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安全衛生責任者とは|選任が必要な現場と職務6項目【建設業】

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安全衛生責任者とは|選任が必要な現場と職務6項目【建設業】

安全衛生責任者は、元請が統括安全衛生責任者を選任する現場で、その仕事を自ら行う下請(関係請負人)が選任し、統括安全衛生責任者との連絡などを行わせる者です(労働安全衛生法第16条)。 選任が必要になるのは、元請と下請の作業従事者が同じ場所で常時50人以上(ずい道等・一定の橋梁・圧気工法の仕事は常時30人以上)になる現場です(労働安全衛生法施行令第7条)。職務は労働安全衛生規則第19条の6項目で、法令上の資格要件はありませんが、国の通達は安全衛生責任者教育(職長教育と合わせた「職長・安全衛生責任者教育」)の受講を推進しています。

本記事では、選任が必要な現場の判定、統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者との関係、職務6項目、教育、元請への通報(選任届)までを早見表とチェックリストで整理します。

安全衛生責任者とは

建設現場では、元請と複数の下請が同じ場所で作業する「混在作業」になります。作業どうしが干渉して起きる災害を防ぐため、労働安全衛生法(以下「安衛法」)は、元請側に統括安全衛生責任者を、下請側に安全衛生責任者を置き、両者の間で連絡・調整を行う仕組みを定めています。

項目内容根拠
選任する者統括安全衛生責任者を選任すべき事業者(元請)以外の請負人で、その仕事を自ら行うもの安衛法第16条第1項
選任が必要な場合元請が統括安全衛生責任者を選任しなければならない現場(次節の人数要件)安衛法第15条第1項・第3項、第16条第1項
行わせること統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項安衛法第16条第1項、労働安全衛生規則第19条
元請への通報選任した請負人は、元請(統括安全衛生責任者を選任した事業者)に遅滞なく通報する安衛法第16条第2項
代理者旅行・疾病・事故などで職務を行えないときは代理者を選任する労働安全衛生規則第20条(第3条を準用)
資格要件法令上の定めはない(教育は通達で推進)安衛法第16条、平成13年3月26日改正の通達

二次・三次の下請も、その仕事を自ら行うなら、それぞれ安全衛生責任者を選任します。安衛法は、元請の後に続くすべての請負契約の当事者である請負人を「関係請負人」に含めているためです(安衛法第15条第1項)。

選任が必要な現場(人数要件の早見表)

元請(特定元方事業者)が統括安全衛生責任者を選任しなければならない人数は、労働安全衛生法施行令第7条第2項で次のように定められています。この現場で仕事を自ら行う下請が、安全衛生責任者の選任対象になります。

仕事の区分人数(元請・下請の作業従事者の合計)根拠
ずい道等の建設の仕事常時30人以上施行令第7条第2項第1号
橋梁の建設の仕事(人口集中地域内の道路上・道路に隣接した場所、鉄道の軌道上・軌道に隣接した場所で行うもの)常時30人以上施行令第7条第2項第1号、労働安全衛生規則第18条の2の2
圧気工法による作業を行う仕事常時30人以上施行令第7条第2項第1号
上記以外の仕事常時50人以上施行令第7条第2項第2号

令和8年4月1日施行の改正で、混在作業の安全対策の対象が「労働者」から、一人親方など個人事業者を含む「作業従事者」に広がりました。現行の安衛法第15条も「作業従事者の数」で人数要件を定めているため、現場の人数を数えるときは、一人親方などの個人事業者も含めて数える点に注意してください。

なお、人数が上の要件に届かない現場でも、ずい道等・一定の橋梁・圧気工法の仕事や、鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の建設の仕事で常時20人以上になる場合は、元請に店社安全衛生管理者の選任が必要です(安衛法第15条の3、労働安全衛生規則第18条の6)。この場合、下請に安全衛生責任者の選任義務はありませんが、元請の安全管理の方針で選任を求められることもあるため、元請の指示を確認してください。

