アスファルト舗装の温度管理|初転圧から仕上げまでの管理基準
アスファルト舗装における温度管理の重要性
アスファルト舗装の品質は温度管理に大きく左右されます。アスファルト混合物は温度が高い状態で柔らかく、温度が下がると硬くなる性質があるため、適切な温度範囲で敷均しと転圧を行わなければ、所定の密度が得られず耐久性が低下します。
温度管理は舗装工事の品質管理の中核であり、プラントでの出荷から現場での仕上げ転圧まで一貫した管理が必要です。
アスファルト混合物の温度管理基準
各工程における一般的な温度管理基準を示します。
| 工程 | 管理温度(一般) | 管理温度(改質) | 測定方法 |
|---|---|---|---|
| プラント出荷時 | 150-170度C | 170-185度C | プラント温度計 |
| 現場到着時 | 140度C以上 | 160度C以上 | 棒状温度計で荷台の混合物を測定 |
| 敷均し時 | 130度C以上 | 150度C以上 | 敷均し直後に表面温度計で測定 |
| 初転圧時 | 110-140度C | 130-160度C | 転圧直前に表面温度を測定 |
| 二次転圧時 | 70-90度C | 80-100度C | 表面温度計 |
| 仕上げ転圧時 | 50-70度C | 60-80度C | 表面温度計 |
| 交通開放時 | 50度C以下 | 50度C以下 | 表面温度計 |
上記はあて密粒度アスファルト混合物の場合の目安です。改質アスファルトや特殊混合物では温度が異なります。
各工程の詳細
プラントでの出荷管理
(1) 骨材の加熱温度:骨材はアスファルトの混合温度より10-20度C高く加熱する
(2) 混合温度:アスファルトの粘度が適切になる温度で混合する
(3) 出荷温度の記録:全車両の出荷温度を記録する
(4) 運搬時の保温:ダンプトラックの荷台にシートを被せて保温する
運搬
運搬中の温度低下を最小限に抑えることが重要です。
| 影響要因 | 対策 |
|---|---|
| 運搬距離が長い | プラントの選定時に運搬時間を考慮(60分以内が理想) |
| 外気温が低い | 保温シートの二重掛け、ダンプの台数を増やして待機時間を短縮 |
| 風が強い | 風よけシートの設置 |
| 雨天 | 原則として施工中止 |
敷均し
(1) アスファルトフィニッシャーで均一に敷均す
(2) 敷均し温度を確認:130度C以上(一般混合物の場合)
(3) スクリードの加熱:施工開始前にスクリードを十分に加熱しておく
(4) 敷均し速度:2-5m/分が一般的。速すぎると仕上がりが悪くなる
初転圧
初転圧はアスファルト舗装の密度を決定する最も重要な工程です。
(1) 転圧機械:マカダムローラー(10-12t)またはタンデムローラーを使用
(2) 転圧温度:110-140度Cの範囲で行う。110度C以下になるとヘアクラックが発生する
(3) 転圧方向:低い側から高い側へ向かって転圧する
(4) 転圧回数:通常2回(1往復)。タイヤローラーの場合は特記仕様書による
(5) 転圧速度:2-4km/hが適正
二次転圧
(1) 転圧機械:タイヤローラー(8-20t)を使用
(2) 転圧温度:70-90度Cの範囲
(3) 転圧回数:4-6回(2-3往復)
(4) ニーディング効果:タイヤの練り返し効果で密度を高める
仕上げ転圧
(1) 転圧機械:タンデムローラー(6-10t)を使用
(2) 転圧温度:50-70度Cの範囲
(3) 転圧回数:2回(1往復)
(4) 目的:ローラーマーク(転圧跡)を消し、平坦性を確保する
温度管理に関するよくある不具合
| 不具合 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ヘアクラック | 低温での転圧(110度C以下) | 転圧温度を確認、運搬時間の短縮 |
| 密度不足 | 低温での転圧、転圧回数不足 | 温度管理の徹底、試験施工で転圧回数を決定 |
| テクスチャーの不良 | 高温での仕上げ転圧 | 仕上げ転圧は十分に冷えてから実施 |
| 変形(わだち) | 高温での交通開放 | 50度C以下まで冷却してから開放 |
| ジョイントの段差 | 継目部の温度低下 | 既設舗装との継目はできるだけ早く転圧 |
温度管理の記録
温度測定結果は品質管理の重要な記録です。以下の項目を記録します。
| 記録項目 | 記録頻度 |
|---|---|
| プラント出荷温度 | 全車両 |
| 現場到着時温度 | 全車両 |
| 敷均し時温度 | 各測定断面(20mごと) |
| 転圧時温度 | 各測定断面 |
| 外気温 | 1時間ごと |
| 風速 | 適宜 |
寒冷期の施工対策
気温が5度C以下の場合は原則として施工を中止しますが、やむを得ず施工する場合は以下の対策を講じます。
(1) プラント出荷温度を上限値に近づける (2) 運搬時の保温を強化(二重シート、保温蓋) (3) フィニッシャーのスクリードを十分に加熱 (4) 転圧機械の台数を増やし、迅速に転圧を完了する (5) 1日の施工量を減らし、温度低下前に転圧を完了させる
施工計画書への記載
アスファルト舗装の施工計画書には以下を記載します。舗装工事の施工計画書全般は舗装工事の施工計画書を参照してください。
- 使用する混合物の種類と配合
- プラントの名称・所在地・運搬時間
- 各工程の温度管理基準
- 転圧機械の種類・台数・転圧回数
- 品質管理項目(温度、密度、平坦性)
- 寒冷期・雨天時の施工基準
- 試験施工の計画
品質管理計画の立て方は品質管理計画書の作成も参照してください。
まとめ
アスファルト舗装の温度管理は、プラントから現場まで一貫して行うことが品質確保の鍵です。特に初転圧の温度管理は密度を決定する最重要工程であり、110度C以上で確実に転圧を完了させましょう。
