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施工体制台帳の書き方と作成義務|記載事項・添付書類【土木】

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施工体制台帳の書き方と作成義務|記載事項・添付書類【土木】

施工体制台帳は、元請が、下請・孫請を含めて工事に関わる全ての業者の名称・工事内容・工期・技術者・社会保険の加入状況・作業員などを記載し、工事現場ごとに備え置く台帳です(建設業法第24条の8)。 作成義務は、公共工事では下請契約を結べば金額によらず発生し(入札契約適正化法第15条)、民間工事では発注者から直接請け負った特定建設業者の下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になると発生します(建設業法施行令第7条の4、令和7年2月1日施行)。書き方は、建設業法施行規則第14条の2が定める記載事項と添付書類に沿って、下請負人ごとに施工の分担関係がわかるように作ります。

本記事では、作成義務の判定、記載事項と添付書類、再下請負通知との関係、施工体系図、備置き・保存期間を、条文に沿って整理します。

施工体制台帳とは

施工体制台帳は、「誰が、どの部分を、どんな体制で施工しているか」を元請が把握するための台帳です。建設業法第24条の8は、下請負人の商号又は名称、下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置くよう定めています。

用語意味根拠
作成建設業者施工体制台帳を作成しなければならない元請の建設業者施行規則第14条の2第1項第1号
再下請負通知下請負人がさらに下請に出したとき、元請(作成建設業者)にその内容を知らせること建設業法第24条の8第2項、施行規則第14条の4
施工体系図各下請負人の施工の分担関係を表示した図。現場に掲示する建設業法第24条の8第4項、施行規則第14条の6

作成義務:公共工事と民間工事

区分作成義務が生じる条件発注者への提出施工体系図の掲示場所
公共工事発注者から直接請け負った工事で下請契約を締結したとき(金額によらない。一般建設業者も対象)台帳の写しを発注者に提出(発注者が情報通信技術で確認できる措置を講じている場合を除く)工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所
民間工事発注者から直接請け負った特定建設業者で、下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)発注者から請求があれば閲覧に供する工事現場の見やすい場所

ここでいう公共工事は、国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する建設工事です(入札契約適正化法第2条第2項)。公共工事の扱いは、同法第15条第1項が建設業法第24条の8の「特定建設業者」を「建設業者」と、金額の要件を「下請契約を締結した」と読み替えることで定めています。土木工事の多くは公共工事で、下請を1社でも使えば施工体制台帳が必要です。国の工事では、土木工事共通仕様書 1-1-1-13 も、施工体制台帳を作成して工事現場に備え、写しを監督職員に提出すること、施工体制台帳等は原則として電子データで作成・提出することを定めています。

令和7年2月の金額改正(4,500万円→5,000万円)

民間工事の金額要件は、建設業法施行令の改正(令和6年政令第366号)により、令和7年2月1日から次のように引き上げられています。古い資料の金額のまま判定しないよう注意してください。

項目改正前令和7年2月1日以降
施工体制台帳の作成(下請代金の総額)4,500万円(建築一式工事 7,000万円)5,000万円(建築一式工事 8,000万円)
監理技術者の配置(下請代金の総額)4,500万円(建築一式工事 7,000万円)5,000万円(建築一式工事 8,000万円)
主任技術者・監理技術者の専任(請負代金の額)4,000万円(建築一式工事 8,000万円)4,500万円(建築一式工事 9,000万円)

記載事項(施行規則第14条の2第1項)

元請(作成建設業者)と元請が請け負った工事

記載事項書き方のポイント
許可を受けて営む建設業の種類請け負った工事に関わらず、許可を受けている業種を特定・一般の別を明示して書く(国交省通知)
健康保険等の加入状況健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況をそれぞれ書く
工事の名称、内容及び工期内容は、具体的な内容がわかる工種の名称等で書く
発注者と請負契約を締結した年月日、発注者の名称・住所、契約した営業所の名称・所在地営業所は作成建設業者の営業所
発注者の監督員の氏名と通知事項監督員を置く場合
現場代理人の氏名と通知事項現場代理人を置く場合
主任技術者又は監理技術者の氏名、資格、専任か否かの別資格は「1級土木施工管理技士」「実務経験(土木)」のように書く
監理技術者補佐の氏名と資格置く場合
専門技術者の氏名、管理する工事の内容、資格置く場合
建設工事に従事する者に関する事項いわゆる作業員名簿(氏名・生年月日・年齢、職種、社会保険、退職金共済、安全衛生教育、資格)
一号特定技能外国人・外国人技能実習生の従事の状況従事の有無を書く

