土木工事の週休2日の進め方|国交省の取組と工期設定の考え方
土木工事会社が週休2日を進めるには、①就業規則の所定休日と36協定(さぶろくきょうてい:時間外・休日労働についての労使協定)を週休2日を前提に整え、②工事ごとに休日を含めた工期を見積もって発注者と協議し、③現場閉所(現場を丸ごと休みにする方式)か交替制(技術者・技能労働者が交替で休む方式)で4週8休(4週間に8日、割合で28.5%)を確保して記録する、の3つを順に固めることが基本です。 2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたため、休日を減らして工期に間に合わせるやり方は上限の範囲でしか使えません。国土交通省の直轄工事では、令和7年度まで週休2日の取得に要する費用を補正係数で計上する試行が行われ、令和8年度からは試行を完了して費用計上を行わず、週休2日や交替制など地域・現場に応じた方法で取り組む方針に移っています。
この記事では、週休2日と労働基準法の関係、国交省直轄工事の週休2日の用語と方針の変化、工期設定の考え方、会社として導入する手順を整理します。時間外労働の上限規制そのものの詳しい内容は建設業の2024年問題で解説しています。制度・数値は末尾の「出典・参考」に挙げた法令と国土交通省・厚生労働省・中央建設業審議会の資料で確認したもので、個々の工事の扱いは発注者の特記仕様書・入札説明書で確認してください。
週休2日と労働基準法の関係
週休2日そのものは、法律で全ての会社に義務づけられているわけではありません。ただし、労働時間と時間外労働の上限は法律で決まっており、週休2日はこれを守りやすくする働き方です。
| 規定 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 法定労働時間 | 1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない | 労働基準法第32条 |
| 法定休日 | 毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日 | 同第35条 |
| 時間外・休日労働 | 労使協定(36協定)を結び届け出た場合に、協定の範囲で可能 | 同第36条第1項 |
| 時間外労働の上限 | 原則月45時間・年360時間。特別条項でも年720時間以内、休日労働を含め単月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内、月45時間超は年6か月まで | 同第36条第3項〜第6項 |
| 建設業への適用 | 2024年(令和6年)4月から上限規制を適用。災害の復旧・復興の事業は単月100時間未満・複数月平均80時間以内の規定を適用しない | 同第139条、厚生労働省 |
1日8時間で働く場合、週40時間に収まるのは5日分です。土曜にも8時間働くと、その週の超過分は時間外労働として上限の対象になります。週休1日(4週4休)を前提にした工程は、時間外労働の上限と両立しにくい組み方といえます。
中央建設業審議会の「工期に関する基準」(令和6年3月27日最終改定)も、建設業では長らく週休1日(4週4休)が続いてきたとしたうえで、担い手一人ひとりが週休2日(4週8休)を確保できるようにしていく必要があるとしています。また、時間外労働の対象となる労働時間には、現場での作業や監督の時間だけでなく、書類作成の時間や、使用者の指揮命令下で営業所等と現場の間を移動する時間なども含まれうることに考慮が必要だとしています。
国交省直轄工事の週休2日:用語の早見表
国の直轄工事では、週休2日の達成状態を次のように定義しています(関東地方整備局「令和7年度 週休2日制適用工事の概要」、国土交通省「直轄土木工事における適正な工期設定指針」令和8年3月)。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 現場閉所 | 現場(現場事務所での事務作業を含む)を1日を通して閉所した状態(四国地方整備局の定義) |
| 完全週休2日(土日) | 対象期間の全ての土日に現場閉所を行った状態。受注者の責によらず土日に施工する場合は、協議により代わりの閉所日(代替休日)を設定 |
| 月単位の週休2日 | 対象期間の全ての月で、現場閉所日数の割合(現場閉所率)が28.5%(8日/28日)以上 |
| 通期の週休2日 | 対象期間の全体で、現場閉所率が28.5%(8日/28日)以上 |
| 週休2日交替制 | 現場閉所が難しい工事で、技術者・技能労働者が交替しながら休日を確保する方式。休日率(平均休日数の割合)28.5%以上などで判定 |
