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推進工法の種類と選定ガイド|泥水式・泥土圧式・刃口式

推進工法の種類と選定ガイド|泥水式・泥土圧式・刃口式

推進工法とは

推進工法は、地上から発進立坑と到達立坑を築造し、発進立坑内に設置したジャッキで管を地中に押し込んで管路を構築する非開削工法です。道路を掘り返さずに上下水道管やガス管などを埋設できるため、交通への影響が少なく、市街地の工事で多く採用されます。

開削工法に比べて技術的な難易度は高いですが、道路占用の制約が厳しい現場や、深い埋設深度が必要な場合に大きなメリットを発揮します。

推進工法の分類

推進工法は管径と切羽の安定方法により、大きく以下のように分類されます。

分類工法名適用管径切羽安定方法
大中口径泥水式推進工法800-3,000mm泥水圧で切羽を安定
大中口径泥土圧式推進工法800-3,000mm掘削土の泥土圧で切羽を安定
大中口径刃口式推進工法800-3,000mm人力・機械で切羽を掘削
小口径小口径管推進工法200-700mm各種方式あり

泥水式推進工法

特徴

泥水式推進工法は、切羽に泥水を送り込み、泥水圧で切羽の安定を図りながら掘削する工法です。

  • 地下水位が高い砂質地盤に適する
  • 切羽安定性が高く、地盤沈下が小さい
  • 泥水処理設備が必要で、設備規模が大きい
  • 環境規制への対応(泥水処理)が必要

施工手順

(1) 発進立坑・到達立坑の築造:鋼矢板やSMW工法で立坑を構築する

(2) 推進設備の据付:元押しジャッキ、泥水処理プラント、送排泥ポンプを設置

(3) 発進:掘進機を発進立坑内にセットし、鏡切りを行って推進を開始する

(4) 掘進:掘進機のカッターで地盤を掘削し、掘削土砂を泥水とともに排出する

(5) 推進管の据付:元押しジャッキで推進管を1本ずつ押し込む。中押しジャッキを使用する場合もある

(6) 到達:掘進機が到達立坑に到達したら、掘進機を撤去する

(7) 管内の清掃・検査

泥土圧式推進工法

特徴

泥土圧式推進工法は、掘削した土砂に添加材を加えて泥土状にし、その泥土圧で切羽を安定させる工法です。

  • 粘性土地盤に適する
  • 泥水処理設備が不要で、設備がコンパクト
  • 掘削土砂を直接搬出するため、排土管理が容易
  • 礫や玉石が多い地盤ではカッターの摩耗に注意

泥水式との比較

比較項目泥水式泥土圧式
切羽安定性砂質土で優秀粘性土で優秀
設備規模大きい(泥水処理設備要)比較的小さい
残土処理泥水と分離後に処理そのまま搬出可能
長距離推進適する中距離まで
曲線施工可能可能

刃口式推進工法

特徴

刃口式推進工法は、先端に刃口を取り付けた推進管を地中に押し込み、管内に入った土砂を人力または機械で排出する工法です。

  • 構造がシンプルで設備費が安い
  • 短距離の推進に適する
  • 切羽が不安定な地盤(砂質土、高水位)では使用困難
  • 自立性のある粘性土地盤で多く採用される

施工手順

(1) 発進立坑の築造 (2) 刃口の取付:推進管先端に刃口を取り付ける (3) 推進:ジャッキで推進管を押し込む (4) 排土:管内に入った土砂を人力(手掘り)またはバキューム装置で排出 (5) 推進管の継ぎ足し:1本の推進が完了したら次の管を継ぎ足す (6) 到達・完了

工法選定のポイント

推進工法を選定する際は、以下の要素を総合的に検討します。

選定要素確認事項
地盤条件土質(砂質土・粘性土・礫)、N値、地下水位
管径小口径(700mm以下)か大中口径か
推進延長短距離(50m以下)か長距離(200m以上)か
線形直線か曲線か
土被り最小土被りの確認(管径の1.5倍以上が目安)
立坑スペース発進立坑・到達立坑の設置スペース
周辺環境地盤沈下の許容値、振動・騒音の規制

品質管理のポイント

管理項目管理基準(目安)
推進方向(水平)設計ラインからプラスマイナス50mm
推進方向(鉛直)設計高さからプラスマイナス50mm
推進力許容推進力以下であること
滑材注入量理論量の1.5-3.0倍を目安
裏込め注入掘削径と管外径の空隙を確実に充填
管の損傷推進完了後に管内を目視またはTVカメラで確認

施工計画書への記載

推進工事の施工計画書には以下の事項を記載します。基本的な構成は土木工事の施工計画書ガイドを参照してください。

  • 工法の選定理由
  • 推進管の規格・数量
  • 立坑の構造と築造方法
  • 掘進機の仕様
  • 推進計画(推進速度、1日の推進量、工程)
  • 測量方法(レーザー測量など)
  • 滑材・裏込め注入計画
  • 泥水管理計画(泥水式の場合)
  • 残土処理計画

まとめ

推進工法は非開削で管路を構築できる優れた工法ですが、地盤条件に応じた工法選定と確実な施工管理が求められます。特に切羽の安定管理と推進方向の管理が品質を左右します。

上下水道の開削工法については管渠工事の施工管理、施工計画全般については上下水道工事の施工計画書も参照してください。

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