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法面保護工の種類と選定方法|植生工・モルタル吹付・アンカー

法面保護工の種類と選定方法|植生工・モルタル吹付・アンカー

法面保護工とは

法面保護工は、道路や宅地造成などで発生する切土面・盛土面の崩壊を防ぎ、安定を確保するための工事です。法面の地質、勾配、高さ、周辺環境に応じて最適な工法を選定する必要があります。

本記事では、法面保護工の種類と選定のポイントを解説します。

法面保護工の分類

法面保護工は大きく植生による保護工構造物による保護工に分かれます。

分類工法主な目的
植生工種子散布工、客土吹付工、植生基材吹付工、張芝工風化・侵食防止、緑化
構造物工モルタル吹付工、コンクリート吹付工、石張工、ブロック張工風化防止、湧水対策
抑止工アンカー工、ロックボルト工、杭工すべり面のせん断抵抗力増加
抑制工排水工(水抜きボーリング等)、押え盛土工地下水の排除、安定化
落石対策工落石防護網工、落石防護柵工、ロックシェッド落石の捕捉・防護

植生工の種類と特徴

工法適用勾配特徴コスト目安(/m2)
種子散布工1:1.5以上(緩い)最も安価。良質な表土がある場合500-1,000円
客土吹付工1:1.0-1:1.5種子と客土を混合して吹付1,500-3,000円
植生基材吹付工1:0.8-1:1.2生育基盤材を厚く吹付3,000-6,000円
張芝工1:1.0-1:1.5即効性がある。景観に優れる2,000-4,000円
植生マット工1:1.0-1:1.5マットに種子を装着。施工が容易1,500-3,000円

植生工の選定では、法面の地質(土質か岩質か)、勾配、日照条件、降水量を考慮します。岩質の法面では根系が発達しにくいため、植生基材吹付工など厚層の工法を選ぶ必要があります。

モルタル・コンクリート吹付工

適用条件

  • 風化しやすい岩盤や軟岩の法面
  • 湧水がある法面(水抜きパイプを併設)
  • 植生が期待できない急勾配の法面

施工手順

(1) 法面の清掃・浮石除去 (2) 水抜きパイプの設置(湧水がある場合) (3) ラス金網(菱形金網)の張付け (4) アンカーピンの打設(1.0-2.0本/m2) (5) モルタル(またはコンクリート)の吹付(厚さ50-100mm) (6) 表面仕上げ (7) 養生

モルタル吹付工の品質管理

管理項目管理基準
吹付厚さ設計厚さ以上(検測ピンで確認)
圧縮強度18N/mm2以上(材齢28日)
ラス金網の被り金網が吹付面のほぼ中央に位置すること
水抜きパイプ2-4本/m2(湧水量に応じて)

アンカー工

アンカー工は、不安定な法面をグラウンドアンカーで固定する抑止工です。すべり面が明確な場合に適用されます。

アンカー工の構成

部位役割
アンカー頭部法面への定着部(受圧板、コンクリート反力体)
自由長部引張力を伝達する区間(地山との付着なし)
アンカー体(定着部)地山との定着区間(グラウト注入)
テンドン引張力に抵抗する鋼材(PC鋼より線等)

アンカー工の設計・施工の留意点

  • すべり面の位置と方向を正確に把握すること
  • アンカー体は安定した地盤に定着させること(すべり面を十分に貫通)
  • 緊張力の管理(設計アンカー力の確認試験を実施)
  • 排水対策と併用することで効果が高まる
  • 長期的な維持管理(リフトオフ試験による緊張力の確認)

工法選定のフローチャート

法面保護工の選定は、以下の手順で行います。

(1) 法面の状態を調査(地質、勾配、高さ、湧水の有無)

(2) 安定性の検討(円弧すべり解析等)

(3) 安定性が不足する場合 → 抑止工(アンカー工等)または抑制工(排水工等)を検討

(4) 安定性が確保されている場合 → 風化・侵食防止のための保護工を選定

(5) 植生の成立が可能か → 可能なら植生工、困難ならモルタル吹付工等

(6) 落石のリスクがあるか → ありなら落石対策工を追加

工法選定の比較表

条件推奨工法
緩勾配・良質土種子散布工、張芝工
中勾配・普通土客土吹付工、植生基材吹付工
急勾配・岩質モルタル吹付工、コンクリート吹付工
すべりの危険性ありアンカー工、ロックボルト工+排水工
落石の危険性あり落石防護網工、ロックシェッド
景観配慮が必要植生工(緑化を優先)

施工計画書への記載事項

法面保護工の施工計画書には、以下を具体的に記載しましょう。

  • 法面の現況(地質、湧水、既存の変状)
  • 工法の選定理由(比較検討の結果)
  • 施工手順と使用機械
  • 品質管理項目と管理基準値
  • 排水計画(法面上部・法肩の排水処理)
  • 安全対策(高所作業、落石防止、親綱の設置)

まとめ

法面保護工は、法面の状況に応じた適切な工法選定が品質と安全を左右します。植生工で対応できる範囲かどうかを最初に判断し、必要に応じて構造物工や抑止工を組み合わせることがポイントです。施工後の維持管理も含めたトータルコストで検討することをお勧めします。

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