業務改善事例約10分で読めます
日報のデジタル化で月30時間の事務作業を削減|T建設株式会社様
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | T建設株式会社 |
| 所在地 | 東北地方 |
| 従業員数 | 35名 |
| 主な事業 | 道路工事、河川工事、上下水道工事 |
| 年間売上 | 約8億円 |
| 同時進行現場数 | 常時5-7現場 |
導入前の課題
T建設株式会社では、すべての日報を紙で運用していました。現場代理人が手書きで日報を作成し、翌朝に事務所へ提出。事務員がその内容をExcelに入力し直すという流れです。
日報に関する業務の流れ(改善前)
| 時間帯 | 作業内容 | 担当者 |
|---|---|---|
| 17:00-18:00 | 手書きで日報を作成 | 現場代理人 |
| 翌朝8:00 | 事務所に日報を持参 | 現場代理人 |
| 8:30-10:00 | 日報の内容をExcelに転記 | 事務員 |
| 10:00-10:30 | 工事部長が内容を確認 | 工事部長 |
| 不定期 | 月報作成のためExcelを集計 | 事務員 |
具体的な問題点
| 問題 | 詳細 |
|---|---|
| 事務員の負担が大きい | 5-7現場分の日報を毎日転記。月30時間以上の作業 |
| 情報共有が遅い | 日報の内容が事務所に届くのは翌朝。リアルタイム性がない |
| 内容の読み取りミス | 手書きの文字が判読しにくく、転記ミスが発生 |
| 過去のデータ検索に時間がかかる | 紙のファイルを探す必要がある。Excelも工事ごとに分かれていて検索しにくい |
| 月報の作成に時間がかかる | 日報のExcelデータを月ごとに集計する作業が毎月発生 |
改善のきっかけ
事務員の退職をきっかけに、後任の採用が難航。限られた人数で事務作業をこなす必要に迫られ、日報のデジタル化を検討しました。
社長は「日報は現場管理の基本。ただし、書くことと転記することは別。転記の手間をゼロにしたい」という方針を示しました。
導入したもの
汎用的な日報アプリを導入しました。スマートフォンから入力でき、クラウド上でデータが集約される仕組みです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ツール | 汎用日報アプリ(クラウド型) |
| 利用端末 | 現場代理人のスマートフォン(個人端末を業務利用) |
| 月額費用 | 1アカウントあたり数百円(全体で月額数千円) |
| 導入期間 | 約2か月(準備1か月+試行1か月) |
導入の手順
(1) 日報テンプレートの設計(2週間)
従来の紙の日報の項目をベースに、アプリ用のテンプレートを設計しました。
| 入力項目 | 入力方法 |
|---|---|
| 工事名 | 選択式(登録済みの工事一覧から選択) |
| 天候 | 選択式(晴/曇/雨/雪) |
| 作業内容 | テキスト入力(定型文の呼び出し可) |
| 投入人員 | 数値入力(職種別に人数) |
| 使用材料 | テキスト+数量入力 |
| 使用機械 | 選択式+稼働時間 |
| 安全事項 | テキスト入力 |
| 写真 | スマホカメラで撮影して添付 |
(2) 現場代理人への説明と試行(2週間)
まず2現場の現場代理人に協力を依頼し、1か月間の試行を実施しました。
| 説明した内容 | ポイント |
|---|---|
| アプリの操作方法 | 実際のスマホで操作しながら説明(30分程度) |
| 入力のタイミング | 作業終了後、現場から入力。事務所に戻る必要なし |
| 紙との併用期間 | 最初の2週間は紙とアプリの両方で日報を作成 |
(3) 全社展開(2週間)
試行の結果を踏まえてテンプレートを微調整し、全現場に展開しました。
導入後の業務フロー
| 時間帯 | 作業内容 | 担当者 |
|---|---|---|
| 17:00-17:15 | スマホで日報を入力(現場から) | 現場代理人 |
| 17:15 | 自動で工事部長に通知 | システム |
| 翌朝8:00 | アプリで日報を確認・承認 | 工事部長 |
| 月末 | 月報を自動集計・出力 | 事務員(確認のみ) |
定量的な効果
| 指標 | 改善前 | 改善後 | 改善幅 |
|---|---|---|---|
| 事務員の日報転記時間 | 月30時間 | 0時間 | -30時間 |
| 現場代理人の日報作成時間 | 1日30-60分 | 1日10-15分 | 約60%削減 |
| 月報の作成時間 | 月4時間 | 月30分(確認のみ) | 約85%削減 |
| 日報の情報共有までの時間 | 翌朝 | リアルタイム | 大幅短縮 |
| 過去日報の検索時間 | 数十分(紙を探す) | 数秒(アプリで検索) | ほぼゼロに |
定性的な効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 事務員の業務負担が軽減 | 転記作業がなくなり、他の事務作業に時間を使えるようになった |
| 情報共有の質が向上 | 写真付きの日報で、現場の状況がより正確に伝わるようになった |
| 原価管理の精度が向上 | 日報の人員・材料データを原価管理に直接活用できるようになった |
| 現場代理人の帰宅時間が早くなった | 事務所に戻って日報を書く必要がなくなり、現場から直帰が可能に |
導入時に苦労したこと
| 課題 | 対応 |
|---|---|
| スマホ操作に慣れていないベテラン社員 | 若手社員がマンツーマンでサポート。2週間程度で慣れた |
| 入力項目が多すぎるとの声 | 必須項目を絞り、任意項目は省略可能に |
| 通信環境が悪い現場 | オフラインで入力し、通信復帰時に自動送信される設定に |
現場代理人の声
「最初はスマホで入力するのが面倒に感じましたが、1週間もすれば慣れました。事務所に戻らなくて済むようになったのが一番大きい。夕方の1時間が取り戻せた感覚です」(50代・現場代理人)
「定型文を登録しておけば、毎日ほぼ同じ内容は数タップで入力できる。手書きより断然早いです」(30代・現場代理人)
今後の展望
T建設株式会社では、日報データを原価管理に連携させる取り組みを進めています。日報に入力した人員数や材料数量のデータを、工事別の原価集計に自動反映させることで、月次の原価管理をリアルタイム化する計画です。
まとめ
日報のデジタル化は、導入のハードルが低く、効果が出やすい業務改善の一つです。T建設株式会社の事例では、月30時間の事務作業削減に加え、情報共有のリアルタイム化という大きな効果がありました。
紙の日報に課題を感じている方は、まずは1現場での試行から始めてみてはいかがでしょうか。
