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入札不調・不落はなぜ起きる?土木工事業者の視点で解説

入札不調・不落とは

入札不調と不落は、入札が成立しない状態を指しますが、その原因が異なります。

用語意味
入札不調入札に参加する業者がいない(応札者ゼロ)
不落(不落札)入札参加者はいたが、全員が予定価格を超えたため落札者が決まらない

いずれの場合も、発注者は再入札や随意契約への切替えなどの対応を取ることになります。

入札不調・不落の発生状況

近年、土木工事の入札不調・不落は増加傾向にあります。特に地方の小規模工事や、災害復旧工事で顕著です。

工事の種類不調・不落の発生率の傾向
国直轄の大型工事比較的低い
都道府県の中規模工事やや増加
市町村の小規模工事増加傾向
災害復旧工事高い発生率

入札不調が起きる5つの原因

原因1: 技術者の不足

建設業界全体で技術者の高齢化と若手不足が深刻化しています。公共工事では主任技術者または監理技術者の専任配置が必要なため、技術者を確保できない工事には参加できません。

問題具体的な状況
高齢化技術者の平均年齢が上昇し、退職者が増加
若手不足建設業への入職者が減少
専任要件1人の技術者が複数現場を兼務できない
資格者不足1級施工管理技士の合格者数が需要に追いつかない

原因2: 作業員(技能者)の不足

技術者だけでなく、現場で実際に作業する技能者の不足も深刻です。

  • 型枠工、鉄筋工、とび工などの専門工種で人手不足
  • 高齢化による退職と若年入職者の減少
  • 繁忙期(4-6月、10-12月)に特に不足が顕著

原因3: 発注者の積算と実勢価格の乖離

発注者の積算が実際の施工費用と乖離している場合、予定価格内では利益が出ないため応札を見送ります。

乖離が生じやすい費目原因
労務費公共工事設計労務単価と実際の支払い額の差
資材費資材価格の急激な変動に単価更新が追いつかない
運搬費遠隔地や搬入困難な現場での追加コスト
仮設費現場条件に応じた仮設が積算に反映されていない

原因4: 工期の不足

年度内に完了させる必要がある工事では、発注時期が遅く工期が短いケースがあります。短い工期で施工するにはコストが増加するため、応札を見送る判断になります。

原因5: リスクの高い工事条件

以下のような条件がある工事は、応札を見送る業者が多くなります。

リスク要因内容
地盤条件の不確実性地質調査が不十分で、施工時に想定外の地盤が出る可能性
交通規制の制約夜間施工が必要、作業時間が限られる
近隣対応住宅密集地での騒音・振動クレームのリスク
設計の未確定要素施工中の設計変更が予想される

不落が起きる原因

不落の場合、応札者はいるものの全員の入札金額が予定価格を超えています。主な原因は以下の通りです。

原因詳細
予定価格の算定が古い最新の資材価格や労務費が反映されていない
特殊な施工条件積算基準では想定していない施工方法が必要
スライド条項の未適用物価変動に対応する条項が適用されていない
設計の不備設計図書の記載と現場条件の乖離

入札不調・不落への発注者側の対応

不調・不落が発生した場合、発注者は以下の対応を取ります。

対応内容
再入札同条件で再度入札を実施
予定価格の見直し積算を見直して予定価格を再設定
工期の延長余裕のある工期に変更
発注ロットの見直し工事を分割または統合
随意契約特定の業者と直接交渉(法定要件あり)

土木工事業者側が取るべき対応

応札できる体制を整える

  • 技術者の計画的な配置: 年間の受注計画に基づき、技術者の配置を最適化
  • 資格取得の促進: 経審のP点対策にもつながる
  • 協力会社ネットワークの構築: 繁忙期に対応できる協力会社を確保

発注者への意見提出

入札条件に問題がある場合は、質問書や意見提出を通じて発注者に改善を求めましょう。

  • 積算の乖離がある場合: 具体的なデータに基づく指摘
  • 工期が不十分な場合: 実際の施工に必要な日数の根拠を示す
  • 不明確な設計の場合: 質問書で設計意図を確認

不調・不落後の随意契約を活用する

不調・不落の後に随意契約へ移行する場合、交渉の余地が生まれます。

  • 適正な価格での受注が可能
  • 工期や施工条件の交渉もしやすい
  • ただし、受注判断は慎重に行うこと

まとめ

入札不調・不落は、人手不足や積算の乖離など構造的な問題が背景にあります。業者側としては、応札体制の整備と発注者への適切な情報提供を通じて、受注機会の拡大を図りましょう。

入札参加の全体像については公共工事の土木入札 完全ガイドで確認できます。

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