新規入場者教育を動画化して準備時間を80%削減|G建設株式会社様
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | G建設株式会社 |
| 所在地 | 北海道地方 |
| 従業員数 | 40名 |
| 主な事業 | 道路工事、橋梁工事、河川工事 |
| 年間売上 | 約9億円 |
| 協力会社数 | 約25社 |
導入前の課題
土木工事の現場では、新たに現場に入場する作業員に対して「新規入場者教育」を実施する義務があります。現場のルール、危険箇所、安全対策、緊急時の連絡先などを説明する教育です。
新規入場者教育の実態(改善前)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施頻度 | 週に2-3回(新しい協力会社の作業員が来るたび) |
| 所要時間 | 1回あたり30-45分 |
| 担当者 | 現場代理人(または安全担当者) |
| 準備時間 | 資料の印刷・更新に1回あたり30分 |
| 使用資料 | PowerPoint資料を印刷(A4で10-15枚) |
現場代理人の負担
| 月間の負担 | 計算 |
|---|---|
| 教育の実施回数 | 月8-12回 |
| 教育の実施時間 | 月4-9時間 |
| 資料の準備時間 | 月4-6時間 |
| 合計 | 月8-15時間 |
さらに、現場ごとに資料を作り直す必要があり、新しい現場が始まるたびに数時間の準備が必要でした。
その他の問題
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 説明の質にばらつき | 現場代理人によって説明の詳しさが異なる |
| 朝の作業開始が遅れる | 新規入場者教育のために全体の作業開始が30分遅れる |
| 紙資料のコスト | 印刷費が月数千円-1万円 |
| 外国人作業員への対応 | 日本語だけの説明では理解が不十分 |
改善のアプローチ
新規入場者教育の内容を動画にまとめ、タブレットで視聴してもらう方式に変更しました。
取り組みの内容
(1) 教育内容の構成設計
動画の構成を以下のように設計しました。
| パート | 内容 | 動画の長さ |
|---|---|---|
| パート1: 会社紹介と方針 | 会社の安全方針、基本ルール | 3分 |
| パート2: 現場共通ルール | 服装、保護具、禁止事項、喫煙場所 | 5分 |
| パート3: 現場固有情報 | 現場の配置図、危険箇所、搬入路 | 5分(現場ごとに作成) |
| パート4: 緊急時の対応 | 事故発生時の連絡先、避難場所、AEDの位置 | 3分 |
| パート5: 確認テスト | 理解度チェック(3-5問の選択式) | 2分 |
合計約18分の動画です。パート1・2・4は全現場共通、パート3のみ現場ごとに差し替えます。
(2) 動画の作成方法
特別な機材や技術は使わず、社内で動画を作成しました。
| 使用したもの | 用途 |
|---|---|
| スマートフォン | 現場の撮影(危険箇所、配置図の説明) |
| PowerPoint | スライドの作成。ナレーション録音機能で音声を追加 |
| 無料の動画編集ソフト | スライド動画と現場撮影動画の結合 |
| タブレット | 視聴用端末(現場に1台配置) |
(3) 動画作成の手順
| 手順 | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| (1) スライド作成 | PowerPointでスライドを作成 | 2-3時間(初回のみ) |
| (2) ナレーション録音 | スライドにナレーションを録音 | 1-2時間(初回のみ) |
| (3) 現場撮影 | 危険箇所や配置図をスマホで撮影 | 30分(現場ごと) |
| (4) 編集・結合 | 共通パートと現場固有パートを結合 | 30分(現場ごと) |
| (5) 確認テスト作成 | Googleフォームで選択式テストを作成 | 30分(現場ごと) |
初回の共通パート作成には半日程度かかりますが、一度作れば全現場で使い回せます。現場固有のパートだけ差し替えれば、新しい現場での準備は約1.5時間で完了します。
(4) 運用の流れ
| 手順 | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 1. 受付 | 新規入場者が詰所に来る | - |
| 2. 動画視聴 | タブレットで教育動画を視聴 | 約18分 |
| 3. 確認テスト | タブレットで理解度テストに回答 | 約2分 |
| 4. 質疑応答 | 現場代理人が質問に回答、補足説明 | 5-10分 |
| 5. 署名 | 教育実施記録に署名 | 1分 |
現場代理人が教育に直接関わるのは質疑応答の5-10分のみになりました。
定量的な効果
| 指標 | 改善前 | 改善後 | 改善幅 |
|---|---|---|---|
| 資料の準備時間(新規現場) | 3-4時間 | 約1.5時間 | -60% |
| 資料の準備時間(2回目以降) | 30分 | 0分(動画を流すだけ) | -100% |
| 月間の準備時間合計 | 4-6時間 | 1時間未満 | -80%以上 |
| 教育1回あたりの現場代理人の拘束時間 | 30-45分 | 5-10分 | -80% |
| 印刷費 | 月数千円-1万円 | 0円 | -100% |
| 理解度テストの正答率 | 未実施 | 平均85% | 理解度を数値で把握可能に |
定性的な効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 教育の質が均一化 | どの現場でも同じ品質の教育が実施される |
| 現場代理人の時間確保 | 教育に拘束される時間が減り、施工管理に集中できる |
| 繰り返し視聴が可能 | 理解が不十分な場合、何度でも見直せる |
| 外国人作業員への対応 | 字幕の追加や、多言語版の作成が可能に |
| 教育記録の保管 | テスト結果がデジタルで自動保存され、監査対応が容易に |
外国人作業員への対応
動画化したことで、外国人作業員向けの対応が容易になりました。
| 対応 | 方法 |
|---|---|
| 日本語字幕の追加 | ナレーションに加えて字幕を表示 |
| やさしい日本語版 | 難しい用語を避けた簡易版動画を作成 |
| 視覚的な説明の強化 | 写真やイラストを多用し、言語に頼らない説明 |
苦労した点
| 課題 | 対応 |
|---|---|
| 動画を見ただけで分かった気になる | 確認テストを必須にし、不合格なら再視聴 |
| 動画の更新タイミング | 現場条件が変わった時(工区の追加等)に速やかに更新 |
| タブレットの充電切れ | 現場詰所に充電器を常備 |
| 動画の画質・音質 | スマホ撮影でも明るい場所で撮れば十分な品質 |
安全担当者の声
「以前は新規入場者が来るたびに同じ説明を繰り返していました。1日に3回同じ説明をすることもありました。動画にしてからは、自分がいなくても教育ができる。その分、現場の巡回に時間を使えるようになりました」(安全担当者・50代)
発注者からの評価
動画による新規入場者教育は、工事成績評定の「安全対策」の項目でプラスの評価を受けました。教育の実施記録がデジタルで残ること、理解度テストで教育効果を確認していることが評価ポイントとなりました。
まとめ
新規入場者教育の動画化は、現場代理人の時間を大幅に確保でき、教育の質も均一化できる改善策です。G建設株式会社の事例では、準備時間80%削減に加え、教育の質の向上と外国人対応という付加価値も得られました。
スマートフォンとPowerPointがあれば始められるので、特別な投資は必要ありません。まずは1現場で試してみることをおすすめします。
