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建設現場の連絡をチャット化する方法|電話との使い分けと社内ルール

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建設現場の連絡をチャット化する方法|電話との使い分けと社内ルール

建設現場の連絡にビジネスチャット(社内やグループで文字・写真をやり取りする業務用のメッセージサービスのこと)を使うときは、急ぎでない確認・報告や写真の共有はチャット、事故や災害など直ちに伝えなければならない連絡は電話、と使い分けを決めてから始めます。あわせて、勤務時間外の連絡の扱いと、アカウントや共有範囲などの情報管理のルールを先に決めておくことが大切です。 公共土木工事の発注者との指示・承諾・協議などは、情報共有システムや記名した書面で行う決まりがあるため、チャットのやり取りで代えることはできません。

本記事では、電話とチャットの使い分け表、チャットで済ませてはいけない連絡、勤務時間外の連絡と情報管理を含む社内ルールの作り方を整理します。制度や公的資料の内容は、末尾の「出典・参考」に挙げた国土交通省・厚生労働省・IPAの公表資料で確認したものです。導入による効果(電話の回数や時間の削減など)は会社ごとに条件が違うため、本記事では数値を示しません。

現場連絡をチャット化する要点(一覧)

項目内容根拠・参考
チャットに向く連絡急ぎでない確認・報告、写真や図面の共有、複数人への周知社内運用(本記事の整理)
電話で伝える連絡事故、災害、すぐに作業を止めるなど直ちに伝える必要があるもの土木工事共通仕様書 1-1-1-34、1-1-1-46
チャットで代えられないもの発注者との指示・承諾・協議・提出・報告・通知(工事帳票)土木工事共通仕様書 1-1-1-2 の26(書面)
勤務時間外の連絡どの連絡まで許容するかを社内ルールとして決める厚労省 テレワークガイドライン、労働基準関係法制研究会報告書
情報管理利用者の範囲・権限、認証、異動・退職時の設定変更、バックアップIPA 情報セキュリティ6か条、クラウドサービス安全利用の手引き

電話とチャットの使い分け表

土木工事 業務改善Naviが、国の資料で決まっている連絡のしかたと、一般的な使い分けを整理したものです。会社ごとに見直して使ってください。

連絡の内容主な手段理由・注意点
事故・けが・災害の発生電話(その後チャットで記録を共有)共通仕様書では、事故が発生した場合は直ちに監督職員に連絡するとされている。社内でもまず声で確実に伝える
臨機の措置をとったとき電話(その後チャットで記録を共有)共通仕様書では、措置の内容を直ちに監督職員に通知するとされている
作業の中止・危険の連絡電話相手が読んだか分からないまま作業が続くおそれがある
急ぎでない確認・報告チャット相手の作業を止めずに伝えられ、やり取りが文字で残る
現場写真・図面の共有チャット口頭より伝わりやすい。ただし工事写真の正式な管理は写真管理のルールに従う
複数人への周知(工程変更、搬入予定など)チャット1回の投稿で関係者全員に届く。重要な変更は既読や返信で受け取りを確認する
込み入った相談・判断電話または打合せ(結論をチャットに残す)文字だけのやり取りが長引くときは話した方が早い
発注者との指示・承諾・協議など情報共有システムまたは書面工事帳票として扱う決まりがあり、チャットでは代えられない
協力会社との連絡会社として認めた手段誰がどのグループに入るか、工事完了時にいつ外すかを決める

チャットは送った時点では相手が読んだか分からないため、「急ぎかどうか」と「確実に受け取ったと確認できる必要があるか」の2点で手段を分けると判断しやすくなります。

チャットで済ませてはいけない連絡

発注者との正式なやり取り

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、「書面」を、情報共有システムを用いて作成され、指示、承諾、協議、提出、報告、通知が行われた工事打合せ簿などの工事帳票、または工事帳票と同等の内容を備えたデータとしています。やむを得ず情報共有システムを使わない場合は、発行年月日を記載し、記名(署名または押印を含む)したものが有効とされています(1-1-1-2 用語の定義 26. 書面)。