建設現場の安全衛生管理体制

役職選任する事業者選任が必要な場合主な役割根拠
統括安全衛生責任者元請(特定元方事業者)前節の人数要件(常時50人、ずい道等は30人)以上元方安全衛生管理者の指揮、安衛法第30条第1項各号の事項(協議組織の設置・運営、作業間の連絡調整、作業場所の巡視など)の統括管理。現場でその事業の実施を統括管理する者(現場所長など)を充てる安衛法第15条
元方安全衛生管理者元請(建設業)統括安全衛生責任者を選任した現場安衛法第30条第1項各号の事項のうち技術的事項の管理。その事業場に専属の者を選任する安衛法第15条の2、労働安全衛生規則第18条の3・第18条の4
店社安全衛生管理者元請(建設業)統括安全衛生責任者が不要な規模で、ずい道等・一定の橋梁・圧気工法・鉄骨造等の建築物の仕事が常時20人以上少なくとも毎月1回の現場巡視、協議組織の会議への随時参加など安衛法第15条の3、労働安全衛生規則第18条の6・第18条の8
安全衛生責任者下請(仕事を自ら行う関係請負人)統括安全衛生責任者が選任される現場統括安全衛生責任者との連絡・調整など(次節の6項目)安衛法第16条、労働安全衛生規則第19条
安全衛生推進者各事業者常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場安全衛生の業務の担当安衛法第12条の2、労働安全衛生規則第12条の2
作業主任者各事業者政令で定める作業(地山の掘削、土止め支保工、型枠支保工など)作業の直接指揮など安衛法第14条、施行令第6条
職長各事業者建設業で、作業中の労働者を直接指導・監督する者(作業主任者を除く)が新たに職務につくとき職長教育を受けて作業を指揮する安衛法第60条、施行令第19条

元請が、統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・店社安全衛生管理者を選任しなければならないときは、その旨と氏名を、作業開始後遅滞なく労働基準監督署長に報告します(労働安全衛生規則第664条)。下請の安全衛生責任者そのものを労働基準監督署に届け出る規定はなく、届け出る先は元請です(安衛法第16条第2項)。

元請が行う協議組織・作業間の連絡調整・巡視の詳しい内容は、安全ミーティング報告書の書き方の「法令・指針での位置づけ」で整理しています。

安全衛生責任者の職務(労働安全衛生規則第19条の6項目)

号条文の職務現場での具体例
1統括安全衛生責任者との連絡自社の作業予定・人員・使用機械を元請に伝える。協議組織(災害防止協議会)の会議に出席する
2統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡協議会や打合せで決まった事項を、朝礼・作業開始前の打合せ(TBM-KY)で自社の作業員に伝える
32の連絡事項のうち自社に係るものの実施についての管理立入禁止措置、合図の方法、作業手順の変更などが実際に守られているかを確認する
4自社が作業の実施に関する計画を作成する場合の、元請が作成する計画(安衛法第30条第1項第5号)との整合性を確保するための統括安全衛生責任者との調整自社の作業計画・作業手順書を、元請の工程表・機械の配置計画と突き合わせて調整する
5自社の作業従事者の作業と、それ以外の者の作業によって生ずる混在作業の労働災害に係る危険の有無の確認上下作業、重機の旋回範囲、開口部の近くでの他社作業など、作業の重なりによる危険を確認する
6自社が仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合の、その請負人の安全衛生責任者との作業間の連絡・調整二次下請の安全衛生責任者と作業の段取り・危険箇所を共有する

条文の職務はすべて「連絡・調整・確認」です。安全衛生責任者は自社の作業の安全を一人で背負う役ではなく、元請の統括管理と自社の現場作業をつなぐ窓口役だと捉えると、日々の動き方が整理できます。

資格要件と教育

法令上の資格要件はない

安衛法第16条と労働安全衛生規則第19条には、安全衛生責任者の資格要件の定めはありません。ただし国は通達「建設業における安全衛生責任者に対する安全衛生教育の推進について」(平成12年3月28日 基発第179号、平成13年3月26日改正)で、安全衛生責任者として選任されて間もない者や新たに選任される予定の者に対する教育を推進しています。元請の多くは、安全衛生責任者に教育の修了証の提出を求めています。

教育の時間(通達のカリキュラム)