下請負人と下請負人が請け負った工事(下請負人ごと)

記載事項書き方のポイント
商号又は名称及び住所建設業の許可のない業者も下請負人として記載する
許可番号と、請け負った工事に係る許可業種下請負人が建設業者の場合。例:とび・土工工事業の許可でとび・土工工事を請け負った場合は「とび・土工工事業」
健康保険等の加入状況健康保険、厚生年金保険、雇用保険
工事の名称、内容及び工期請け負った部分の工種がわかるように書く
注文者と下請契約を締結した年月日契約書の日付
注文者の監督員、下請負人の現場代理人の氏名と通知事項置く場合
主任技術者の氏名、資格、専任か否かの別下請負人が建設業者の場合
専門技術者の氏名、管理する工事の内容、資格置く場合
作成建設業者の営業所の名称・所在地作成建設業者が直接請け負わせた工事の場合
建設工事に従事する者に関する事項作業員名簿(書き方は作業員名簿の書き方と記載例)
一号特定技能外国人・外国人技能実習生の従事の状況従事の有無

作業員の「資格」は、本人が希望しない場合は記載しなくてよいとされています(同項第2号チ・第4号チの括弧書き)。添付書類に記載事項が書かれていれば、台帳の該当箇所との関係を明らかにして記載を省略できます(施行規則第14条の5第1項)。

全建統一様式(全国建設業協会の業界標準様式)では、様式第3号が施工体制台帳、様式第1号-甲が再下請負通知書、様式第4号が工事作業所災害防止協議会兼施工体系図、様式第5号が作業員名簿に当たります。安全衛生責任者などの欄は、法令の記載事項に加えて労務安全の管理のために設けられているものです。

添付書類(施行規則第14条の2第2項)

添付書類内容・注意点
請負契約書・下請契約書(建設業法第19条の書面)の写し発注者との契約と、全ての下請契約。民間工事で作成建設業者が注文者でない下請契約は、請負代金の額の部分を除いてよい。公共工事は全ての下請契約で下請代金額を明記
主任技術者・監理技術者の資格を証する書面と、雇用関係を証する書面(又はその写し)専任の監理技術者は監理技術者資格者証の写しに限る。雇用関係は、作成建設業者に雇用期間を特に限定することなく雇用されていることを証する書面
監理技術者補佐の資格を証する書面と、雇用関係を証する書面監理技術者補佐を置く場合
専門技術者の資格を証する書面と、雇用関係を証する書面専門技術者を置く場合

法第19条の契約書面は、同条の記載事項を網羅している必要があり、記載事項を網羅していない注文伝票などは該当しません(国交省通知)。発注者によっては、このほかに社会保険の加入を確認できる書類などの提出を求めることがあるため、特記仕様書や発注者の手引きで確認します。

作成の流れと再下請負通知

順番やること根拠
1作成建設業者に該当したら、遅滞なく下請負人に「作成建設業者の名称」と「再下請負通知が必要な旨・提出場所」を書面で通知し、同じ内容を現場の見やすい場所に掲げる施行規則第14条の3
2元請の事項、請け負った工事の事項を記載し、添付書類をそろえる同 第14条の2、第14条の5第3項
3下請負人がさらに下請に出したら、その都度遅滞なく再下請負通知書が提出される同 第14条の4
4再下請負通知書などをもとに、下請負人ごとに施工の分担関係がわかるよう記載・添付する(再下請負通知書を束ねてもよい)同 第14条の5第2項、国交省通知
5施工体系図を作成し、現場に掲示する法第24条の8第4項、施行規則第14条の6
6公共工事は写しを発注者(監督職員)に提出する入札契約適正化法第15条第2項
7変更があれば、遅滞なく変更年月日を付記して変更後の事項を記載・添付する施行規則第14条の5第4項