| 対象期間 | 工事着手日から工事完成日まで。年末年始休暇6日間、夏季休暇3日間、工場製作のみの期間、工事全体の一時中止期間などは含まない |
降雨・降雪などによる予定外の現場閉所日も、現場閉所日数に含めるとされています。また、暦の上の土日を閉所しても28.5%に満たない月は、その月の土日の合計日数以上を閉所していれば4週8休を達成しているとみなす扱いです。
直轄工事では、土木工事共通仕様書(令和8年3月)の「1-1-1-29 週休二日の対応」で、受注者は週休二日に取り組み、その実施内容を監督職員に報告しなければならないとされ、施工計画書の記載事項にも「法定休日・所定休日(週休二日の導入)」が含まれています(1-1-1-6)。
令和7年度までと令和8年度以降の違い
国交省直轄工事(官庁営繕関係・港湾空港関係を除く)の週休2日の扱いは、令和8年度に大きく変わりました。
| 項目 | 令和7年度まで(関東地方整備局の例) | 令和8年度以降(国の通知) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 週休2日制適用工事(試行) | 試行は完了。週休2日や交替制など、地域の実情や現場の状況等を踏まえた適切な方法で取り組む |
| 発注方式 | 受注者が工事着手前に完全週休2日を希望するか判断して協議(希望しない場合は月単位の週休2日) | 地方整備局ごとの実施方針による(四国地方整備局は全工事を発注者指定方式で、本官工事は完全週休2日(土日祝)、分任官工事は完全週休2日(土日)) |
| 費用の計上 | 達成状況に応じて経費に補正係数を乗じる(完全週休2日(土日)は労務費1.02・共通仮設費率1.02・現場管理費率1.03、月単位の週休2日は労務費1.02・共通仮設費率1.01・現場管理費率1.02) | 補正係数による費用計上等は実施しない |
| 未達成時 | 達成状況に応じて補正係数を変更(月単位も未達なら補正なし) | 費用の補正はない |
| 工事成績 | 明らかに月単位の週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合は減点 | 四国地方整備局の方針では、明らかに受注者側に週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合は工事成績評定で考査 |
| 工期・時間の変更 | 受注者の責によらない場合は、協議で対象外期間を設定 | 受注者から施工期間・時間等の変更の協議があれば、発注者は丁寧に協議に応じる |
令和8年3月31日までに入札公告等を行った工事は、旧通知(補正係数による費用計上の試行)が適用されます。施工中の工事がどちらに当たるかは、入札説明書・特記仕様書で確認してください。都道府県・市町村の工事は、それぞれの発注者が独自に週休2日の取組を定めているため、国の方針と同じとは限りません。
国の資料では、令和8年度以降は週休2日のほか、気候(猛暑対策等)を踏まえた働き方、変形労働時間制(一定期間を平均して週40時間以内に収める制度。労働基準法第32条の4の1年単位の変形労働時間制など)を適用した柔軟な働き方など、多様な働き方の支援に軸足を置くとしています(関東地方整備局「週休2日の試行内容」)。
工期設定の考え方:休日は工期に含まれている
週休2日を守れるかどうかは、工期に休日と作業不能日が見込まれているかで大きく変わります。国交省の「直轄土木工事における適正な工期設定指針」(令和8年3月)は、発注者が工期を設定する際に次の日数・期間を見込むとしています。
| 工期に含める日数・期間 | 指針の内容 |
|---|---|
| 準備期間 | 主たる工種ごとに最低限必要な日数を設定(例:河川工事40日、道路改良工事40日、舗装工事(新設)50日、砂防・地すべり等工事30日) |
| 休日 | 行政機関の休日(年末年始休暇6日を含む)と夏季休暇3日。月単位で4週8休を確保することを前提に設定 |
| 天候等による作業不能日 | 1日の降雨・降雪量が10mm以上の日、8時から17時までのWBGT値(暑さ指数)が31以上の時間を合計して日数換算したもの。過去5か年の気象庁・環境省のデータから地域ごとの年間平均を算出することが基本 |
| その他の作業不能日 | 出水期の作業制限、積雪期の冬期休止、地元の催事、交通規制の時期など工事・地域の事情 |
| 後片付け期間 | 20日を最低限必要な日数として設定 |
指針の特記仕様書の記載例では、「工期は、雨天、休日等○○日間を見込み」とし、休日には日曜日・祝日・年末年始・夏季休暇のほか「作業期間内の全ての土曜日を含んでいる」と明記するよう示されています。受注者側は、入札・契約の段階で特記仕様書のこの記載を確認し、自社の工程と比べて不足があれば早めに協議するのが出発点になります。
