1」、該当しなければ「0」

写真は原則としてPIC・DRAの直下に直接保存し、階層分けはしません。写真の編集は認められません。有効画素数は、小黒板の文字が判読できることを指標に100万〜300万画素程度です。撮影頻度や小黒板、電子小黒板の扱いは撮影計画書(写真管理計画)の書き方で詳しく解説しています。

電子納品チェックシステムの使い方

電子納品チェックシステムは、国交省の電子納品Webサイトから無償でダウンロードできるソフトです。ガイドラインは、受注者が電子成果品と工事帳票を作成したら、最新の電子納品チェックシステムで要領・基準への適合をチェックするとしています。

確認すること内容
システムのチェックフォルダ構成、管理ファイルの記入内容、ファイル名などを自動でチェックし、エラーがないことを確認する
管理ファイルの目視確認管理ファイルをチェックシステムなどで表示し、工事概要などの内容を目視で確認する
図面の目視確認CAD製図基準に準拠した図面をSXFビューア等で表示して確認する
チェック結果の提出電子媒体で納品する場合、チェック結果を印刷して電子媒体とともに監督職員へ提出する
バージョンの確認要領・基準の改定や機能改良で更新されるため、適用するバージョンを確認して使う

チェックシステムでよく出るエラーと対策の目安は次のとおりです。

エラーの例主な原因対策
管理ファイル(XML)の記入不備必須項目の漏れ、使えない文字の使用電子成果品作成支援ツールで作成し、必須項目を埋める
ファイル名の不正全角文字や小文字の使用、文字数超過半角英数大文字・8文字以内に直す
ファイルが見つからない規定外のフォルダに置いた、階層を分けた要領のフォルダ構成どおりに配置し直す
適用要領基準の不一致作成ソフトとチェックシステムの版の違い事前協議で決めた版で作成・チェックする

電子媒体で納品する場合のルール

オンライン電子納品ができない場合は、電子媒体に格納して納品します。

項目ルール
媒体基本はCD-RまたはDVD-R。大容量の場合は協議によりBD-R
フォーマットCD-RはJoliet、DVD-RはUDF(UDF Bridge)、BD-RはUDF 2.6
書込み追記ができない形式で書き込む
枚数原則1枚。複数枚になる場合は、同じ工事管理ファイルを各媒体のルート直下に入れ、メディア番号を記入する
ウイルスチェック電子成果品が完成した時点で行う(要領 8-1)。電子媒体で納品する場合、ガイドラインは電子媒体へ格納する前のハードディスク上のデータと、格納した後の電子媒体で計2回行うよう示している。対策ソフトは常に最新のデータに更新したものを使う
媒体の表記工事番号、工事名称、電子媒体の内容、作成年月、発注者名、受注者名、何枚目/全体枚数、ウイルスチェックに関する情報、フォーマット形式、発注者署名欄、受注者署名欄
ウイルスチェック情報使用したウイルス対策ソフト名、パターンファイルの定義年月日またはパターンファイル名、チェック年月日(西暦)

現場用:電子納品の段階別チェックリスト

タイミング確認すること根拠
着手時適用する要領・基準の版を事前協議チェックシートで決めたかガイドライン 4.4
着手時電子納品の対象書類と納品方法(オンライン/電子媒体)を決めたかガイドライン 4.1
着手時情報共有システムの種類と使う機能を決めたかガイドライン 4.2
施工中工事写真をPHOTO/PIC直下に整理し、PHOTO.XMLの項目を埋めているかデジタル写真管理情報基準
施工中図面をSXF(P21)形式・CAD製図基準のレイヤ名で作っているかCAD製図基準
完成時工事完成図をDRAWINGFに入れ、ファイル名の改訂履歴をZにしたか要領 3、CAD製図基準
完成時規定外のフォルダを作っていないか、ファイル名は半角英数大文字8文字以内か要領 3、6
納品前最新の電子納品チェックシステムでエラーがないことを確認したかガイドライン 5.10、5.11
納品前管理ファイルと図面を目視で確認したかガイドライン 5.10.2
納品前電子成果品が完成した時点でウイルスチェックを行ったか(電子媒体の場合は格納前と格納後の計2回)要領 8-1、ガイドライン 5.1
納品時電子媒体のラベルに必要事項を表記したか要領 7-2、8-1

完成図書全体のそろえ方は完成図書の作り方と提出の流れも参照してください。

電子納品を効率化するツール

ツールの種類主な機能
電子成果品作成支援ツール(市販)フォルダ構成の作成、管理ファイル(XML)の作成
工事写真管理ソフト・写真アプリ写真の分類、写真管理ファイル(PHOTO.XML)の出力
CADソフト・変換ソフトSXF形式での保存・変換、レイヤ名の対応づけ
電子納品チェックシステム(国交省・無償)要領・基準への適合チェック

工事写真アプリの選び方は工事写真アプリの活用ガイド、電子小黒板の操作は電子黒板の使い方で解説しています。

よくある質問

Q. 電子納品の要領は最新版を使えばよいのですか。 A. 国の工事では、工事完成図書の電子納品等要領(令和8年2月)は令和8年4月1日以降に契約する工事から適用されます。それより前の契約の工事は契約時点の版が基本で、どの版を使うかは事前協議で決めます。

Q. 工事写真はどのフォルダに入れますか。 A. PHOTOフォルダの直下に写真管理ファイル(PHOTO.XML)を置き、写真はPHOTO/PIC、参考図はPHOTO/DRAの直下に入れます。PICやDRAの中で階層は分けません。

Q. 図面はDWGやJWWのまま納品できますか。 A. CAD製図基準が対象とするCADデータの形式はSXF(P21)形式と、それを圧縮したSXF(P2Z)形式です。各ソフトの独自形式で作った図面は、SXF形式に変換して納めます。

Q. 電子納品チェックシステムはどこで入手できますか。 A. 国交省の電子納品Webサイトから無償でダウンロードできます。要領・基準の改定などで随時更新されるため、適用するバージョンを確認して使います。

Q. 紙で受け取った書類も電子化して納品する必要がありますか。 A. 要領では、施工中に受発注者間で紙資料により交換・共有した書類は、原則として電子納品の対象としません。そのまま紙で保管します。

まとめ

  • 電子納品は、工事完成図書と工事帳票を要領の形式の電子データで納めること。オンライン電子納品が原則
  • 最新の工事完成図書の電子納品等要領は令和8年2月版(令和8年4月1日以降の契約工事に適用)。適用する版は事前協議で決める
  • フォルダは電子成果品(DRAWINGF・REGISTER・BORING・OTHRS・ICON・BIMCIM)、工事帳票(PLAN・MEET)、工事写真(PHOTO/PIC・DRA)に分かれる
  • ファイル名は半角英数大文字・8文字以内が基本。図面はSXF(P21)形式で、納品時は改訂履歴をZにする
  • 納品前に最新の電子納品チェックシステムでチェックし、目視確認とウイルスチェックを行う

分からない点は、早い段階で監督職員に確認するのが最も確実です。

出典・参考

お問い合わせはこちら →

お悩み別 おすすめサービス

いまの課題に近いものはどれですか?

選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。

PattoAIの無料体験について見る

お使いの業務に合う機能と、無料体験の内容をご確認いただけます。

関連記事