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掘削計画書の書き方|掘削勾配・土留め・湧水対策の記載方法

掘削計画書の書き方|掘削勾配・土留め・湧水対策の記載方法

掘削計画書とは

掘削計画書は、施工計画書の中で掘削作業に関する具体的な施工方法と安全対策を記載する書類です。掘削工事は地山崩壊のリスクがあり、労働安全衛生規則でも詳細な規定が設けられています。

掘削深さが1.5mを超える場合は、法令上も掘削計画の作成が重要な意味を持ちます。

掘削計画書に記載すべき項目

掘削計画書には、以下の項目を記載します。

(1) 掘削箇所の概要

記載項目内容
掘削箇所位置図、平面図、断面図
掘削深さ最大掘削深さ、各断面の掘削深さ
掘削幅設計幅 + 余裕幅
掘削延長施工延長
掘削量掘削土量(m3)
土質ボーリングデータに基づく土質区分
地下水位ボーリングデータに基づく地下水位

(2) 地盤調査結果の整理

掘削計画を立てるためには、地盤情報の把握が不可欠です。ボーリングデータや土質試験結果から以下の情報を整理します。

  • 土質柱状図(各層の土質・層厚・N値)
  • 地下水位の確認(季節変動も考慮)
  • 土質区分(岩盤、砂質土、粘性土、礫質土など)
  • 周辺の既存構造物の基礎深さ

掘削勾配の設定方法

法令に基づく掘削勾配

労働安全衛生規則では、手掘りによる掘削の場合、地盤の種類に応じて以下の法面勾配が定められています。

地盤の種類掘削深さ5m未満掘削深さ5m以上
岩盤(風化していないもの)90度75度
岩盤(風化しているもの)75度65度
35度以下 / 掘削深さ5m未満(5m以上の場合は土留め必要)
砂質土45度35度
粘性土90度(ただし高さ5m未満)75度(5m以上は要検討)
その他45度45度

機械掘削の場合は、上記の基準を参考にしつつ、地盤条件に応じた安全な勾配を設定します。

掘削断面図の作成

掘削断面図には以下の情報を記載します。

  • 設計掘削ライン
  • 法面勾配
  • 掘削底面(床付け面)の高さ
  • 地下水位
  • 既設埋設物の位置
  • 小段の位置(深い掘削の場合)
  • 安全柵の位置

土留め工法の選定

掘削深さや地盤条件によっては、法面掘削ではなく土留め(山留め)が必要になります。

土留め工法の比較

工法適用深さ適用地盤特徴
軽量鋼矢板3m程度まで軟弱地盤を除く簡易な施工、コスト低
鋼矢板(シートパイル)10m程度まで幅広い地盤止水性が高い、振動・騒音あり
親杭横矢板10m程度まで砂質土、粘性土止水性は低い、比較的経済的
SMW(ソイルセメント壁)20m程度まで幅広い地盤止水性が高い、低振動
鋼管矢板20m以上も可幅広い地盤高い剛性と止水性

土留めの設計条件

土留めを採用する場合、以下の設計条件を掘削計画書に記載します。

  • 土圧の算定方法(ランキン土圧、クーロン土圧など)
  • 水圧の考慮
  • 上載荷重(車両荷重、仮置き土砂の荷重)
  • 支保工の種類(切ばり式、アンカー式、自立式)
  • 部材の仕様(矢板の規格、切ばりの断面)

湧水対策の記載方法

地下水位が掘削底面より高い場合、湧水対策が必要です。

排水工法の比較

工法適用条件特徴
釜場排水湧水量が少ない場合簡易で安価、濁水処理が必要
ウェルポイント砂質地盤、掘削深さ6m程度まで地下水位を低下させる、比較的安価
ディープウェル深い掘削、透水性の高い地盤大量の排水が可能、コスト高
薬液注入砂質地盤止水効果が高い、周辺への影響に注意

排水計画の記載事項

排水計画には以下を記載します。

  • 想定湧水量の算定根拠
  • 排水ポンプの仕様(排水能力、台数)
  • 排水経路(排水先の確認、放流先の承認)
  • 濁水処理方法(沈砂池、濁水処理装置)
  • 水質基準の確認(放流先の水質基準)

安全対策の記載

掘削作業における安全対策は特に重要です。以下の項目を必ず記載しましょう。

法面崩壊防止対策

  • 法面勾配の遵守
  • 法面の点検(毎日の作業開始前、大雨後、地震後)
  • 法面への立入禁止措置
  • 亀裂・湧水の変化の監視

重機との接触防止

  • 重機の作業半径内への立入禁止
  • 誘導員の配置
  • 後方確認の徹底(バックモニター等)
  • 立入禁止区域の明示(カラーコーン、バリケード)

埋設物の損傷防止

  • 事前の埋設物調査(試掘含む)
  • 埋設物周辺の手掘り施工
  • 各管理者への立会い依頼

仮設計画との関連については、仮設計画書の書き方も参照してください。

施工管理のポイント

掘削中の管理項目

管理項目管理方法頻度
法面勾配勾配定規で測定掘削進行に合わせて随時
掘削深さレベル測量各断面
地下水位観測井戸毎日
土留め変位傾斜計、変位測定毎日(設置時)
周辺地盤沈下沈下板週1回以上

工事写真の撮影

掘削工事の工事写真は、埋め戻し後には再撮影できないため、撮影漏れに特に注意が必要です。撮影計画の詳細については、施工計画書の完全作成ガイドも参照してください。

まとめ

掘削計画書は、安全で確実な掘削工事を行うための重要な書類です。地盤条件を十分に把握した上で、適切な掘削勾配の設定、土留め工法の選定、湧水対策の計画を行いましょう。

安全対策については、安全衛生計画書の作成ガイドも併せてご確認ください。

掘削計画書の作成でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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