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点群データの活用法|ドローン測量後の実務フロー

点群データの活用法|ドローン測量後の実務フロー

点群データとは

点群データとは、対象物の表面上にある無数の点の座標(X、Y、Z)を記録したデータです。ドローン測量やレーザースキャナーで取得でき、地形や構造物の形状を3次元的に再現できます。

土木工事では、施工前の現況把握、施工中の出来形管理、完成時の検査など幅広い場面で活用されています。本記事では、ドローン測量で点群データを取得した後の実務フローを中心に解説します。

点群データ取得から活用までの全体フロー

ステップ作業内容使用するもの
(1) 撮影ドローンで対象エリアを空撮UAV(ドローン)
(2) 写真解析撮影画像からSfM処理で点群を生成SfMソフトウェア
(3) 点群処理ノイズ除去、座標補正、間引き点群処理ソフト
(4) 3次元モデル化TIN(不整三角形網)の作成3次元設計ソフト
(5) 出来形管理設計データとの比較、ヒートマップ作成出来形管理ソフト
(6) 帳票出力出来形管理資料の作成帳票ソフト

ドローン測量による点群取得のポイント

ドローン測量の基本については関連記事で詳しく解説していますが、点群データの品質を確保するためには撮影段階でいくつかの注意が必要です。

項目推奨値・条件理由
ラップ率(進行方向)80%以上重複が少ないと点群に穴ができる
サイドラップ率60%以上隣接コース間の結合精度を確保
対地高度50mから100m程度低すぎると撮影枚数が増え処理が重くなる
標定点(GCP)の配置4点以上、均等配置座標精度の確保に必須
天候晴れまたは曇り影が強いと解析精度が落ちる

点群データの処理手順

(1) SfM処理(写真から点群を生成)

SfM(Structure from Motion)処理では、複数の写真から各点の3次元座標を算出します。処理には専用ソフトウェアを使い、通常は数時間から1日程度かかります。

主なSfMソフト特徴
Metashape(旧PhotoScan)高精度、業界標準
Pix4Dmapperクラウド処理に対応
DJI TerraDJIドローンとの連携が容易
Open Drone Mapオープンソース、無料

(2) ノイズ除去とフィルタリング

SfM処理で生成された点群には、植生や車両など不要な点(ノイズ)が含まれます。以下の処理で地表面のデータだけを抽出します。

  • 植生の除去(グラウンドフィルタリング)
  • 移動物体(車両、人)の除去
  • 明らかな外れ値(飛び点)の除去
  • 必要に応じたデータの間引き(密度調整)

(3) 座標の補正

標定点(GCP)の座標を基準にして点群全体の位置精度を補正します。補正後は既知点との座標差が許容値(一般的にプラスマイナス50mm)以内であることを確認します。

3次元モデルへの変換

点群データをそのまま使うこともできますが、出来形管理やMC/MG建機での活用にはTIN(不整三角形網)モデルへの変換が必要な場合があります。

データ形式特徴主な用途
点群(LAS/LAZ)大量の点の座標データ現況把握、変状確認
TIN点を三角形で結んだ面データ出来形管理、土量計算
DEM(数値標高モデル)グリッド状の標高データ地形解析、等高線作成
コンター(等高線)標高ごとの等高線図面表現

出来形管理への活用

3次元出来形管理では、設計データ(設計面)と実測データ(点群から作成したTIN)を比較し、施工精度を面的に評価します。

比較結果の表示方法

表示方法内容活用場面
ヒートマップ設計面との差を色で表示面的な施工精度の確認
断面比較任意の断面で設計値と実測値を比較従来管理との対比
数値一覧各管理断面での計測値を表形式で出力帳票作成

ヒートマップでは、設計面より高い部分を暖色、低い部分を寒色で表示するのが一般的です。規格値(例:プラスマイナス50mm)を超える箇所が一目で分かるため、手直しの判断が迅速にできます。

点群データの管理と保存

点群データはファイルサイズが大きくなりやすいため、保存と管理のルールを事前に決めておくことが重要です。

管理項目推奨内容
ファイル形式LAS形式(汎用性が高い)またはLAZ形式(圧縮)
ファイル命名工事名_測量日_区間名(例:A工事_20260410_No1-No5)
保存場所NASまたはクラウドストレージ(二重バックアップ推奨)
保存容量の目安1回の測量で数GBから数十GB
保存期間工事完成後5年以上(発注者の規定に従う)

ICT施工全体の中での位置づけ

点群データはICT施工の「測量」と「出来形管理」の段階で中心的な役割を果たします。取得した点群から3次元モデルを作成し、MC/MG建機への入力データや出来形管理の基準データとして活用する流れが一般的です。

点群データ活用時の注意点

注意点内容
植生の影響草木が繁茂している時期は地表面の取得精度が落ちるため、伐採後に測量するか冬季に実施する
水面の反射水たまりや河川の水面ではドローン写真の解析がうまくいかないことがある
データ量の増大高密度で取得すると処理に時間がかかるため、目的に応じた密度設定が必要
ソフトウェアの互換性点群データのフォーマットがソフトウェア間で異なる場合があるため、LAS形式での受け渡しを推奨

まとめ

ドローン測量で取得した点群データは、適切な処理を経ることで出来形管理や土量算出、施工シミュレーションなど多方面に活用できます。SfM処理、ノイズ除去、座標補正の各段階で品質を確認し、正確な3次元モデルを構築することが重要です。

まずは自社の測量データを点群処理ソフトで開いてみるところから始めてみてください。

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