建設リサイクル法の届出|対象建設工事の規模と分別解体の実務
建設リサイクル法の届出は、対象建設工事の発注者(自ら施工する場合は自主施工者)が、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事(建築主事を置く市区町村の区域では原則としてその市区町村長)に行うものです(第10条)。 土木工事などの建築物以外の工作物の工事は、特定建設資材(コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート)を用いる・使う工事で、請負代金500万円以上(税込)が対象建設工事になり、受注者には分別解体等と再資源化が義務付けられます。
元請業者は、契約前に発注者へ書面で分別解体等の計画などを説明し(第12条)、再資源化等が完了したら発注者へ書面で報告します(第18条)。国・地方公共団体が発注する工事は、届出に代えて都道府県知事等への通知になります(第11条)。
建設リサイクル法とは
建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)は、一定規模以上の建設工事で、特定建設資材の廃棄物を現場で分別し(分別解体等)、再資源化することを義務付けた法律です。土木工事では、舗装の撤去、コンクリート構造物の取壊し、擁壁・水路・橋梁の撤去や新設などで対象になる場面が多くあります。
対象建設工事の規模基準(届出が必要な工事)
規模基準の一覧(施行令第2条)
| 工事の種類 | 規模の基準 |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積の合計80㎡以上 |
| 建築物の新築・増築工事 | 床面積の合計500㎡以上 |
| 建築物の修繕・模様替等工事(リフォーム等) | 請負代金の額1億円以上 |
| 建築物以外の工作物の工事(土木工事等) | 請負代金の額500万円以上 |
- 請負代金の額は税込で判断します(国交省「建設リサイクル法 質疑応答集」Q42)。
- 発注者が材料を支給する場合は、支給材料の市場価格等を請負代金に加えた額で判断します(同 Q43)。
- 同じ者が二以上の契約に分割して請け負う場合は、正当な理由がない限り一の契約とみなして判断します(施行令第2条第2項)。
- 道路工事のように同一路線上で複数箇所の工事を行う場合は、一連の工事単位ごとに判断します(同 質疑応答集)。
- 都道府県は条例で、これより厳しい規模基準を定めることができます(法第9条第4項)。現場の都道府県の窓口で確認してください。
特定建設資材(施行令第1条)
| 特定建設資材 | 土木工事での主な発生場面 |
|---|---|
| コンクリート | 無筋コンクリート構造物の取壊し、舗装版の撤去 |
| コンクリート及び鉄から成る建設資材 | 鉄筋コンクリート構造物・二次製品の撤去 |
| 木材 | 木製の仮設材・構造物の撤去 |
| アスファルト・コンクリート | 舗装の切削・打換え |
土木工事の該当判定早見表
土木工事 業務改善Naviが、上の規定を「判定の順番」に並べたものです。
| 判定の順番 | 確認すること | 該当すれば |
|---|---|---|
| 1 | 工事が建築物以外の工作物(道路・水路・擁壁・橋梁など)の解体または新築等か | 2へ |
| 2 | 特定建設資材(コンクリート、コンクリート及び鉄、木材、アスファルト・コンクリート)を用いた工作物の解体、またはそれを使う新築等か | 3へ |
| 3 | 請負代金(税込、支給材料を含む)が500万円以上か | 対象建設工事。届出(国・自治体発注は通知)が必要 |
| 4 | 都道府県の条例で別の規模基準がないか | 条例の基準で判断 |
届出の手続き
届出の流れと期限
| 手順 | 内容 | 主体 | 時期・根拠 |
|---|---|---|---|
| 1. 事前調査 | 工作物と周辺の状況、作業場所、搬出経路などの調査 | 元請業者 | 計画段階(施行規則第2条) |
| 2. 事前説明 | 解体する工作物の構造、使う特定建設資材の種類、着手時期と工程の概要、分別解体等の計画、資材の量の見込みを書面で説明 | 元請業者から発注者へ | 契約前(第12条第1項) |
| 3. 契約 | 分別解体等の方法、解体工事に要する費用、再資源化等をする施設の名称・所在地、再資源化等に要する費用を契約書面に記載 | 発注者・受注者 | 契約時(第13条) |
| 4. 届出 | 届出書と分別解体等の計画等を提出 | 発注者(自主施工者) | 工事着手の7日前まで(第10条第1項) |
| 5. 下請への告知 | 届け出られた事項を下請負人に告げる | 元請業者など | 下請契約時(第12条第3項) |
| 6. 変更の届出 | 届出事項のうち省令で定める事項を変更するとき | 届出をした者 | 変更に係る工事着手の7日前まで(第10条第2項) |
- 工事着手とは、実際に現場で新築・解体等の工事を始める日です。仮設が必要な場合は仮設工事を始める日で、除草などの準備工事は含まなくてよいとされています(質疑応答集 Q51)。
- 届出書には元請業者の情報を書くため、契約前には届出できません(同 Q50)。
- 届出の内容が分別解体等の基準に適合しないときは、都道府県知事等は受理日から7日以内に限り計画の変更などを命じることができます(第10条第3項)。
届出書に書く事項(第10条第1項)
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 解体する工作物の構造 | 解体工事の場合 |
| 使用する特定建設資材の種類 | 新築工事等の場合 |
| 工事着手の時期及び工程の概要 | 着手予定日、工程 |
| 分別解体等の計画 | 工程ごとの作業内容と分別解体等の方法(手作業か、手作業・機械作業の併用か) |
