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工事費内訳書の書き方|国土交通省の様式と記載項目

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工事費内訳書の書き方|国土交通省の様式と記載項目

工事費内訳書は、公共工事の入札の際に入札金額の内訳を示して提出する書類で、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札契約適正化法)第12条により、すべての公共工事で提出が義務づけられています。 国土交通省の直轄土木工事では、数量総括表の工事区分・工種・種別・細別に対応する単位・員数・単価・金額を書き、商号又は名称・住所・工事名を記載します。令和7年12月12日以降に入札手続を開始する工事からは、材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費・建設業退職金共済(建退共)の掛金も明記が必要です。

本記事では、国土交通省の通知「工事費内訳書の提出について」と同省のガイドラインに沿って、様式の考え方、記載項目、作成手順、入札が無効になりうる不備を整理します。記載の数値・条文は、末尾の「出典・参考」に挙げた公表資料で確認できるものに限っています。

工事費内訳書とは

工事費内訳書(工事内訳書、入札金額内訳書とも呼ばれます)は、入札書と一緒に提出し、入札金額の根拠を示す書類です。入札契約適正化法は次のように定めています。

  • 第12条:建設業者は、公共工事の入札の申込みの際に、入札金額の内訳(材料費、労務費、適正な施工の確保に不可欠な経費として国土交通省令で定めるもの、その他施工に必要な経費の内訳)を記載した書類を提出しなければならない。
  • 第13条:発注者(各省各庁の長等)は、適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防ぎ、不正行為を排除するため、提出された書類の内容の確認その他の必要な措置を講じなければならない。

「国土交通省令で定める経費」は、同法施行規則第1条で法定福利費(健康保険料等の事業主負担額)、安全衛生経費、建退共の掛金の3つと定められています。

法律で提出が義務づけられているため、国・都道府県・市区町村のいずれの公共工事でも提出が必要です。ただし、様式・提出方法・記載の細かさは発注者ごとに異なるため、入札説明書(指名通知書)の指定に従うのが大前提です。

国土交通省の工事費内訳書の扱い(直轄工事)

国土交通省は、通知「工事費内訳書の提出について」(最終改正 令和7年11月27日)で、直轄工事の工事費内訳書の扱いを定めています。要点は次のとおりです。

項目通知の内容
対象工事競争入札に付するすべての工事
提出時期第1回の入札の際に、すべての入札参加者が提出
記載内容(土木工事)数量総括表に掲げる工事区分・各工種・種別・細別に相当する項目の単位・員数・単価・金額を少なくとも表示。種別・細別は数量総括表と同一でなくてもよい
様式様式自由。ただし商号又は名称・住所・工事名を記載
追加の明記事項材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費・建退共の掛金(法定福利費等)
入札説明書への明示提出を求める旨、提出形式、未提出・未記入等の不備があれば入札を無効とすることがある旨、必要に応じ公正取引委員会に提出することがある旨
入札後の扱い不良・不適格業者の疑い、低入札価格調査、談合の疑いがある場合に内容を確認
適用令和7年12月12日以降に入札手続を開始する工事

営繕工事(建築)は、数量書の種目別・科目別・中科目別・細目別内訳に相当する項目の数量・単位・単価・金額を表示する形式で、土木とは項目の単位が異なります。

工事費内訳書の基本構成(土木工事の様式例)

国土交通省のガイドライン「労務費ダンピングを防止するための公共発注者向けガイドライン」(令和7年12月)に示された土木工事の様式例は、上から次の順に並んでいます。

行内容新たに明記する項目
工事区分・工種・種別・細別数量総括表に対応させて、規格・単位・数量・単価・金額を記入―
直接工事費各細別の積み上げうち材料費、うち労務費
共通仮設費率計上分と積み上げ分―
純工事費直接工事費+共通仮設費―
現場管理費純工事費に対して計上うち法定福利費の事業主負担額、うち建退共制度の掛金
工事原価純工事費+現場管理費うち安全衛生経費
一般管理費等工事原価に対して計上―
工事価格工事原価+一般管理費等―
消費税相当額・工事費計工事価格に消費税等相当額を加えた額―

