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公共工事の落札率とは|入札の勝率を上げる積算と価格の考え方

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公共工事の落札率とは|入札の勝率を上げる積算と価格の考え方

落札率とは、予定価格に対する落札金額の割合(落札金額÷予定価格×100)のことで、入札にどれだけ勝てたかを示す「勝率(受注率)」とは別の指標です。 公共工事の入札で勝率を上げるには、①予定価格・最低制限価格・低入札価格調査基準価格という「価格の線」の仕組みを正しく知る、②積算の精度を上げて自社の原価を把握する、③総合評価落札方式では価格だけでなく技術評価点も上げる、の3つを入札結果の記録とあわせて積み上げていくのが基本です。確実に勝てる方法はなく、低すぎる価格での入札は失格や赤字につながる点にも注意が必要です。

本記事では、落札率と勝率の違い、価格の線を決める制度と国の算定式、総合評価の評価値の考え方、積算精度を上げるポイント、入札結果の記録と振り返りの方法を整理します。

落札率と勝率(受注率)の違い

指標計算方法わかること
落札率落札金額 ÷ 予定価格 × 100落札した価格が予定価格に対してどの水準だったか
勝率(受注率)落札件数 ÷ 入札参加件数 × 100参加した入札のうちどれだけ受注できたか(自社で管理する指標)
自社の入札率自社の入札金額 ÷ 予定価格 × 100自社がどの価格水準で入札しているか(予定価格が公表される案件で計算)

「落札率を上げる」と検索されることがありますが、受注者の立場で上げたいのは多くの場合「勝率」です。落札率を上げる(高い価格で落札する)ことと、勝率を上げる(多く落札する)ことは、価格競争の場面ではしばしば逆方向に働きます。自社の目標がどちらなのかを分けて考えることが、価格戦略の出発点になります。

落札を左右する「価格の線」の仕組み

公共工事の入札では、価格について次の線が決められています。

線内容下回った・上回ったとき根拠
予定価格発注者が仕様書・設計書などから定める価格の上限予定価格を超える入札は落札者になれない会計法第29条の6、予算決算及び会計令第79条
最低制限価格地方公共団体が契約の適正な履行のため特に必要と認めるときにあらかじめ設ける価格下回ると落札者になれない(調査なし)地方自治法施行令第167条の10第2項
低入札価格調査基準価格契約内容に適合した履行がされないおそれがあるかを判断する基準下回ると履行可能性の調査が行われ、履行可能性が認められなければ落札者としない会計法第29条の6ただし書、予算決算及び会計令第85条・第86条、地方自治法施行令第167条の10第1項

国の工事は低入札価格調査制度、地方公共団体の工事は最低制限価格制度か低入札価格調査制度のどちらか(または併用)です。どちらを採用しているか、予定価格や最低制限価格を事前に公表するかは発注者と工事によって異なるため、公告と入札説明書で必ず確認してください。制度の詳細は低入札価格調査制度の仕組みで解説しています。

国土交通省の低入札価格調査基準の算定式

国土交通省が発注する工事の低入札価格調査基準は、令和4年4月1日以降に入札公告を行う工事について次のとおりです(令和4年2月24日 大臣官房技術調査課公表)。

費目算入率
直接工事費×0.97
共通仮設費×0.90
現場管理費×0.90
一般管理費等×0.68(令和4年度に0.55から引き上げ)

上の合計額に消費税を掛けた額が調査基準価格です。計算した額は予定価格の7.5/10〜9.2/10の範囲内で設定し、範囲を上回る(下回る)場合は上限(下限)の値になります。

地方公共団体の多くが参考にする中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)のモデルも、同じ時期に一般管理費等の算入率を10分の5.5から10分の6.8に引き上げています。ただし、地方公共団体は独自に算定式を見直していることがあるため、入札する発注者の公表している最新の算定式を確認してください。

計算例:調査基準価格の目安をつかむ

土木工事 業務改善Naviが、上の国の算定式の使い方を示すために作った計算例です。費目の金額は説明のための仮の数値です。

費目設計上の金額(仮の数値・税抜)算入率算入額
直接工事費6,000万円×0.975,820万円
共通仮設費600万円×0.90540万円
現場管理費1,500万円×0.901,350万円
一般管理費等900万円×0.68612万円
合計(工事価格)9,000万円8,322万円