教育時間内容根拠
職長教育合計12時間作業手順の定め方と労働者の適正な配置(2時間)、指導・教育と監督・指示の方法(2.5時間)、危険性又は有害性等の調査とその結果に基づく措置(4時間)、異常時・災害発生時の措置(1.5時間)、その他現場監督者として行う労働災害防止活動(2時間)安衛法第60条、施行令第19条(建設業は対象業種)、労働安全衛生規則第40条
安全衛生責任者教育合計7時間安全衛生責任者の職務等(1時間)、統括安全衛生管理の進め方(1時間)、労働者に対する指導又は監督の方法(1時間)、作業設備及び作業場所の保守管理(2時間)、異常時等における措置(2時間)平成13年3月26日改正の通達 別添1
職長・安全衛生責任者教育合計14時間職長教育の科目に、安全衛生責任者の職務等(1時間)と統括安全衛生管理の進め方(1時間)を加えたもの平成13年3月26日改正の通達 別添2

職長教育は、建設業では新たに職長になる者に対して事業者の義務です(安衛法第60条)。一方、安全衛生責任者教育は通達で推進されている教育で、法令上の義務ではありません。建設現場では職長が安全衛生責任者を兼ねることが多いため、両方を一度に受けられる「職長・安全衛生責任者教育」が安全衛生団体などで実施されています。通達の別添2は平成13年時点の科目構成で、その後の労働安全衛生規則第40条の改正で職長教育の科目と時間(上表の12時間)が変わっているため、科目ごとの時間は受講先のカリキュラムで確認してください。

国は、職長等と安全衛生責任者の再教育についても通達(「建設業における職長等及び安全衛生責任者の再教育について」平成29年2月20日)を出しています。修了から年数がたった安全衛生責任者は、元請の求めに応じて再教育を受けておくと安心です。

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選任の手続き(元請への通報)

選任届と関連書類

安衛法第16条第2項は、安全衛生責任者を選任した請負人に、元請へ遅滞なく通報することを義務づけています。通報の様式は法令で決まっておらず、実務では元請が指定する様式で次のように提出します。

書類安全衛生責任者に関する記載備考
安全衛生責任者選任届(元請の様式)氏名、選任日、現場名元請ごと・現場ごとに提出
再下請負通知書(全建統一様式 第1号-甲)安全衛生責任者の氏名欄施工体制台帳を作成する工事で下請が提出。書き方は再下請負通知書の書き方
施工体制台帳・工事作業所災害防止協議会兼施工体系図(全建統一様式)下請ごとの安全衛生責任者の欄安全衛生責任者の欄は、建設業法の記載事項に加えて労務安全の管理のために設けられている欄。詳しくは施工体制台帳の書き方
教育の修了証の写し職長・安全衛生責任者教育など元請が求める場合に添付

安全書類(グリーンファイル)全体の中での位置づけはグリーンファイルの作成ガイドを参照してください。

変更時と不在時の対応

安全衛生責任者を交代したときは、同じく元請に通報し、選任届と再下請負通知書などの記載を更新します。旅行・疾病・事故などで職務を行えないときは代理者を選任しなければならないため(労働安全衛生規則第20条)、着工時に代理者もあわせて決め、元請に伝えておくと交代時に慌てません。

安全衛生責任者が押さえるべき実務ポイント

(1) 協議組織(災害防止協議会)での役割

元請は、すべての関係請負人が参加する協議組織を設け、会議を定期的に開かなければならず、関係請負人は参加しなければなりません(労働安全衛生規則第635条)。国の「元方事業者による建設現場安全管理指針」は、会議を毎月1回以上開くことを示しています。安全衛生責任者は会議に出席し、次の内容を把握して自社の作業員に伝えます。

  • 工事全体の進捗と今後の作業予定
  • 他社の作業との重複・干渉箇所
  • 安全パトロールの指摘事項
  • 季節に応じた安全対策(熱中症対策など)

(2) 毎日の作業開始前の打合せ

同じ指針は、関係請負人が毎日作業開始前に、当日の作業内容・作業手順・留意事項の指示、作業間の連絡調整の結果の周知、危険予知活動などを行うことを示しています。安全衛生責任者は、職務2・3(連絡事項の伝達と実施の管理)の場としてこの打合せを使います。記録の付け方は安全ミーティング報告書の書き方で解説しています。