| 建設資材の量の見込み | 解体工事の場合、工作物に用いられた建設資材の量 |
| その他主務省令で定める事項 | 発注者・元請業者の氏名(名称)・住所など、様式に定める事項 |
質疑応答集(Q78)には、契約書面の「分別解体等の方法」の記載例として、建築物以外の工作物の工事を「仮設」「土工」「基礎」「本体構造」「本体付属品」「その他」の工程に分け、それぞれ手作業か手作業・機械作業の併用かを記載する例が示されています。届出書の分別解体等の計画も、同じ工程の区分で考えると整理しやすくなります。
届出先と届出者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出先 | 都道府県知事。建築主事を置く市町村・特別区の区域内の工事は、原則としてその市町村長・区長が受理する(施行令第9条。工事の対象によって例外あり) |
| 届出者 | 発注者または自主施工者 |
| 代理での届出 | 元請業者などが代理人として届け出る場合の委任状の扱いは、都道府県・市区町村ごとに異なる(質疑応答集 Q47) |
| 国・地方公共団体の工事 | 届出に代えて、あらかじめ都道府県知事等へ通知する(第11条) |
届出窓口は自治体ごとに異なるため、国土交通省が公表している都道府県別の届出窓口一覧で確認してください。
分別解体等の方法
工作物の解体の順序
建設リサイクル法施行規則では、建築物以外の工作物の解体工事は、次の順序で行うものとされています(環境省「建設リサイクル法施行規則について」)。
| 順序 | 作業内容 |
|---|---|
| 1 | さく、照明設備、標識などの附属物の取り外し |
| 2 | 工作物のうち基礎以外の部分の取り壊し |
| 3 | 基礎及び基礎ぐいの取り壊し |
着手前には、工作物と周辺の状況、作業場所、搬出経路、付着物の有無などを調査し、分別解体等の計画に反映します。
分別のポイント
| 資材 | 分別時の注意点 |
|---|---|
| コンクリート塊 | アスファルト塊と混ぜない。鉄筋などの金属と分ける |
| アスファルト塊 | コンクリート塊と混ぜない。路盤材と分ける |
| 建設発生木材 | 防腐処理された木材などは、受入れ先の条件を確認して他の木材と分けて扱う |
| 金属くず | 種類ごとに分ける |
| 建設汚泥 | 産業廃棄物として扱い、受入れ先・処理方法を事前に決める |
分別解体等ができない場合
分別解体等の義務は「正当な理由がある場合を除き」課されるもので(第9条第1項)、分別しないことを届け出て免除を受ける仕組みはありません。分別解体等の方法に迷う場合は、届出前に都道府県等の窓口に相談します。都道府県知事は、正当な理由なく分別解体等をしない受注者に、方法の変更などを命じることができます(第15条)。
再資源化等の義務
再資源化の方法
対象建設工事受注者は、分別解体等で生じた特定建設資材廃棄物を再資源化しなければなりません(第16条)。
| 特定建設資材廃棄物 | 主な再資源化の方法 | 主な再生品 |
|---|---|---|
| コンクリート塊 | 破砕・選別 | 再生砕石(路盤材など) |
| アスファルト・コンクリート塊 | 破砕・選別 | 再生アスファルト混合物の材料、再生砕石 |
| 建設発生木材 | 破砕(チップ化) | 木質ボードの原料、燃料など |
縮減で足りる場合(建設発生木材のみ)
再資源化に代えて縮減(焼却・脱水・圧縮などで大きさを減らすこと)で足りるのは、指定建設資材廃棄物である木材が廃棄物となったものだけです(施行令第5条)。コンクリート塊・アスファルト塊には縮減の特例はありません。
木材について縮減で足りるのは、次の場合です(施行規則、質疑応答集 Q91)。
- 工事現場から50km以内に再資源化を行う施設がない場合
- 工事現場から再資源化施設まで運搬する道路が整備されておらず(離島で船舶輸送が必要な場合など)、縮減のための運搬費用が再資源化のための運搬費用より低い場合
距離の基準は、都道府県が条例で別に定めることができます(第17条)。
完了報告と記録(第18条)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報告者 | 対象建設工事の元請業者 |
| 報告先 | 発注者(書面。発注者の承諾があれば電子的方法も可) |
| 時期 | 特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したとき |
| 記載事項 | 再資源化等が完了した年月日、再資源化等をした施設の名称及び所在地、再資源化等に要した費用(質疑応答集 Q95) |
| 記録 | 元請業者は再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、保存する |
| 発注者 | 報告を受けて、再資源化等が適正に行われなかったと認めるときは、都道府県知事に申告して適当な措置を求めることができる |
完了した年月日は、マニフェストに記載された再資源化施設での処分終了日と考えてよいとされています(同 Q96)。国の工事では、土木工事共通仕様書 1-1-1-22 により、マニフェストで適正処理を確かめて監督職員に提示し、再生資源利用促進計画・実施書を提出します。
罰則
| 違反内容 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 第10条の届出(変更の届出を含む)をしない、または虚偽の届出 | 20万円以下の罰金 | 第51条 |
| 届出後の計画変更命令(第10条第3項)に違反 | 30万円以下の罰金 | 第50条 |
| 分別解体等の命令(第15条)、再資源化等の命令(第20条)に違反 | 50万円以下の罰金 | 第49条 |
| 第18条の記録を作成しない、虚偽の記録、保存しない | 10万円以下の過料 | 第53条 |