この例では、算定式の合計8,322万円は工事価格9,000万円の約92.5%で、上限の9.2/10(8,280万円)を超えるため、調査基準価格は上限の8,280万円(税抜)になります。消費税は両方に同じ率で掛かるため、比率は税抜で比べても変わりません。このように、直接工事費の比率が高い工事ほど上限に張り付きやすく、間接費の比率が高い工事ほど算定式の値がそのまま使われやすくなります。自社の積算で費目ごとの金額を出しておけば、公告前でも調査基準価格のおおよその位置がつかめます。

総合評価落札方式では技術評価点も勝敗を分ける

国土交通省の直轄工事(港湾空港関係を除く)の総合評価落札方式は、除算方式で評価値を求め、原則として評価値が最も高い者を落札者とします。

評価値 = 技術評価点 ÷ 入札価格

技術評価点 = 標準点(要求要件を満たせば一律100点)+ 加算点 + 施工体制評価点

加算点は、企業と配置予定技術者の同種工事の施工実績、工事成績、表彰などや、技術提案の内容で付きます。価格を下げなくても、加算点を上げれば評価値は上がります。逆に、加算点で差をつけられている相手には、価格を下げても追いつけないことがあります。総合評価の案件で勝率を上げるには、工事成績評定を高く保つこと、技術提案の質を上げることが欠かせません。詳しくは技術提案書の書き方と施工計画書の品質と工事成績評定を参照してください。

積算精度を上げる4つのポイント

価格の線の近くで勝負するには、自社の原価を正確に知っていることが前提です。

ポイント1:設計図書を正確に読み解く

よくあるミス対策
数量の拾い漏れ工種ごとのチェックリストで漏れなく確認する
図面と数量表の不一致疑義があれば入札前に質問書を提出する
仮設工の見落とし現場条件から必要な仮設を洗い出す
条件明示の見落とし特記仕様書、現場説明書を読み込む

ポイント2:現場踏査を丁寧に行う

確認項目積算への影響
搬入経路の状況運搬費、大型車両の通行可否
現場周辺の環境騒音・振動対策費、作業時間の制限
地盤の状態掘削方法、地盤改良の要否
仮設ヤードの確保仮設費、材料置場の費用
既設構造物の状況撤去費、養生費

ポイント3:最新の単価を適用する

単価の種類出典更新
公共工事設計労務単価国土交通省年度ごとに公表(令和8年度分は令和8年2月17日公表、3月から適用)
資材などの市場価格一般財団法人 建設物価調査会「建設物価」、一般財団法人 経済調査会「積算資料」(いずれも民間の刊行物)月刊
メーカー見積各メーカー随時

設計図書で指定されている単価の出典と時期を確認し、自社の積算もそれに合わせます。

ポイント4:間接工事費を適正に計上する

間接工事費(共通仮設費・現場管理費)と一般管理費等は、国土交通省の土木工事標準積算基準書で率の算定方法が定められています。上の調査基準価格の算定式も費目ごとに算入率が違うため、費目の区分を発注者の積算と同じ考え方でそろえておくと、価格の線との位置関係を正しく読めます。

費目主な内容注意点
共通仮設費工事に共通して必要な仮設などの費用率計算に含まれるものと積上げで計上するものを、積算基準で確認して分ける
現場管理費工事現場を管理・運営するための費用自社の実際の現場経費と比べる
一般管理費等本社の経費と付加利益赤字工事を避けるため、削りすぎない
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過去の入札結果を分析する

公共工事の入札結果(参加者、入札金額、予定価格、落札金額など)は、発注者のホームページや入札情報サービスで公表されています。公表する項目は発注者によって異なります。自社の勝率を上げるには、これを継続して集めて分析するのが近道です。

データ分析の目的
発注者ごとの落札率発注者・工種ごとの価格水準の把握
競合他社の入札金額競合の価格水準と参加傾向の把握
予定価格と最低制限価格・調査基準価格価格の線の位置の把握
不調・不落の案件積算と予定価格の差が大きい案件の特徴

