盛土工の法面管理と転圧の品質確保|締固め試験の実務
盛土工事とは
盛土工事は、道路・堤防・造成地などを構築するために土を積み上げて締め固める工事です。土木工事のなかでも最も基本的な工種の一つですが、締固め不足による沈下や法面崩壊などのリスクがあり、品質管理が非常に重要です。
盛土の品質は「いかに適切に締め固めるか」にかかっています。本記事では、盛土の転圧方法と法面管理、そして品質を確保するための締固め試験について解説します。
盛土の施工手順
(1) 基盤面の処理:盛土を行う地盤の表土・草木を除去し、必要に応じて段切りを行う
(2) 盛土材料の搬入:設計で指定された土質材料を搬入する。含水比が適切か確認する
(3) 敷均し:盛土材料を所定の層厚で敷均す。1層の仕上がり厚さは30cm以下が基本
(4) 転圧:振動ローラー、タイヤローラーなどで所定の回数を転圧する
(5) 品質確認:現場密度試験などで締固め度を確認する
(6) 次の層の敷均し・転圧:確認が合格したら次の層に進む
(7) 法面の仕上げ:所定の勾配で法面を成形する
盛土材料と締固め特性
盛土に使用する材料の種類によって、締固め特性が異なります。
| 土質分類 | 締固め特性 | 適性 |
|---|---|---|
| 砂質土 | 締固めやすい、排水性良好 | 盛土材料として最適 |
| 礫質土 | 締固めやすい、強度が高い | 盛土材料として良好 |
| 粘性土 | 含水比の影響大、施工時期に注意 | 条件付きで使用可 |
| ローム | 含水比が高いと軟弱化 | 条件付きで使用可 |
| 有機質土 | 圧縮性が大きい、強度が低い | 盛土材料として不適 |
締固め試験の種類
室内試験
| 試験名 | 目的 | 方法 |
|---|---|---|
| 突固めによる土の締固め試験(JIS A 1210) | 最大乾燥密度と最適含水比を求める | モールドに土を入れ、ランマーで突き固める |
| CBR試験(JIS A 1211) | 路床・路盤の支持力を評価 | 締め固めた供試体にピストンを貫入 |
突固め試験には以下の2つの方法があります。
| 項目 | A法(標準) | E法(修正) |
|---|---|---|
| ランマー質量 | 2.5kg | 4.5kg |
| 落下高さ | 30cm | 45cm |
| 突固め回数 | 25回/層 | 92回/層 |
| 層数 | 3層 | 5層 |
| 適用 | 一般盛土 | 道路路体・路床 |
現場密度試験
| 試験名 | 特徴 | 適用 |
|---|---|---|
| 砂置換法(JIS A 1214) | 精度が高い、基準となる試験 | 全ての盛土 |
| RI法(放射性同位元素法) | 迅速に測定可能、非破壊 | 日常管理に最適 |
締固め管理基準
盛土の締固め管理は、一般的に以下の基準で行います。
| 管理方法 | 管理基準 | 適用 |
|---|---|---|
| 締固め度(Dc) | 90%以上(JIS A 1210のD法基準) | 一般盛土 |
| 締固め度(Dc) | 95%以上 | 道路路床 |
| 空気間隙率(Va) | 2-10% | 道路盛土 |
| 飽和度(Sr) | 85-95% | 道路盛土 |
締固め度(Dc)の計算式:
Dc(%) = (現場の乾燥密度 / 室内試験の最大乾燥密度) x 100
転圧機械と施工方法
| 転圧機械 | 適用土質 | 転圧回数(目安) |
|---|---|---|
| 振動ローラー(10-12t) | 砂質土、礫質土 | 4-8回 |
| タイヤローラー(15-20t) | 砂質土、粘性土 | 6-10回 |
| タンパー(60-100kg) | 狭い場所、法肩部 | 構造物周辺の補助 |
| ブルドーザー(21t) | 含水比の高い粘性土 | 8-12回 |
転圧時の注意点
(1) 1層の敷均し厚さ:締固め後の仕上がり厚さ30cm以下。路床は20cm以下
(2) 含水比の管理:最適含水比付近で転圧する。雨後は含水比が高くなるため注意
(3) 転圧方向:法面に平行に転圧する。法肩部は小型機械で丁寧に転圧
(4) 転圧速度:振動ローラーは2-4km/hが適正
(5) 端部の処理:法肩から余分に敷均し、転圧後に法面を切り取るのが理想
法面管理のポイント
法面勾配の管理
盛土の法面勾配は、盛土高さと土質に応じて設計されます。
| 盛土高さ | 一般的な法面勾配 |
|---|---|
| 5m以下 | 1:1.5-1:1.8 |
| 5-10m | 1:1.8-1:2.0 |
| 10m以上 | 1:2.0以上、小段を設置 |
法面保護工
(1) 植生工:種子吹付け、張芝などで法面を緑化して浸食を防止
(2) 法面排水工:小段排水溝、縦排水溝を設置して法面への浸透水を排除
(3) 法枠工:吹付法枠、プレキャスト法枠で法面を安定化
法面管理での注意事項
- 施工中は法面に雨水が浸透しないようビニールシートで養生する
- 法肩の転圧不足は法面崩壊の原因となるため、入念に転圧する
- 法面の成形は各層の盛り立て時に行い、最終的に設計勾配に仕上げる
施工計画書への記載
盛土工の施工計画書には以下を記載します。基本的な構成は土木工事の施工計画書ガイドを参照してください。
- 盛土材料の土質試験結果(締固め試験、含水比)
- 敷均し厚さ、転圧機械、転圧回数の計画
- 品質管理計画(管理基準、試験頻度、試験方法)
- 法面勾配と法面保護工の計画
- 排水計画(仮排水、法面排水)
- 雨天時の施工中止基準
出来形管理と品質管理の具体的な方法は出来形管理の実務も参照してください。
まとめ
盛土工事の品質は転圧と法面管理で決まります。室内試験で最大乾燥密度を把握し、現場密度試験で締固め度を確認するサイクルを確実に回すことが重要です。法面は施工中から排水対策を行い、崩壊を防止しましょう。
掘削・盛土の基本については土工事の掘削・盛土も併せてご確認ください。