監督職員とチャットや電話で事前に話すことはあっても、指示・承諾・協議などの結果は、情報共有システムの工事帳票などの正式な手段で残す必要があります。情報共有システム活用ガイドラインでも、工事帳票の発議前に打合せが必要な場合は、合意した後にワークフロー機能で工事帳票を発議する流れが示されています。

事故・災害の第一報

共通仕様書では、工事の施工中に事故が発生した場合は直ちに監督職員に連絡することとされ(1-1-1-34 事故報告書)、災害防止などのために臨機の措置をとった場合はその内容を直ちに監督職員に通知することとされています(1-1-1-46 臨機の措置)。施工計画書にも「緊急時の体制及び対応」を記載します(1-1-1-6 施工計画書)。

社内の緊急連絡も、チャットの既読を待たずに電話で伝え、記録としてチャットにも残す、という順番を決めておくと迷いません。

勤務時間外の連絡のルール

チャットはいつでも送れるため、勤務時間外の連絡が増えやすい手段です。

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」は、長時間労働を防ぐ手法として、時間外・休日・所定外深夜(時間外等)にメールを送ることの自粛を命じることなどが有効とし、メールだけでなく電話などの方法も含め、時間外等の業務の指示や報告のあり方について、業務上の必要性や、指示・報告があった場合に労働者が対応する必要があるかなどを、各事業場の実情に応じて使用者がルールとして設けることも考えられるとしています。また、時間外等のメール等に対応しなかったことを理由に不利益な人事評価を行うことは、適切な人事評価とはいえないとしています。このガイドラインはテレワーク(事業場外勤務)を対象にしたものですが、時間外の連絡ルールの考え方は現場の連絡にも参考になります。

厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」の報告書(令和7年1月8日公表)は、いわゆる「つながらない権利」について、勤務時間外にどのような連絡までが許容でき、どのようなものは拒否できることとするのか、業務方法や事業展開などを含めた総合的な社内ルールを労使で検討していくことが必要としています。

一方で、土木の現場では、災害や事故のように時間外でも対応が必要な場面があります。「何を時間外に送ってよいか」「送られた人は何に対応しなければならないか」を分けて決めておくのが実務的です。時間外労働の上限規制については建設業の2024年問題で解説しています。

決めることルールの例
時間外に送ってよい連絡事故・災害・翌朝の作業に関わる中止連絡など、会社が決めたものに限る
時間外に送るときの手段緊急は電話。急ぎでないものはチャットの予約送信や翌朝の投稿にする
受け取った人の対応緊急以外は翌勤務日の確認でよいことを明文化する
管理職の送り方役職者は時間外の投稿を控える
評価との関係時間外のチャットに返信しなかったことを評価で不利に扱わない
書く場所就業規則や社内規程、チャットの利用ルールに明記して周知する
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情報管理のルール

チャットには、現場写真、図面、工程、個人の連絡先など、外に出してはいけない情報が集まります。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ6か条」は「共有設定を見直そう!」として、ウェブサービスなどの共有範囲を限定すること、従業員の異動や退職時には速やかに設定を変更(削除)することを対策例に挙げています。また、IPAの「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」は、利用者の範囲と権限を決めること、ID・パスワードを共有しないこと、2段階認証などの認証機能を使うこと、管理担当者を決めること、バックアップに責任を持つこと、利用終了時のデータの取扱いを確認することなどを確認項目にしています。

国土交通省の情報共有システム活用ガイドラインも、ID・パスワードが第三者に渡ると工事帳票の漏洩や改ざんのおそれがあるとして、ID・パスワードの管理の徹底を求めています。社内のチャットでも同じ考え方で管理します。