(3) 新規入場者教育の管理

自社の作業員が現場に新規入場する際は、新規入場者教育を受けたことと、その記録を確認します。

(4) 作業主任者・特別教育との連携

特別教育が必要な作業や作業主任者の選任が必要な作業では、資格者の配置と受講状況を確認し、作業主任者と連携して安全管理を行います。

現場用:安全衛生責任者の選任・届出チェックリスト

土木工事 業務改善Naviが、本記事で照合した法令の規定を、下請が着工前に確認する順に並べたチェックリストです。

順番確認すること根拠
1現場の作業従事者(元請・下請・一人親方を含む)が常時何人になるか安衛法第15条、施行令第7条第2項
2仕事の区分はずい道等・一定の橋梁・圧気工法か(30人基準)、それ以外か(50人基準)施行令第7条第2項、労働安全衛生規則第18条の2の2
3元請が統括安全衛生責任者を選任する現場か(元請に確認)安衛法第15条
4自社はその仕事を自ら行う請負人か(自ら行うなら選任が必要)安衛法第16条第1項
5安全衛生責任者と代理者を決めたか安衛法第16条第1項、労働安全衛生規則第20条
6元請に遅滞なく通報したか(選任届・再下請負通知書など)安衛法第16条第2項
7職長教育(建設業は義務)と安全衛生責任者教育の修了状況安衛法第60条、平成13年3月26日改正の通達
8自社が二次下請を使う場合、その安全衛生責任者との連絡方法を決めたか労働安全衛生規則第19条第6号
9協議組織の会議の日程と、作業開始前の打合せの記録方法を確認したか労働安全衛生規則第635条、元方事業者による建設現場安全管理指針

よくある質問

Q. 安全衛生責任者の選任が必要なのはどんな現場ですか。 A. 元請が統括安全衛生責任者を選任しなければならない現場です。元請・下請の作業従事者の合計が常時50人以上、ずい道等の建設・一定の橋梁の建設・圧気工法の仕事では常時30人以上が要件です(労働安全衛生法施行令第7条)。この現場で仕事を自ら行う下請は、次数にかかわらず安全衛生責任者を選任します。

Q. 安全衛生責任者の職務は何ですか。 A. 労働安全衛生規則第19条の6項目です。統括安全衛生責任者との連絡、連絡を受けた事項の関係者への連絡、その事項のうち自社に係るものの実施の管理、自社の作業計画と元請の計画との整合のための調整、混在作業による危険の有無の確認、自社の下請の安全衛生責任者との連絡・調整です。

Q. 安全衛生責任者に資格は必要ですか。 A. 法令上の資格要件はありません。国の通達が安全衛生責任者教育(7時間)や職長・安全衛生責任者教育(14時間)を推進しており、元請の多くが修了証の提出を求めます。職長教育は建設業では事業者の義務です。

Q. 安全衛生責任者は労働基準監督署に届け出ますか。 A. 下請の安全衛生責任者を労働基準監督署に届け出る規定はなく、元請に遅滞なく通報します(労働安全衛生法第16条第2項)。労働基準監督署へは、元請が統括安全衛生責任者などの氏名を報告します(労働安全衛生規則第664条)。

Q. 統括安全衛生責任者と安全衛生責任者の違いは何ですか。 A. 統括安全衛生責任者は元請が選任し、現場全体の協議組織・作業間の連絡調整・巡視などを統括管理します。安全衛生責任者は下請が選任し、統括安全衛生責任者との連絡や自社内への伝達・管理を行う窓口役です。

まとめ

  • 安全衛生責任者は、統括安全衛生責任者が選任される現場で、仕事を自ら行う下請が選任する(安衛法第16条)
  • 選任が必要な人数は常時50人以上、ずい道等・一定の橋梁・圧気工法は常時30人以上(施行令第7条)。一人親方などの個人事業者も含めて数える
  • 職務は労働安全衛生規則第19条の6項目で、すべて元請との連絡・調整と自社内での伝達・確認
  • 資格要件はないが、職長・安全衛生責任者教育(14時間)の受講が一般的。選任したら元請へ遅滞なく通報し、代理者も決めておく

施工計画書に書く安全衛生管理の計画は施工計画書の安全衛生計画 書き方のポイントもあわせてご覧ください。

出典・参考

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