法人の業務に関して違反した場合は、行為者のほか法人にも罰金刑が科されます(第52条)。
実務チェックリスト
| 時期 | チェック項目 | 根拠 |
|---|---|---|
| 計画時 | 対象建設工事か(工作物は請負代金税込500万円以上、条例の基準も確認) | 施行令第2条、法第9条第4項 |
| 契約前 | 発注者に分別解体等の計画などを書面で説明したか | 第12条第1項 |
| 契約時 | 契約書面に分別解体等の方法、解体工事の費用、再資源化施設、再資源化費用を記載したか | 第13条 |
| 着手7日前まで | 発注者の届出(国・自治体発注は通知)が済んでいるか | 第10条・第11条 |
| 下請契約時 | 下請負人に届出事項を告げたか | 第12条第3項 |
| 施工中 | 附属物、基礎以外、基礎・基礎ぐいの順で取り壊しているか | 施行規則 |
| 施工中 | 特定建設資材廃棄物を種類ごとに分別しているか | 第9条 |
| 搬出時 | 再資源化施設へ搬出し、マニフェストで処理を確認しているか | 第16条、廃棄物処理法 |
| 完了時 | 発注者へ書面で完了報告し、記録を作成・保存したか | 第18条 |
建設発生土を搬出する工事は、建設リサイクル法とは別に資源有効利用促進法の省令による再生資源利用促進計画などが必要です。手続きは残土処理計画書の書き方で解説しています。
よくある質問
Q. 土木工事は請負金額いくらから建設リサイクル法の届出が必要ですか。 A. 特定建設資材を用いた工作物の解体、または特定建設資材を使う新築等で、請負代金が税込500万円以上の工事が対象です。都道府県の条例で別の基準がある場合はそれに従います。
Q. 届出は誰が、いつまでに出しますか。 A. 発注者(自主施工者)が、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事等に届け出ます。元請業者が代理で提出する場合の委任状の扱いは自治体ごとに異なります。
Q. 公共工事でも届出は必要ですか。 A. 国の機関や地方公共団体が発注する場合は、届出に代えて、あらかじめ都道府県知事等に通知します(第11条)。元請業者による契約前の書面説明(第12条)は公共工事でも必要です。
Q. 舗装の切削だけでも対象になりますか。 A. アスファルト・コンクリートは特定建設資材なので、工作物の工事として請負代金が税込500万円以上であれば対象建設工事になります。
Q. 完了報告には何を書きますか。 A. 再資源化等が完了した年月日、再資源化等をした施設の名称と所在地、再資源化等に要した費用を書き、元請業者から発注者へ書面で報告します。
まとめ
- 土木工事など工作物の工事は、特定建設資材を用いる・使う工事で請負代金が税込500万円以上なら対象建設工事
- 届出は発注者(自主施工者)が工事着手の7日前までに都道府県知事等へ。国・自治体発注は通知
- 元請業者は契約前の書面説明、下請への告知、完了時の書面報告と記録の保存を行う
- 縮減で足りるのは建設発生木材だけで、50km以内に再資源化施設がない場合など
建設リサイクル法の遵守は、施工計画書の段階から廃棄物の処理計画を盛り込んでおくと漏れを防げます。騒音・振動など他の環境対策は環境保全計画書の書き方で解説しています。
出典・参考
- 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第9条〜第18条、第49条〜第53条(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000104 - 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令 第1条(特定建設資材)、第2条(建設工事の規模に関する基準)、第5条(指定建設資材廃棄物)、第9条(市町村の長による事務の処理)(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000495 - 国土交通省「建設リサイクル法の対象となる建設工事では届出が必要です!」(対象工事の規模、7日前までの届出)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d11pdf/recyclehou/todokede/todokede10.pdf - 国土交通省建設業課「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」(Q42 税込、Q43 支給材料、Q47 委任状、Q50・Q51 届出の時期と工事着手、Q77・Q78 契約書面、Q91 縮減、Q95・Q96 完了報告)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d11pdf/recyclehou/qanda/qanda2.pdf - 環境省「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)施行規則」について(工作物の解体の順序、縮減の距離基準50km、完了報告の記載事項)
https://www.env.go.jp/press/3188.html - 国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和8年3月」第1編 第1章 第1節 1-1-1-22 建設副産物
https://www.mlit.go.jp/tec/r08dobokukoujikyoutsuusiyousyo/honbun01_syo01_setsu01.html
いまの課題に近いものはどれですか?
選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。
お使いの業務に合う機能と、無料体験の内容をご確認いただけます。