台帳の見やすいところに、商号又は名称、許可番号、施工体制台帳である旨を明示します(施行規則第14条の5第3項)。記載事項を電子データで記録し、現場で必要に応じて画面や紙に表示できるときは、その記録で台帳への記載に代えることができます(同第14条の2第3項)。再下請負通知書の書き方は再下請負通知書の書き方と提出のタイミングで解説しています。

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記載例:道路改良工事の下請構成(架空の例)

[元請] 株式会社○○建設(土木工事業・特定)
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  ├─[1次下請] 有限会社A土木(とび・土工工事業)
  |    担当: 土工事(掘削・盛土)
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  ├─[1次下請] 株式会社B舗道(舗装工事業)
  |    担当: 舗装工事
  |    |
  |    └─[2次下請] C工業株式会社(とび・土工工事業)
  |         担当: 既設舗装の取壊し
  |
  └─[1次下請] 有限会社D設備(管工事業)
       担当: 排水構造物工事

この例では、B舗道がC工業に再下請したときに、B舗道が元請に再下請負通知書を提出し、元請はそれをもとにC工業の欄を台帳に加えます。2次・3次と下請が続いても、再下請負通知によって全ての下請負人が台帳に載ります。

記載のポイント

  • 下請負人の許可業種が、請け負った工事の業種と合っているか確認する
  • 2次下請以降も、再下請負通知書をもとに全て記載する
  • 建設業の許可を持たない下請負人も記載する(施工体系図では商号・代表者名と工事内容・工期のみ表示)
  • 建設工事に当たらない資材納入・調査・運搬などに従事する人は、作業員名簿に必ずしも記載する必要はない(国交省通知)

施工体系図の作り方

施工体系図は、施工体制台帳の要約版として樹状図等で作成し、現場に掲示します(国交省通知)。施行規則第14条の6が定める表示事項は次のとおりです。

対象表示する事項
作成建設業者商号又は名称
作成建設業者が請け負った工事工事の名称及び工期、発注者の名称、主任技術者又は監理技術者の氏名、監理技術者補佐の氏名(置く場合)、専門技術者の氏名と管理する工事の内容(置く場合)
現に施工している下請負人商号又は名称、代表者の氏名、一般建設業又は特定建設業の別、許可番号(許可のない業者は商号と代表者名のみ)
下請負人が請け負った工事工事の内容及び工期、特定専門工事の該当の有無、主任技術者の氏名、専門技術者の氏名と管理する工事の内容(許可のない業者は工事の内容と工期のみ)
  • 表示するのは「現にその請け負った建設工事を施工している」下請負人で、請負契約の工期を基準に判断します。工期の進行で表示すべき下請負人が変わったら、速やかに変更します(国交省通知)。
  • 公共工事は、工事関係者が見やすい場所と公衆が見やすい場所の両方に掲示します(入札契約適正化法第15条第1項)。
  • 表示が見にくくならない限り、労働安全など他の目的の図面と兼ねてもかまいません(全建統一様式第4号は災害防止協議会と施工体系図を兼ねた様式)。

備置き・掲示の期間と保存期間

書類期間根拠
施工体制台帳の備置き・施工体系図の掲示工事目的物を発注者に引き渡すまで(契約の債権債務が消滅した場合はその時まで)施行規則第14条の7
施工体制台帳の一部(技術者の氏名・資格、下請負人の名称・許可番号、下請工事の内容・工期、下請の主任技術者の氏名・資格など)引渡し後、営業所の帳簿に添付して5年間保存(発注者と締結した住宅を新築する工事は10年間)施行規則第26条第2項第3号、第28条第1項
施工体系図(作成建設業者)引渡しから10年間保存施行規則第26条第5項第3号、第28条第2項

