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建設現場の熱中症対策|屋外作業の注意点とWBGT活用法

建設現場の熱中症対策|屋外作業の注意点とWBGT活用法

建設業における熱中症の現状

建設業は、全産業の中で熱中症による死亡者数が最も多い業種です。屋外での肉体労働が中心であり、直射日光やアスファルトからの輻射熱にさらされるため、熱中症リスクが非常に高い環境にあります。

土木工事では特に以下の作業で熱中症リスクが高まります。

  • 舗装工事(アスファルト合材の温度は150度C前後)
  • コンクリート打設作業(長時間の連続作業)
  • 掘削作業(風通しの悪い掘削底面での作業)
  • 法面作業(直射日光を遮るものがない)
  • 交通誘導(長時間の立ち仕事)

WBGT(暑さ指数)とは

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)は、気温だけでなく湿度や輻射熱も考慮した暑さの指標です。単位は度Cですが、気温とは異なる値を示します。

WBGTの算出要素

要素影響重み(屋外)
湿球温度(湿度)発汗による冷却効果0.7
黒球温度(輻射熱)日射や地面からの熱0.2
乾球温度(気温)外気温0.1

湿度の影響が最も大きいことがポイントです。気温がそれほど高くなくても、湿度が高い日は熱中症リスクが高まります。

WBGT基準値と作業区分

WBGT基準値(度C)身体作業強度対応する作業例
25極重作業重量物の人力運搬
26重作業スコップによる穴掘り
28中程度作業シャベルでの土砂かき
30軽作業軽い手作業、歩行
31安静デスクワーク

暑さに慣れていない作業者(暑熱順化していない者)は、基準値を更に下げて管理する必要があります。

具体的な熱中症対策

(1) 作業環境の管理

対策具体的な方法
WBGT測定作業場所にWBGT計を設置し、定期的に測定
日よけの設置テント、タープ、パラソルの設置
休憩場所の確保エアコン付き休憩所、日陰の休憩スペース
散水作業場所への散水による温度低下
送風機スポットクーラー、大型扇風機の設置

(2) 作業管理

対策具体的な方法
作業時間の短縮WBGT値に応じて連続作業時間を制限
休憩時間の確保1時間に1回以上の休憩(15~20分)
作業時間のシフト暑い時間帯(10:00~15:00)を避けた作業計画
交代制の導入高温作業の交代要員を確保
暑熱順化作業開始から7日間は作業量を段階的に増やす

WBGT値に応じた作業管理の目安

WBGT値(度C)対応
25未満通常作業。水分・塩分補給を励行
25~28注意レベル。定期的な休憩を確保
28~31警戒レベル。連続作業時間を短縮し休憩を増やす
31以上危険レベル。作業の中止を検討。やむを得ない場合は十分な対策を講じる

(3) 健康管理

対策具体的な方法
水分補給15~20分ごとにコップ1杯(200ml程度)の水分摂取
塩分補給塩飴、経口補水液、スポーツドリンクの提供
健康チェック朝礼時の体調確認(睡眠、朝食、飲酒の有無)
体温測定作業前後の体温測定
服装通気性の良い作業服、空調服の着用
帽子つば付きヘルメット、首筋の日除け

(4) 個人の体調管理

以下の状態にある作業員は、熱中症リスクが高いため特に注意が必要です。

  • 前日に深酒をした
  • 朝食を食べていない
  • 睡眠不足
  • 下痢や風邪の症状がある
  • 暑さに慣れていない(入職直後、休暇明け)

熱中症の症状と応急処置

症状の段階

段階症状対応
軽度(I度)めまい、立ちくらみ、筋肉痛、大量の発汗涼しい場所に移動、水分・塩分補給
中等度(II度)頭痛、吐き気、体がだるい、判断力の低下医療機関への受診
重度(III度)意識障害、けいれん、体温40度C以上救急車要請、体を冷やす

応急処置の手順

(1) 涼しい場所に移動させる(エアコンの効いた部屋、日陰)

(2) 衣服を緩め、体を冷やす

  • 首、脇の下、足の付け根を氷嚢やペットボトルで冷やす
  • 水をかけて扇風機で風を当てる

(3) 意識がある場合は水分・塩分を摂取させる

(4) 意識がない、または改善しない場合は直ちに救急車を呼ぶ

現場での管理体制

熱中症予防管理者の選任

現場に熱中症予防管理者を選任し、以下の業務を担当させます。

  • WBGT値の測定と記録
  • 作業時間・休憩時間の管理
  • 作業員の体調チェック
  • 水分・塩分の準備状況の確認
  • 緊急時の対応判断

チェックリスト

チェック項目確認
WBGT計を設置しているか--
日陰の休憩場所を確保しているか--
飲料水・塩飴を十分に準備しているか--
作業時間の制限を設定しているか--
朝礼で体調確認を行っているか--
緊急時の搬送先病院を確認しているか--
KY活動で熱中症リスクを取り上げているか--
新規入場者教育で熱中症対策を説明しているか--

熱中症は、適切な対策により防ぐことができる災害です。安全衛生計画に熱中症対策を盛り込み、現場全体で取り組みましょう。

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