新たな項目の書き方について、同ガイドラインは次の考え方を示しています。

  • 材料費・労務費:細別ごとではなく、直接工事費の内数として記載する。材料費は主要な材料費が必須で、雑材料や建設機械の燃料費は任意。労務費は当面、積上げ積算方式や施工パッケージ型積算方式で積算した分を計上し、市場単価方式・標準単価方式の分は計上しなくてよい。
  • 法定福利費・建退共の掛金:公共土木工事の積算上は現場管理費に含まれるため、現場管理費の内数として記載する。建退共の掛金の対象となる労働者がいない場合は、金額欄に「-」と記載する。
  • 安全衛生経費:直接工事費・共通仮設費・現場管理費にまたがるため、工事原価の内数として記載する。
  • これらの項目は、欄外での明示や別様式での提出も可能とされています。

直接工事費の内訳の書き方(道路改良工事のイメージ)

工事区分・工種・種別・細別単位数量単価金額
道路改良式1―○○○,○○○円
 道路土工式1―○○○,○○○円
  掘削工式1―○○○,○○○円
   掘削m3数量総括表の数量○,○○○円○○○,○○○円
 排水構造物工式1―○○○,○○○円
 舗装工式1―○○○,○○○円

行の構成は、発注者が示す数量総括表の工種・種別・細別に合わせます。国土交通省の工事数量総括表は、事業区分(レベル0)から積算要素(レベル6)までの階層で整理されており、契約数量を表示し価格算出の基本となるのは「細別」(レベル4)です。

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作成手順

手順1:入札説明書を確認する

  1. 指定様式の有無と提出形式(記載の細かさ、ファイル形式)
  2. 材料費・労務費・法定福利費等の記載欄が様式内にあるか、別様式か
  3. 提出方法(電子入札システムへの添付か、紙か)と提出期限
  4. 不備があった場合の扱い(無効とする旨の記載)

手順2:数量総括表と設計図書を確認する

  1. 数量総括表の工事区分・工種・種別・細別を内訳書の行に写す
  2. 特記仕様書で指定された材料・工法・施工条件を確認する
  3. 数量は発注者が示した数量総括表の数量を使う

手順3:単価を設定する

  1. 材料費:物価資料や見積りを参考に、自社の調達条件を反映する
  2. 労務費:公共工事設計労務単価を参考に、歩掛から積み上げる
  3. 機械経費:損料や賃料をもとに設定する
  4. 施工条件(規模・場所・時間帯など)を反映して調整する

手順4:間接工事費と法定福利費等を計算する

  1. 共通仮設費:率計上分と積み上げ分を分けて計上する
  2. 現場管理費:純工事費をもとに算出し、うち法定福利費の事業主負担額・うち建退共の掛金を明記する
  3. 一般管理費等:工事原価をもとに算出する
  4. 安全衛生経費:直接工事費・共通仮設費・現場管理費に含まれる分を拾い、工事原価の内数として明記する

積算の全体の流れは土木工事の積算のやり方で解説しています。

手順5:入札金額と照合する

  1. 工事価格(消費税抜き)が入札書の金額と一致しているか
  2. 端数処理が発注者の指定どおりか
  3. 商号又は名称・住所・工事名に誤りがないか

入札が無効になりうる不備

国土交通省の通知では、第1回の入札で工事費内訳書が未提出、または提出された内訳書が未記入である等の不備がある場合は、その入札を無効とすることができるとされています。何が「不備」に当たるかの具体的な基準は発注者ごとに定められているため、入札説明書と発注者の公表資料を必ず確認してください。

不備の例起こりやすい原因対策
内訳書の未提出・添付漏れ電子入札でのファイル添付忘れ送信前に添付ファイル名と中身を確認
未記入の欄がある法定福利費等の欄の書き漏れ新しい明記項目(材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費・建退共の掛金)を一覧で点検
合計が入札金額と合わない転記ミス、Excelの計算式のずれ最終版の入札金額から逆算して照合
他の工事の内訳書を添付複数案件の同時作成工事名を表紙と明細の両方で確認
数量総括表の工種が抜けている行の写し漏れ数量総括表の工種数と内訳書の行数を照合

独自チェックリスト:提出前の10項目

土木工事 業務改善Naviが、国土交通省の通知とガイドラインの記載事項を提出前の点検順に並べ直したものです。発注者の入札説明書に別の定めがあれば、そちらを優先してください。