過去の入札データは入札情報の収集方法で紹介しているサービスで効率的に集められます。不調・不落が起きる理由は入札不調・不落はなぜ起きる?で解説しています。

価格戦略の考え方

案件ごとに方針を変える

すべての案件で同じ価格の付け方をする必要はありません。

案件の位置づけ考え方
実績を積みたい工種同種工事の実績は総合評価の加算点にもつながるため、受注の優先度を上げる
得意な工種自社の施工効率を積算に反映し、利益を確保しつつ価格で競う
工期に余裕がない案件工程リスクを見込んだ価格にする
遠隔地の案件運搬費・宿泊費など追加のコストを反映する

ダンピングのリスク

極端に低い金額での入札(ダンピング)には、次のリスクがあります。

  • 最低制限価格を下回れば失格、調査基準価格を下回れば低入札価格調査の対象になる
  • 赤字工事による経営悪化
  • 施工品質の低下による工事成績評定点の下落と、その後の総合評価での不利

現場用:入札結果の記録シートと振り返りチェックリスト

土木工事 業務改善Naviが、勝率を上げるための振り返りに必要な項目を、上の制度と算定式に沿ってまとめた記録シートです。1案件1行で記録します。

記録項目記入する内容
発注者・工種・工事規模どこの、どの工種の、どの規模の案件か
入札方式価格競争/総合評価(施工能力評価型・技術提案評価型など)
価格の線予定価格、最低制限価格または調査基準価格(公表されたもの)
自社の積算額と入札金額費目別の積算額(直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)と入札金額
結果落札/非落札、落札者と落札金額、順位
総合評価の場合自社と落札者の技術評価点(加算点)の差
差の要因価格・加算点・積算の漏れなど、負けた(勝った)理由

月ごと・四半期ごとに、次の点を振り返ります。

順番確認すること
1勝率(落札件数÷参加件数)を、発注者別・工種別・入札方式別に出したか
2負けた案件で、価格と加算点のどちらで差がついたかを分けたか
3自社の積算額と予定価格の差が大きい案件で、拾い漏れや単価の違いを確認したか
4最低制限価格・調査基準価格の算定式の改定が、入札する発注者で出ていないか確認したか
5加算点の対象になる工事成績・同種工事実績・技術者の資格を伸ばす計画があるか

よくある質問

Q. 落札率とは何ですか。 A. 予定価格に対する落札金額の割合です。落札金額÷予定価格×100で計算します。入札にどれだけ勝てたかを示す勝率(受注率)とは別の指標です。

Q. 公共工事の入札で勝率を上げるにはどうすればよいですか。 A. 価格の線(予定価格・最低制限価格・低入札価格調査基準価格)の仕組みを理解したうえで積算精度を上げ、総合評価の案件では工事成績や技術提案で加算点を上げることが基本です。入札結果を記録し、負けた理由を価格と加算点に分けて振り返ると、改善点が見えやすくなります。

Q. 最低制限価格と低入札価格調査基準価格は何が違いますか。 A. 最低制限価格は下回ると調査なしで落札者になれない価格、低入札価格調査基準価格は下回ると履行できるかの調査が行われる基準です。国の工事は低入札価格調査制度で、最低制限価格は地方公共団体が設けるものです。

Q. 国の低入札価格調査基準価格はどう計算しますか。 A. 直接工事費×0.97、共通仮設費×0.90、現場管理費×0.90、一般管理費等×0.68の合計に消費税を掛け、予定価格の7.5/10〜9.2/10の範囲に収めます(令和4年4月1日以降に入札公告を行う国土交通省発注工事)。地方公共団体の算定式は発注者ごとに確認が必要です。

まとめ

  • 落札率は「落札金額÷予定価格」、勝率は「落札件数÷参加件数」。目標をどちらに置くかを分けて考える
  • 予定価格を超えると落札できず、最低制限価格を下回ると失格、調査基準価格を下回ると低入札価格調査になる
  • 国の調査基準価格は直接工事費×0.97+共通仮設費×0.90+現場管理費×0.90+一般管理費等×0.68(予定価格の7.5/10〜9.2/10の範囲)
  • 総合評価では評価値=技術評価点÷入札価格。加算点を上げることも勝率に直結する
  • 入札結果を1案件ずつ記録し、価格と加算点に分けて振り返る

入札準備の全体像は公共工事の土木入札 完全ガイドで確認できます。

出典・参考

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