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土木工事の仮設計画書の書き方|土留め・仮設道路・排水
仮設計画書とは
仮設計画書は、施工計画書の一部として「工事を安全かつ円滑に進めるための仮設構造物・仮設設備の計画」を記載する書類です。仮設とは、本設(完成後に残る構造物)とは異なり、工事期間中のみ使用し、完了後に撤去するものを指します。
土木工事では掘削を伴う作業が多く、土留め工や仮設排水の計画が工事の安全性と品質を左右します。
仮設計画書に記載すべき項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仮設構造物 | 土留め工、仮締切、支保工、仮橋 |
| 仮設道路 | 工事用道路、ダンプ搬入路、仮設歩道 |
| 仮設排水 | 排水計画、仮設沈砂池、ポンプ排水 |
| 仮設電力・照明 | 仮設受電、発電機、投光器の配置 |
| 仮設事務所・資材置場 | ヤード計画、仮設事務所、資材保管場所 |
| 仮囲い・安全施設 | 仮囲い、バリケード、注意看板 |
土留め工の計画
土留めが必要な場面
以下の条件に該当する場合、土留め工の設置を検討します。
- 掘削深さが1.5m以上で、法面を確保できない場合
- 道路に近接する掘削で、路面の沈下を防ぐ必要がある場合
- 地下水位が高く、ボイリングやヒービングのリスクがある場合
- 近接する建物や埋設管への影響を防ぐ必要がある場合
土留め工法の種類と選定
| 工法 | 適用条件 | 掘削深さの目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 簡易土留め(軽量鋼矢板) | 軟弱地盤でない、掘削深さが浅い | 3m程度まで | 設置・撤去が容易、コストが低い |
| 鋼矢板工法 | 一般的な土質、地下水あり | 10m程度まで | 止水性が高い、再利用可能 |
| 親杭横矢板工法 | 粘性土、地下水位が低い | 10m程度まで | 止水性は低い、コストが比較的安い |
| 柱列式連続壁(SMW) | 軟弱地盤、近接施工 | 15m程度まで | 止水性が高い、変形が小さい |
| 地中連続壁 | 大深度掘削、重要構造物近接 | 50m以上可 | 高剛性、高止水性、コストが高い |
仮設計画書への記載内容
- 土留め構造図: 平面図、断面図、土留め部材の配置
- 部材の仕様: 鋼矢板の規格(III型、IV型等)、腹起し・切梁の断面
- 施工手順: 打設方法(バイブロハンマー、圧入等)、切梁の架設手順
- 計測管理計画: 変位計測(傾斜計、沈下板)の設置位置と管理基準値
- 撤去計画: 引抜き方法、引抜き後の充填処理
仮設排水の計画
排水計画の考え方
土木工事では、以下の水を処理する必要があります。
| 排水の種類 | 発生原因 | 主な処理方法 |
|---|---|---|
| 湧水 | 地下水の浸出 | ウェルポイント、ディープウェル、釜場排水 |
| 雨水 | 降雨による流入 | 仮設排水溝、仮設沈砂池 |
| 施工排水 | コンクリート養生水、洗浄水等 | 仮設沈砂池、濁水処理装置 |
地下水処理工法の選定
| 工法 | 適用条件 | 特徴 |
|---|---|---|
| 釜場排水 | 湧水量が少ない場合 | 掘削底面に集水ピットを設けポンプで排水。最も簡易 |
| ウェルポイント工法 | 砂質土、掘削深さ5m程度まで | 多数の吸水管を設置し真空ポンプで地下水位を低下 |
| ディープウェル工法 | 掘削深さが大きい、透水性が高い | 大口径の井戸を設けて水中ポンプで揚水 |
仮設排水の記載項目
- 排水計画図: 仮設排水溝、沈砂池、ポンプの配置
- 排水量の算定: 降雨強度、集水面積から流入量を計算
- 沈砂池の容量: 滞留時間から必要容量を算出
- 放流先: 放流先の水路・河川名、放流条件(濁度、pH)
- ポンプの仕様: 排水量に対応するポンプの台数・能力
仮設道路の計画
工事用道路の設計
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 幅員 | 大型車のすれ違いが必要な場合: 6.0m以上、一方通行の場合: 4.0m以上 |
| 縦断勾配 | 12%以下(ダンプトラックの走行を考慮) |
| 曲線半径 | 大型車の場合: 12m以上 |
| 路面 | 砕石敷き(雨天時の泥濘化防止)または鉄板敷き |
| 排水 | 路肩に排水溝を設置し、雨水を処理 |
仮設道路の記載項目
- 配置図: 工事用道路のルート、幅員、接続部の詳細
- 構造図: 路面構造(砕石の厚さ等)、排水処理
- 公道との接続部: 出入口の見通し確保、タイヤ洗浄設備の設置位置
- ダンプルート: 搬出入ルート、通行時間帯、速度制限
- 維持管理: 路面の補修頻度、散水計画(粉じん対策)
仮設電力・照明の計画
仮設電力
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電力需要の算出 | 使用機器の消費電力を積算し、必要な契約電力を算出 |
| 仮設受電 | 電力会社への引込申請、仮設分電盤の設置 |
| 発電機 | 電力引込みができない場合の代替、非常用バックアップ |
| 配線計画 | 仮設配線のルート、漏電防止対策(漏電遮断器の設置) |
夜間照明
夜間施工を行う場合、以下の照明計画を記載します。
- 照度基準: 作業面で50ルクス以上(一般的な屋外作業)
- 投光器の配置: 作業範囲をカバーする投光器の配置図
- 光害防止: 近隣住宅への光漏れを防ぐルーバーの設置
ヤード計画(仮設事務所・資材置場)
記載すべき内容
- 配置図: 仮設事務所、資材置場、重機駐機場所、残土仮置場の配置
- 仮設事務所: 規模(プレハブの大きさ)、設備(電気、水道、トイレ)
- 資材置場: 鉄筋、型枠、管材等の保管方法(シート養生、台木の設置)
- 残土仮置場: 仮置きの高さ制限、流出防止対策
- 重機駐機場: 夜間の施錠、転倒防止措置
ヤード計画の注意点
- 搬入車両の動線と作業員の歩行動線を分離する
- 資材の受入れスペースとクレーンの作業半径を考慮した配置
- 近隣住宅からの距離を考慮(騒音源を住宅から離す)
仮設計画書のよくある不備
- 土留めの計算書がない: 仮設構造物も構造計算が必要
- 排水処理の記載不足: 放流先の管理基準値が未記載
- 撤去計画の記載漏れ: 仮設物の撤去方法・時期が不明確
- 維持管理の未記載: 仮設道路や仮設排水の維持管理方法
- 図面の不備: 仮設構造物の配置図が平面図のみで断面図がない
まとめ
仮設計画は、工事の安全性と施工品質を支える「縁の下の力持ち」です。特に土木工事では、土留め工と仮設排水の計画が工事の成否を左右します。
現場条件をよく調査し、地盤の状態や地下水位、周辺環境に応じた仮設計画を立てましょう。仮設構造物は「仮」とはいえ、不備があれば重大事故につながります。構造計算を含めた確実な計画を心がけてください。
施工計画書全体の書き方については、土木工事の施工計画書 完全作成ガイドもあわせてご覧ください。