No.確認すること根拠
1入札説明書で指定された様式・提出形式で作成したか通知「工事費内訳書の提出について」3
2商号又は名称・住所・工事名を記載したか同通知 2
3数量総括表の工事区分・工種・種別・細別に対応する行があるか同通知 2
4各行に単位・員数(数量)・単価・金額があるか同通知 2
5直接工事費の内数として材料費・労務費を明記したかガイドライン 2-2
6現場管理費の内数として法定福利費の事業主負担額を明記したか入札契約適正化法施行規則 第1条、ガイドライン 2-2
7建退共の掛金を明記したか(対象者がいなければ「-」)同上
8工事原価の内数として安全衛生経費を明記したか同上
9工事価格が入札書の金額と一致しているか―
10第1回の入札の際に、入札書と一緒に提出したか同通知 4

低入札価格調査・労務費ダンピング調査との関係

提出した工事費内訳書は、入札後の調査にも使われます。国土交通省の通知では、低入札価格調査を行う場合や談合の疑いがある場合に内訳書の内容を確認するとされています。

さらに令和7年12月の同省ガイドラインでは、発注者が行う「労務費ダンピング調査」が示されました。落札候補者の内訳書に記載された直接工事費が「一定水準」以上かを確認し、下回る場合はヒアリングや書面で理由を確認する仕組みで、一定水準は当該工事の直接工事費の官積算額に係数(中央公契連モデルの0.97を基本)を乗じた額とされています。係数は発注者が設定できるため、実際の運用は各発注者の公表資料で確認してください。

低入札価格調査の基準価格の考え方は低入札価格調査への対応で解説しています。

工事費内訳書と請負代金内訳書の違い

検索では「請負代金内訳書」と混同されがちですが、提出の時期と根拠が異なります。

項目工事費内訳書(入札金額の内訳)請負代金内訳書
提出時期入札の際(第1回の入札)契約後
根拠入札契約適正化法 第12条公共工事標準請負契約約款 第3条(発注者が採用する契約書)
主な記載数量総括表に対応した単位・員数・単価・金額、材料費・労務費・法定福利費等設計図書に基づく内訳。材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費・建退共の掛金を明示
目的ダンピング・不正行為の防止のための確認契約内容の把握(工程表とあわせて提出)

電子入札での提出

電子入札では、工事費内訳書を電子入札システムで入札書に添付して提出するのが一般的です。ファイル形式・容量・ファイル名の付け方は発注者やシステムによって異なるため、入札説明書で確認し、締切前に余裕をもってアップロードします。送信後は修正できない場合があるため、添付前に最終版かどうかを確認してください。電子入札の準備は電子入札の始め方、入札全般の手順は入札チェックリストを参照してください。

よくある質問

Q. 工事費内訳書の提出は法律で義務づけられていますか。 A. はい。入札契約適正化法第12条で、公共工事の入札の申込みの際に入札金額の内訳を記載した書類の提出が建設業者に義務づけられています。

Q. 国土交通省の工事費内訳書に決まった様式はありますか。 A. 直轄工事は「様式自由」で、数量総括表の工事区分・工種・種別・細別に対応する単位・員数・単価・金額と、商号又は名称・住所・工事名を記載します。国土交通省のガイドラインに様式例が示されているほか、各発注者が様式を指定している場合はそれに従います。

Q. 法定福利費はどこに書けばよいですか。 A. 国土交通省のガイドラインの土木工事の様式例では、現場管理費の内数として「うち法定福利費の事業主負担額」を記載します。欄外での明示や別様式での提出も可能とされています。

Q. 内訳書に不備があると入札はどうなりますか。 A. 国土交通省の通知では、未提出や未記入等の不備がある場合は入札を無効とすることができるとされています。具体的な扱いは入札説明書で確認してください。

まとめ

  • 工事費内訳書は入札契約適正化法第12条に基づき、公共工事の入札時に提出する入札金額の内訳
  • 国土交通省の直轄土木工事は様式自由で、数量総括表に対応する単位・員数・単価・金額と商号・住所・工事名を記載
  • 令和7年12月12日以降に入札手続を開始する工事からは、材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費・建退共の掛金も明記
  • 未提出・未記入等の不備は入札無効になりうるため、提出前にチェックリストで点検する

入札参加の基本的な流れは公共土木工事の入札ガイドも併せてご確認ください。

出典・参考

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