民間工事を含む全ての建設工事に適用される「工期に関する基準」でも、受注者は時間外労働規制を守れる適正な工期を確保した見積りを提出するよう努めること、発注者はその内容を確認し尊重することが示されています。また、週休2日の確保に当たっては、日給月給制の技能労働者等の処遇水準の確保に十分留意し、必要な経費を請負代金に適正に反映することが必要としています。工期の算定の具体的な組み立て方は施工計画書に添付する工程表の作り方を参照してください。
週休2日を導入する手順
会社として週休2日を進める際の流れを、法令と国の資料で求められている事項に沿って整理します。
| 手順 | やること | 根拠・参考 |
|---|---|---|
| 1. 現状を把握する | 社員ごとの休日数と時間外・休日労働の時間を記録で確認する。移動時間や書類作成の時間も労働時間に含まれうる点に注意 | 労働基準法第36条、工期に関する基準 |
| 2. 社内ルールを整える | 就業規則の所定休日、36協定の内容を週休2日前提で見直す。変形労働時間制を使う場合は労使協定と就業規則の変更を行う | 労働基準法第32条、第32条の4、第35条、第36条 |
| 3. 受注前に工期を確認する | 特記仕様書の「雨天、休日等○○日間」、準備・後片付け期間、週休2日の取組方式を確認し、休日込みの工期を見積もる | 適正な工期設定指針、工期に関する基準 |
| 4. 施工計画書に記載する | 法定休日・所定休日(週休二日の導入)を施工計画書に書く。交替制の場合は休日を確保する施工体制と確認方法も明示 | 土木工事共通仕様書 1-1-1-6、関東地方整備局の概要 |
| 5. 閉所・休日を記録する | 現場閉所の連絡は電子メールなど後から確認できる方法が望ましいとされる。月ごとに閉所率(休日率)を確認する | 関東地方整備局の概要 |
| 6. 協力会社と共有する | 交替制では下請企業の技能労働者も対象(施工体制台帳上の工期が基本)。閉所日と工程を事前に共有する | 関東地方整備局の概要 |
| 7. 遅れたら協議する | 受注者の責によらない事情で休日が確保できない場合は、工期・施工時間の変更や対象外期間を発注者と協議する | 国の取組方針(令和8年3月10日)、関東地方整備局の概要 |
週休2日を進めると、限られた稼働日で出来高を上げる工夫が欠かせません。ICT施工の導入はICT施工の導入方法、若手の定着との関係は建設業の若手の離職率と定着の取り組みで解説しています。
週休2日の準備チェックリスト
- □ 就業規則の所定休日が、週休2日(4週8休)を前提にした内容になっている
- □ 36協定の上限時間が、原則月45時間・年360時間の範囲で、特別条項も法定の上限内になっている
- □ 移動時間・書類作成時間を含めて労働時間を把握できている
- □ 受注予定工事の特記仕様書で、工期に見込まれた休日・作業不能日と週休2日の取組方式を確認した
- □ 施工計画書に法定休日・所定休日(週休二日の導入)を記載した
- □ 現場閉所日(交替制なら技術者・技能労働者の休日)を、月ごとに28.5%以上か確認する仕組みがある
- □ 協力会社に、閉所日と工程を事前に共有している
- □ 日給月給制の技能労働者の処遇(休日が増えたときの賃金)について方針を決めた
- □ 工程が遅れたときに、残業ではなく工期・施工時間の変更を協議する手順を決めた
よくある質問
Q. 週休2日は法律上の義務ですか。 A. 労働基準法が求める休日は、毎週少なくとも1回または4週間で4日以上です(第35条)。週休2日そのものは義務ではありませんが、1週40時間・1日8時間の法定労働時間(第32条)と時間外労働の上限(第36条)があるため、週6日勤務を続けると上限に近づきやすくなります。
Q. 雨で作業できず現場を閉めた日は、週休2日の閉所日に数えられますか。 A. 国交省直轄工事の定義では、降雨・降雪等による予定外の現場閉所日も現場閉所日数に含めるとされています(関東地方整備局の概要、四国地方整備局の取り組み)。自治体の工事は、それぞれの発注者の定めを確認してください。
Q. 令和8年度から直轄工事の週休2日はなくなったのですか。 A. なくなったのは、週休2日の取得に要する費用を補正係数で計上する試行です。令和8年3月10日の国の通知では、週休2日や交替制など適切な方法で取り組むこととされ、土木工事共通仕様書でも受注者が週休二日に取り組み、実施内容を報告することが定められています。
