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年度末の工事ラッシュを乗り切る工程管理と体制づくり

年度末の工事ラッシュを乗り切る工程管理と体制づくり

年度末の工事ラッシュとは

公共工事は年度単位で予算が執行されるため、3月末の年度末に向けて工事の完成が集中します。この時期は「年度末ラッシュ」と呼ばれ、人員不足、資材不足、品質管理の低下など多くの課題が発生しやすくなります。

本記事では、年度末の工事集中を乗り切るための工程管理のポイントと体制づくりについて解説します。

年度末に発生しやすい課題

課題具体的な影響発生しやすい時期
人員不足熟練工・作業員の確保が困難1月から3月
資材不足コンクリートや骨材の供給遅延2月から3月
生コン車の手配難プラントの予約が取れない2月から3月
品質管理の低下急ぎの施工による確認不足2月から3月
安全管理の低下疲労蓄積、過密スケジュール1月から3月
書類整理の遅れ施工に追われて書類が後回しに3月

工程管理のポイント

(1) 年度末から逆算した工程計画

年度末に工事が集中しないよう、年度当初の段階で完成時期から逆算した工程計画を立てることが基本です。

時期工程管理のアクション
4月から5月年間工程の作成、クリティカルパスの確認
6月から8月梅雨・台風を考慮した工程調整
9月から10月中間進捗の確認、遅延があれば回復計画を策定
11月から12月年度末に向けた最終調整、資材の先行発注
1月から2月残工事の集中管理、人員体制の強化
3月完成検査の準備、書類の最終整理

工程表の作り方の記事で、クリティカルパスの考え方を詳しく解説しています。

(2) マイルストーンの設定

工程の途中にマイルストーン(中間目標)を設定し、各段階での進捗を確認します。

マイルストーンの例確認する内容
土工完了掘削・盛土が設計どおりに完了しているか
構造物の躯体完了コンクリート構造物の打設が完了しているか
舗装完了路盤工・舗装工が完了しているか
付帯工完了防護柵、区画線など付帯設備が完了しているか
検査準備完了書類、写真、出来形資料が整っているか

(3) 遅延が発生した場合の対応策

対応策内容注意点
作業員の増員応援の手配、二次下請の活用品質管理者の目が届く範囲にする
作業時間の延長早朝・夕方の作業時間拡大労働基準法の遵守、騒音規制の確認
休日作業土曜日の作業実施労働者の疲労管理、割増賃金の計算
工法の変更より効率的な工法への変更発注者との協議が必要
工区の分割複数班による並行施工作業の干渉に注意

体制づくりのポイント

人員確保の工夫

時期取り組み
年度初め年度末に必要な人員数を概算で把握
半年前下請業者・職人と年度末の作業予定を共有
3か月前具体的な人員配置計画を作成、予約を確定
1か月前最終的な人員配置の確認、不足がある場合は追加手配

年度末は全国的に人員が不足するため、早い段階で下請業者と調整しておくことが重要です。

資材の先行手配

資材先行手配のポイント
生コンクリート2月から3月の打設予定を12月までにプラントに連絡
アスファルト合材舗装時期が集中するため早めに予約
骨材需要増で品不足になるため余裕を持って発注
鋼材納期が長い場合があるため早期発注
二次製品(U字溝など)在庫がなくなるため早めに確認・発注

品質管理を落とさないために

年度末の忙しさから品質管理がおろそかになるケースがあります。以下のポイントに注意してください。

リスク対策
出来形管理の確認漏れ管理基準値のチェックリストを現場に掲示
工事写真の撮り忘れ撮影計画表をもとに毎日確認
コンクリートの養生不足養生期間のカレンダーを作成し管理
材料の品質証明書の不備搬入時に必ず証明書を受領・確認
段階確認の省略発注者との確認スケジュールを事前に調整

書類整理を後回しにしない

年度末に最も苦労するのが書類整理という現場も多いです。施工と並行して書類を整理するための工夫をしておきましょう。

取り組み内容
日次での写真整理撮影した日にフォルダ分類と台帳入力を完了させる
週次での書類チェック毎週末に施工記録と管理資料の進捗を確認
月次での出来形整理月ごとに出来形管理資料を完成させる
デジタルツールの活用写真管理アプリやクラウドで効率化する

業務効率化の方法の記事も参考にしてください。

繰越制度の活用も選択肢に

年度末までに完成が見込めない場合は、無理に突貫工事を行うのではなく、繰越制度を活用することも検討してください。繰越により工期を延長することで、品質と安全を確保しながら施工を完了できます。

ただし繰越には手続きと承認が必要なため、工期に不安がある場合は早い段階で発注者に相談することが重要です。

まとめ

年度末の工事ラッシュを乗り切るためには、年度当初からの計画的な工程管理、早い段階での人員・資材の確保、日々の品質管理と書類整理の徹底が求められます。突貫工事に頼らず、余裕を持った工程で品質と安全を確保することが、結果的に手戻りのない効率的な施工につながります。

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