場所打ち杭の施工管理|オールケーシング・リバース工法
場所打ち杭とは
場所打ち杭は、現場で地盤を掘削し、その孔にコンクリートを打設して造成する杭です。既製杭と異なり、大口径(1,000-3,000mm)の杭を構築でき、大きな支持力が得られるのが特徴です。
橋梁の基礎、大型構造物の基礎、軟弱地盤での深い支持層到達など、土木工事では多くの場面で採用されます。
主な場所打ち杭工法の比較
| 項目 | オールケーシング工法 | リバース工法 | アースドリル工法 |
|---|---|---|---|
| 掘削方法 | ケーシングチューブ内をハンマーグラブで掘削 | ドリルパイプで掘削、泥水を逆循環 | ドリリングバケットで掘削 |
| 孔壁保護 | ケーシングチューブ | 泥水(ベントナイト) | 安定液(ベントナイト) |
| 適用杭径 | 1,000-3,000mm | 1,000-3,500mm | 800-2,500mm |
| 適用深さ | 60m程度まで | 70m程度まで | 50m程度まで |
| 騒音・振動 | やや大きい | 小さい | 小さい |
| 玉石・礫層 | 対応可能 | やや困難 | 困難な場合あり |
| コスト | やや高い | 中程度 | 比較的安い |
オールケーシング工法の施工手順
(1) ケーシングチューブの圧入:揺動式のケーシングドライバーでケーシングチューブを地盤に圧入する
(2) 掘削:ケーシングチューブ内の土砂をハンマーグラブで掘削・排出する
(3) ケーシングの継ぎ足し:深度に応じてケーシングチューブを継ぎ足しながら掘削を進める
(4) 支持層の確認:設計で想定した支持層に到達したことを掘削土砂の目視確認、N値の照合などで判定する
(5) 孔底処理:孔底のスライム(沈殿物)をハンマーグラブまたはエアリフトで除去する
(6) 鉄筋かごの建込み:組み立てた鉄筋かごをクレーンで孔内に建込む。かごの変形に注意
(7) トレミー管のセット:コンクリート打設用のトレミー管を孔底付近にセットする
(8) コンクリート打設:トレミー管の先端を常にコンクリート中に2m以上挿入した状態で打設する
(9) ケーシングの引抜き:コンクリートの打設に合わせてケーシングを引き抜く。コンクリートの天端がケーシング先端より常に2m以上高い状態を維持
リバース工法の施工手順
(1) スタンドパイプの設置:地表部に鋼管(スタンドパイプ)を建込み、孔口を保護する
(2) 泥水の注入:ベントナイト泥水を孔内に満たし、泥水の水位を地下水位より2m以上高く保つ
(3) 掘削:ドリルパイプの先端のビットで地盤を掘削する。掘削した土砂は泥水とともにドリルパイプ内を逆循環(リバースサーキュレーション)して地上に排出
(4) 泥水管理:比重・粘性・砂分を定期的に測定し、管理基準内に維持する
| 泥水管理項目 | 管理基準(目安) |
|---|---|
| 比重 | 1.02-1.15 |
| 粘性(ファンネル粘度) | 25-40秒 |
| 砂分 | 5%以下 |
| pH | 7-10 |
(5) 支持層の確認:掘削土砂の確認に加え、電気検層やサウンディングで支持層を判定
(6) 孔底処理:エアリフトまたはサンドポンプでスライムを除去。1次スライム処理後に鉄筋かごを建込み、トレミー管セット後に2次スライム処理を行う
(7) 鉄筋かごの建込み
(8) コンクリート打設:トレミー管を使用し、コンクリートで泥水を置換しながら打設する
品質管理の重要ポイント
場所打ち杭の品質は、目に見えない地中で施工するため、施工中の管理が特に重要です。
掘削時の管理
| 管理項目 | 確認方法 | 基準 |
|---|---|---|
| 杭芯位置 | トランシット、下げ振り | 設計位置から杭径の1/4以内かつ100mm以内 |
| 掘削深さ | 検尺テープ | 設計深度以上 |
| 掘削径 | ケーシング外径、検尺 | 設計径以上 |
| 支持層確認 | 掘削土砂の観察、N値照合 | 設計地盤と一致すること |
| 孔底スライム | 検尺テープ | 一次処理後50mm以下、二次処理後0mm |
| 鉛直精度 | ケーシングの鉛直確認 | 傾斜1/100以内 |
コンクリート打設時の管理
(1) コンクリートの品質:スランプ18-21cm、設計基準強度24-30N/mm2が一般的。水中コンクリートは単位セメント量を増やす
(2) トレミー管の管理:コンクリート中への挿入長を2m以上確保し、泥水の巻き込みを防ぐ
(3) コンクリート天端:設計天端より余盛りを行い、不良コンクリートを後日はつり取る。余盛り量は通常0.5-1.0m
(4) 打設量の管理:打設量と理論量を比較し、過大な場合は孔壁崩壊の可能性を検討
よくあるトラブルと対策
孔壁崩壊
孔壁が崩壊すると、杭の断面欠損や品質低下につながります。対策として、ケーシング工法では速やかにケーシングを追加圧入し、リバース工法では泥水の比重を上げて孔壁を安定させます。
スライム処理不良
スライム(孔底の沈殿物)が残ると、杭先端の支持力が大幅に低下します。エアリフトやサンドポンプで確実に除去し、検尺テープで残留スライムの厚さを確認します。
鉄筋かごの変形
長い鉄筋かごは自重で変形しやすいため、補強リング(フープ)の間隔を密にし、吊り点数を増やして建込みます。
施工計画書への記載
場所打ち杭の施工計画書には、土木工事の施工計画書ガイドの基本項目に加えて以下を記載します。
- 工法の選定理由
- 杭の諸元(杭径、杭長、設計支持力)
- 掘削手順と支持層の確認方法
- コンクリートの配合計画
- 泥水管理計画(リバース工法の場合)
- 鉄筋かごの組立・建込み計画
- 品質管理計画(管理項目、基準値、確認方法)
- 試験杭の計画
品質管理計画の立て方については品質管理計画書の作成も参照してください。
まとめ
場所打ち杭は大きな支持力を得られる優れた基礎工法ですが、地中での施工となるため品質管理が特に重要です。工法の特性を理解し、掘削・スライム処理・コンクリート打設の各段階で確実な管理を行いましょう。