Q. 民間工事でも休日を前提にした工期を求められますか。 A. 中央建設業審議会の「工期に関する基準」は、公共工事・民間工事を問わず全ての建設工事を対象としています。受注者は時間外労働規制を守れる工期を確保した見積りを提出するよう努め、発注者はそれを尊重することとされています。
まとめ
- 週休2日は法律上の義務ではないが、週40時間・1日8時間と時間外労働の上限(2024年4月から建設業にも適用)を守るための基本になる
- 直轄工事の4週8休は、現場閉所率(交替制は休日率)28.5%(8日/28日)以上。雨天などによる予定外の閉所も含む
- 国交省直轄は令和7年度まで補正係数による費用計上の試行、令和8年度からは試行を完了し、週休2日や交替制など適切な方法で取り組む
- 直轄の工期は、休日(月単位4週8休が前提)、雨天・猛暑などの作業不能日、準備・後片付け期間を見込んで設定される。特記仕様書で確認し、不足は協議する
- 会社としては、就業規則・36協定の整備、工期の見積り、施工計画書への記載、閉所の記録、協力会社との共有、遅れたときの協議の順で進める
工事成績評定と施工計画書の関係は施工計画書の品質が工事成績評定に与える影響もあわせてご覧ください。
出典・参考
- 労働基準法 第32条、第32条の4、第35条、第36条、第139条(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 厚生労働省「建設業の時間外労働の上限規制(事業者向け)」(令和6年4月からの適用、原則月45時間・年360時間、特別条項の上限、災害の復旧・復興の事業の例外)
https://kensetsu-roudou-jikan.mhlw.go.jp/kensetsu_overtime.html - 国土交通省 大臣官房会計課長・技術調査課長「国土交通省直轄工事における週休2日の取組方針について」令和8年3月10日(国会公契第21号・国官技第492号)(令和8年度以降の取組方針、費用計上等の試行の完了、施工期間・時間等の変更協議、旧通知の適用)
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001987377.pdf - 国土交通省 関東地方整備局「令和7年度 週休2日制適用工事の概要」令和7年4月1日(8月29日一部改訂)(週休2日の定義、28.5%(8日/28日)、対象期間、発注方式、補正係数、確認方法、成績評定)
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000911281.pdf - 国土交通省 関東地方整備局「週休2日の試行内容」(令和8年度から試行を完了し、多様な働き方の実現に向けた支援に軸足を置く)
https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000158.html - 国土交通省 四国地方整備局「令和8年度 週休2日に関する取り組み(R8.4月版)」(発注者指定方式、補正係数による費用計上を行わない、現場閉所・4週8休の定義、工事成績評定での考査)
https://www.skr.mlit.go.jp/etc/syukyu2ka_sk/syukyu2ka_skR8.pdf - 国土交通省 大臣官房技術調査課「直轄土木工事における適正な工期設定指針」令和8年3月(休日・天候等による作業不能日・準備期間・後片付け期間の設定、特記仕様書の記載例)
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001986330.pdf - 中央建設業審議会「工期に関する基準」令和2年7月20日決定・令和6年3月27日最終改定(適用範囲、週休2日の確保、移動時間等の労働時間、日給月給制の技能労働者の処遇、受注者の見積り)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001735036.pdf - 国土交通省 報道発表「工期に関する基準の実施を勧告」令和6年3月29日
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00234.html - 国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和8年3月」第1編 第1章 第1節 1-1-1-6 施工計画書、1-1-1-29 週休二日の対応
https://www.mlit.go.jp/tec/r08dobokukoujikyoutsuusiyousyo/honbun01_syo01_setsu01.html
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