土木工事 業務改善Navi
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公共工事の落札率を上げるための積算と価格戦略

落札率とは

落札率とは、予定価格に対する落札金額の割合です。

落札率(%) = 落札金額 / 予定価格 x 100

公共工事の土木工事では、落札率は80-95%程度が一般的です。落札率が低すぎると利益が出ず、高すぎると他社に負けてしまいます。適正な利益を確保しつつ落札できる価格設定が重要です。

公共工事の価格に関する制度

制度内容該当した場合
予定価格発注者が設定する工事の上限価格これを超えると自動的に失格
最低制限価格一定の割合を下回ると失格自動的に失格(調査なし)
低入札価格調査基準価格一定の割合を下回ると調査対象調査の結果、失格の可能性あり

予定価格と最低制限価格(または低入札価格調査基準価格)の間に落札金額を収める必要があります。

積算精度を上げる5つのポイント

ポイント1: 設計図書を正確に読み解く

積算の基本は、設計図書から正確に数量を拾い出すことです。

よくあるミス対策
数量の拾い漏れチェックリストを使い、工種ごとに漏れなく確認
図面と数量表の不一致疑義がある場合は質問書を提出
仮設工の見落とし現場条件から必要な仮設を洗い出す
条件明示の見落とし特記仕様書、現場説明書を熟読

ポイント2: 現場踏査を丁寧に行う

積算精度を上げる最も効果的な方法は、現場を実際に見ることです。

確認項目積算への影響
搬入経路の状況運搬費、大型車両の通行可否
現場周辺の環境騒音・振動対策費、作業時間制限
地盤の状態掘削方法、地盤改良の要否
仮設ヤードの確保仮設費、材料置場の費用
既設構造物の状況撤去費、養生費

ポイント3: 最新の単価を適用する

単価の種類出典更新頻度
公共工事設計労務単価国土交通省毎年2月
建設物価(一財)建設物価調査会毎月
積算資料(一財)経済調査会毎月
メーカー見積各メーカー随時

設計図書で指定されている単価の出典と時期を確認し、最新の情報を反映しましょう。

ポイント4: 間接工事費を適正に計上する

間接工事費(共通仮設費、現場管理費、一般管理費)は、国土交通省の積算基準で率が定められています。

費目内容注意点
共通仮設費仮設事務所、安全施設等積上げと率計算のどちらが有利か検討
現場管理費現場監督の人件費等率計算が一般的
一般管理費本社経費、利益率の範囲内で自社の実態に合わせる

ポイント5: 積算ソフトを活用する

手計算ではミスが発生しやすいため、積算ソフトの活用を検討しましょう。

積算ソフト特徴
ATLUS国交省の積算基準に対応、自治体版もあり
Gaia中小企業向け、操作がシンプル
建設大臣豊富な単価データベース

過去の落札データを分析する

落札率を上げるためには、過去のデータ分析が欠かせません。

分析すべきデータ

データ分析の目的
過去の落札率発注機関ごとの落札率の傾向
競合他社の入札金額競合の価格水準の把握
予定価格と設計金額の関係予定価格の推定精度向上
不落案件のデータ積算の乖離が大きい案件の特徴

予定価格の推定

予定価格は非公表の場合も多いですが、以下の情報から推定できます。

  • 設計金額: 公表されている場合、予定価格に近い金額
  • 同種工事の過去実績: 類似条件の過去案件の落札率
  • 発注機関の傾向: 自治体ごとの価格設定の傾向

過去の入札データは有料入札情報サービスで効率的に収集できます。

価格戦略の考え方

適正な利益率の確保

落札を優先するあまり利益を削りすぎると、施工品質の低下や赤字工事につながります。

利益率の目安状況
10-15%理想的な利益率
5-10%最低限確保すべき利益率
5%未満赤字リスクが高い

案件ごとの戦略

全ての案件で同じ価格戦略を取る必要はありません。

案件の重要度戦略
受注実績が欲しい案件利益率を抑えて競争力のある価格に
得意な工種の案件自社の強みを活かした効率的な施工で利益確保
工期に余裕がない案件リスクを上乗せした価格設定
遠隔地の案件運搬費・宿泊費等の追加コストを反映

ダンピングのリスク

極端に低い金額での入札(ダンピング)は、以下のリスクがあります。

  • 低入札価格調査の対象となり失格の可能性
  • 赤字工事による経営悪化
  • 施工品質の低下による工事成績評定点の下落
  • 次年度以降の入札参加への悪影響

落札率向上のためのPDCAサイクル

ステップ内容
Plan入札案件の選定、目標落札率の設定
Do積算の実施、入札書の提出
Check落札結果の分析、他社との比較
Act積算方法の改善、単価データの更新

毎回の入札結果を記録・分析し、積算精度を継続的に向上させることが、落札率向上の最も確実な方法です。

まとめ

公共工事の落札率を上げるには、積算精度の向上と過去データの分析が鍵です。現場踏査による正確な条件把握、最新単価の適用、競合分析を組み合わせ、適正な利益を確保しつつ競争力のある価格を設定しましょう。

入札準備の全体像は公共工事の土木入札 完全ガイドで確認できます。

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