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土木工事で多い労災事例と再発防止策
土木工事における労災の現状
建設業は全産業の中でも労働災害の発生件数が多い業種です。中でも土木工事は、掘削作業、重機作業、高所作業など危険を伴う作業が多く、重篤な災害につながりやすい特徴があります。
事故の類型別発生割合
| 事故の類型 | 割合(概算) | 重篤度 |
|---|---|---|
| 墜落・転落 | 約30% | 高い |
| 建設機械等との接触 | 約15% | 非常に高い |
| 土砂崩壊 | 約10% | 非常に高い |
| 飛来・落下 | 約10% | 中程度 |
| 転倒 | 約10% | 低~中程度 |
| 激突され | 約8% | 中程度 |
| 挟まれ・巻き込まれ | 約7% | 高い |
| その他 | 約10% | -- |
類型別の労災事例と再発防止策
(1) 墜落・転落事故
事例: 橋梁補修工事において、足場上で型枠の解体作業中に作業員が高さ8mの足場から墜落し、死亡した。安全帯(旧規格の胴ベルト型)を使用していたが、フックを掛けていなかった。
| 原因 | 再発防止策 |
|---|---|
| フルハーネスの未使用 | フルハーネス型の使用を徹底 |
| フックの未掛け | 二丁掛けの義務化、掛け替え手順の教育 |
| 作業床の不備 | 隙間・段差のない作業床の確保 |
| 安全意識の不足 | KY活動での墜落リスクの確認 |
(2) 建設機械との接触事故
事例: 下水道管の埋戻し作業中、バックホウが旋回した際に、死角にいた作業員と接触した。誘導員が配置されていなかった。
| 原因 | 再発防止策 |
|---|---|
| 誘導員の未配置 | 重機作業時の誘導員配置を義務化 |
| 立入禁止区域の未設定 | 旋回範囲内の立入禁止措置 |
| 死角の認識不足 | 重機の死角を作業員全員に教育 |
| 後方確認カメラ未設置 | バックカメラ、センサーの装着 |
(3) 土砂崩壊事故
事例: 開削工事(掘削深さ3m)で、土留め工を設置せずに掘削していたところ、掘削面が崩壊し作業員が埋没した。前日に降雨があり地盤が軟弱化していた。
| 原因 | 再発防止策 |
|---|---|
| 土留め工の未設置 | 掘削深さに応じた土留め工の設置 |
| 降雨後の点検不足 | 降雨後の地山の安全確認を徹底 |
| 作業主任者の未選任 | 地山の掘削作業主任者の選任 |
| 掘削面の勾配不適切 | 法令基準に基づく安全勾配の確保 |
(4) 飛来・落下事故
事例: クレーンでコンクリートブロックを吊り上げ中、ワイヤーロープが切断し、ブロックが落下して下にいた作業員に直撃した。
| 原因 | 再発防止策 |
|---|---|
| ワイヤーロープの劣化 | 始業前点検でワイヤーロープの状態を確認 |
| 吊り荷の下への立入り | 吊り荷の下の立入禁止を徹底 |
| 玉掛け方法の不備 | 玉掛け技能講習修了者による作業 |
| 荷重の過大 | 吊り荷の重量確認と定格荷重の遵守 |
(5) 酸素欠乏・中毒事故
事例: 既設マンホール内での配管接続作業中、作業員が酸素欠乏により意識を失った。酸素濃度の測定を行わずに入坑していた。救助に入った別の作業員も二次災害で被災した。
| 原因 | 再発防止策 |
|---|---|
| 酸素濃度の未測定 | 入坑前の酸素・硫化水素濃度測定の徹底 |
| 換気の未実施 | 強制換気装置の設置 |
| 監視人の未配置 | 坑外に監視人を常時配置 |
| 救助方法の未教育 | 二次災害防止を含む緊急時対応訓練 |
(6) 交通事故
事例: 道路改良工事の規制帯内で作業中、一般車両が規制帯に侵入し作業員と接触した。規制帯の設置が基準より短く、車両の減速が不十分だった。
| 原因 | 再発防止策 |
|---|---|
| 規制帯の設置不備 | 基準に基づく規制帯の設置 |
| 誘導員の注意力低下 | 交代要員の確保、休憩の確保 |
| 保安設備の不足 | 回転灯、LED看板の追加設置 |
| 反射ベスト未着用 | 高視認性の反射ベスト着用を徹底 |
再発防止のための取り組み
(1) リスクアセスメントの実施
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 危険の洗い出し | 各作業工程の危険要因を特定 |
| リスクの見積り | 危険の重篤度と発生頻度を評価 |
| 優先度の決定 | リスクの大きさに基づき対策の優先順位を決定 |
| 対策の実施 | 本質的対策、工学的対策、管理的対策、保護具の順で対策 |
(2) ヒヤリハット活動
ヒヤリハット(事故には至らなかったが、危険を感じた事象)の報告・共有を日常的に行います。
- ヒヤリハット報告書の様式を整備する
- 報告しやすい雰囲気づくり(報告者を責めない)
- 月1回程度、収集事例の分析と対策検討を行う
- 対策結果を全作業員にフィードバックする
(3) 安全教育の充実
労災が発生した場合の対応
| 手順 | 対応内容 |
|---|---|
| (1) 被災者の救護 | 応急処置、救急車の手配 |
| (2) 二次災害の防止 | 作業中止、危険区域の立入禁止 |
| (3) 関係者への連絡 | 発注者、労働基準監督署、警察 |
| (4) 現場の保存 | 事故状況の記録(写真、図面) |
| (5) 労災届の提出 | 労働者死傷病報告の提出(休業4日以上は遅滞なく) |
| (6) 原因究明 | 事故原因の調査・分析 |
| (7) 再発防止策 | 対策の策定と全現場への水平展開 |
労災事故をゼロにするためには、日々の安全活動の積み重ねが不可欠です。安全衛生責任者を中心に、現場全体で安全意識を高めていきましょう。