決めることルールの例参考
使うサービス会社が契約・指定したサービスだけを業務に使うIPA手引き「どの業務で利用するか明確にする」
管理担当者アカウントの追加・削除、グループの作成を行う人を決めるIPA手引き「管理担当者を決める」
グループの作り方工事ごと、全社連絡、安全管理など目的別に作り、参加者を必要な人に限るIPA手引き「利用者の範囲を決める」
協力会社の参加工事のグループに参加してもらい、工事完了時に外す6か条 No.4 共有設定を見直そう!
異動・退職その日のうちにアカウントの停止やグループからの削除を行う6か条 No.4
認証1人1アカウント、IDを共有しない、2段階認証を有効にするIPA手引き「利用者の認証を厳格に行う」
端末会社の端末を使う。私物スマホを使う場合は条件を決める社内運用(MDMの記事を参照)
送ってよい情報個人情報や発注者から預かった情報を送ってよいかを決めるIPA手引き「取扱う情報の重要度を確認する」
記録の保存必要なやり取りや写真を社内の保存先にも残すIPA手引き「バックアップに責任を持つ」

パスワードの決め方はパスワード管理の方法、2段階認証は二段階認証で解説しています。

導入の進め方

  1. 今の連絡の流れを書き出す:誰が誰に、どんな内容を、電話・メール・対面のどれで伝えているかを確認します。
  2. 使い分けと運用ルールを決める:上の使い分け表、勤務時間外のルール、情報管理のルールを自社向けに直して文書にします。
  3. サービスを選ぶ:IPAの手引きの確認項目(利用者の範囲、認証、バックアップ、利用終了時のデータ、データの保存先など)で比べます。
  4. 一部の現場で試す:通知の多さ、写真の画質、操作に慣れていない人への支援など、運用上の問題を洗い出してルールを直します。
  5. 全社に広げ、定期的に見直す:グループの参加者や退職者のアカウントが残っていないかを、定期的に確認します。

遠隔臨場との違い

チャットのビデオ通話機能で現場の映像を見せることはできますが、公共工事の段階確認・材料確認・立会を遠隔で行う「遠隔臨場」は、国土交通省の実施要領(案)に基づいて行うものです。情報共有システム活用ガイドラインでは、遠隔臨場を、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)による映像の同時配信と音声の双方向通信を利用して段階確認・材料確認・立会を行うもの、と説明しています。手順や機材は遠隔臨場の導入方法と実施手順を参照してください。

よくある質問

発注者の監督職員とチャットでやり取りしてもよいですか?

事前の相談に使えるかは発注者の方針によります。ただし、指示・承諾・協議・提出・報告・通知は、共通仕様書で情報共有システムを用いた工事帳票か、記名した書面で行うものとされています。チャットで話がまとまっても、正式な手続きは別に行ってください。

勤務時間外にチャットを送るのは禁止すべきですか?

一律に禁止するかどうかは会社が決めることです。厚生労働省のテレワークガイドラインは時間外等のメール送付の自粛やルールづくりを有効な手法として挙げ、労働基準関係法制研究会の報告書は勤務時間外の連絡について社内ルールを労使で検討する必要があるとしています。災害など時間外にも必要な連絡を除き、何を送ってよいか、受け取った人が何に対応すべきかを決めておくのが現実的です。

協力会社の職人もグループに入れてよいですか?

工事ごとのグループに必要な人だけを入れ、工事完了時に外す運用にすれば、連絡の行き違いを減らしつつ情報の広がりを抑えられます。IPAは共有範囲の限定と、異動・退職時の速やかな設定変更を対策例に挙げています。

チャットのやり取りは工事の記録になりますか?

社内の連絡記録としては役立ちますが、発注者に対する正式な書類にはなりません。工事打合せ簿や工事写真は、共通仕様書や写真管理のルールに沿って別に作成・管理してください。

まとめ

  • 使い分け:急ぎでない確認・報告や写真の共有はチャット、事故・災害・作業中止など直ちに伝える連絡は電話
  • 代えられないもの:発注者との指示・承諾・協議などは情報共有システムの工事帳票か記名した書面で行う
  • 勤務時間外:何を送ってよいか、受け取った人が何に対応すべきかを社内ルールとして決め、評価で不利に扱わない
  • 情報管理:使うサービスと管理担当者を決め、グループの参加者を絞り、異動・退職・工事完了時に設定を変える
  • 進め方:今の連絡の流れを書き出し、ルールを文書にしてから一部の現場で試し、全社に広げる

出典・参考

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