施工体制台帳を作るときに、帳簿に添付する事項の部分と、それ以外の部分を別紙に分けておくと、引渡し後の帳簿への添付がスムーズです(国交省通知)。

作成義務の判定と提出前チェックリスト

土木工事 業務改善Naviが、建設業法・施行規則・入札契約適正化法の規定を、現場で確かめる順に並べ直したチェックリストです。

順番確認すること根拠
1公共工事か民間工事か入札契約適正化法第2条・第15条
2公共工事:下請契約を1件でも結んだか(結べば作成義務)入札契約適正化法第15条第1項
3民間工事:下請代金の総額が5,000万円(建築一式8,000万円)以上か建設業法施行令第7条の4
4下請負人に作成建設業者である旨と再下請負通知の提出場所を通知・掲示したか施行規則第14条の3
5元請・下請負人ごとの記載事項がそろっているか(作業員名簿を含む)施行規則第14条の2第1項
6契約書面の写し、技術者の資格と雇用関係を証する書面を添付したか施行規則第14条の2第2項
7公共工事で、全ての下請契約の下請代金額が明記されているか国交省通知
8施工体系図を掲示したか(公共工事は公衆が見やすい場所にも)法第24条の8第4項、入札契約適正化法第15条第1項
9公共工事で、写しを発注者に提出したか入札契約適正化法第15条第2項
10変更時に、変更年月日を付記して記載・提出したか施行規則第14条の5第4項、共通仕様書 1-1-1-13

よくあるミスと注意点

  1. 古い金額で判定する:民間工事の作成義務は令和7年2月1日から5,000万円(建築一式8,000万円)以上。4,500万円のままの資料に注意する
  2. 許可業種の不一致:下請負人が、請け負った工事に対応する建設業の許可を持っていない
  3. 2次下請以降の記載漏れ:再下請負通知書の回収漏れで、孫請以下が台帳に載っていない
  4. 技術者の資格・雇用関係の書類不足:資格を証する書面だけで、雇用関係を証する書面がない
  5. 変更時の更新漏れ:下請の追加・技術者の交代があったのに、変更年月日の付記と再提出をしていない
  6. 施工体系図の掲示場所:公共工事で、公衆が見やすい場所に掲示していない

よくある質問

Q. 施工体制台帳はいくらから作成義務がありますか。 A. 公共工事は、下請契約を結べば金額によらず作成義務があります。民間工事は、発注者から直接請け負った特定建設業者が結ぶ下請契約の代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)のときに作成義務があります(令和7年2月1日以降)。

Q. 一次下請も施工体制台帳を作りますか。 A. 作成義務を負うのは元請(作成建設業者)です。下請負人は、さらに下請に出したときに再下請負通知書を元請に提出する義務があり、その内容が施工体制台帳に反映されます。

Q. 施工体制台帳の保存期間は何年ですか。 A. 工事目的物の引渡しまでは現場に備え置きます。引渡し後は、台帳のうち技術者や下請負人に関する部分を営業所の帳簿に添付して5年間(発注者と締結した住宅を新築する工事は10年間)、施工体系図は10年間保存します。

Q. 施工体制台帳は電子データでもよいですか。 A. 記載事項を電子データで記録し、現場で必要に応じて画面や紙に明確に表示できる場合は、その記録で記載に代えることができます(施行規則第14条の2第3項)。国の土木工事では、施工体制台帳等は原則として電子データで作成・提出するとされています(共通仕様書 1-1-1-13)。

Q. 作業員名簿は施工体制台帳に含まれますか。 A. はい。令和2年10月の施行規則改正で、建設工事に従事する者に関する事項が施工体制台帳の記載事項になり、いわゆる作業員名簿は施工体制台帳の一部として作成します。

まとめ

  • 施工体制台帳は、下請・孫請を含む全業者の施工体制を記載し、工事現場ごとに備え置く台帳(建設業法第24条の8)
  • 公共工事は下請契約があれば金額によらず作成し、写しを発注者に提出。民間工事は下請代金の総額5,000万円(建築一式8,000万円)以上で作成
  • 記載事項と添付書類は施行規則第14条の2。下請負人ごとに分担関係がわかるよう、再下請負通知書をもとに作る
  • 施工体系図は現場に掲示し(公共工事は公衆の見やすい場所にも)、引渡し後は台帳の一部を5年、施工体系図を10年保存

施工計画書全体の書き方については、土木工事の施工計画書 完全作成ガイドもあわせてご覧ください。

出典・参考

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