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鋼矢板の施工方法|バイブロ・圧入・打撃工法の使い分け

鋼矢板の施工方法|バイブロ・圧入・打撃工法の使い分け

鋼矢板とは

鋼矢板(シートパイル)は、継手部分で互いにかみ合わせることで連続した壁体を形成する鋼製の部材です。土留め、止水、護岸、仮締切など土木工事で幅広く使用されます。

鋼矢板の施工では、打設工法の選定が品質・工期・周辺環境への影響を大きく左右します。現場条件に応じた適切な工法を選ぶことが重要です。

鋼矢板の種類

種類断面形状有効幅主な用途
U型(II型,III型,IV型)U字型400mm土留め、護岸
ハット型帽子型900mm護岸、港湾
直線型平板型500mmセル式構造
Z型Z字型630mm大規模構造物
鋼管矢板円筒型-大規模護岸、橋梁基礎

打設工法の比較

項目バイブロハンマー圧入工法打撃工法(ディーゼルハンマー)
原理振動で地盤の摩擦を低減して貫入既設矢板を反力として静的に圧入ハンマーの落下エネルギーで打込む
騒音レベル中程度(80-95dB)非常に小さい(60-70dB)大きい(100-110dB)
振動レベル中程度ほぼなし大きい
施工速度速いやや遅い速い
適用地盤砂質土に最適ほぼ全地盤に対応砂質土、礫質土
硬質地盤補助工法要ウォータージェット併用対応可能
市街地適用条件付き可最適原則不可
コスト中程度やや高い比較的安い

バイブロハンマー工法

施工手順

(1) クレーンとバイブロハンマーの据付:クレーンのブーム長と吊上能力を確認する

(2) 鋼矢板の吊り込み:バイブロハンマーのチャックで鋼矢板の頭部を把持する

(3) 建込み:導材(ガイドビーム)に沿って鋼矢板を所定の位置にセットする

(4) 打設:バイブロハンマーを起動し、振動を与えながら鋼矢板を貫入させる。自重と振動の効果で沈設する

(5) 所定深度の確認:鋼矢板の天端高さと根入れ長を確認する

バイブロハンマーの特徴と注意点

  • 砂質地盤では非常に効率がよく、施工速度が速い
  • 粘性土地盤では貫入が困難になる場合がある
  • 振動が周辺に伝わるため、近接構造物への影響に注意
  • 引抜きにも使用できるため、仮設土留めの転用に適する

圧入工法

施工手順

(1) 初期圧入(サイレントパイラーの据付):最初の数枚は反力が取れないため、反力架台とカウンターウェイトを使用して圧入する

(2) 自走式圧入:既に打設した鋼矢板をクランプで把持し、その引抜き抵抗を反力として次の鋼矢板を圧入する

(3) 圧入:油圧シリンダーで鋼矢板を静的に押し込む。必要に応じてウォータージェットを併用

(4) 機械の自走:圧入が完了したら、機械が既設矢板上を自走して次の圧入位置に移動する

(5) 完了検査:天端高さ、通り、鉛直度を確認する

圧入工法の特徴と注意点

  • 騒音・振動がほぼ発生しないため、市街地や住宅密集地に最適
  • 施工スペースが小さくてよい(矢板幅のスペースで施工可能)
  • 硬質地盤ではウォータージェット併用が必要
  • 施工速度はバイブロや打撃に比べてやや遅い

打撃工法

施工手順

(1) 杭打機の据付:リーダー付き杭打機をセットする

(2) 鋼矢板の建込み:リーダーに沿って鋼矢板をセットする

(3) 打撃:ディーゼルハンマーまたは油圧ハンマーで鋼矢板の頭部を打撃して貫入させる

(4) 深度確認:所定の深度まで打ち込まれたことを確認する

打撃工法の注意点

  • 騒音・振動が大きいため、市街地での使用は制限される
  • 硬質地盤への貫入能力は高い
  • 鋼矢板の頭部損傷に注意(キャップを使用)

施工時の品質管理

管理項目管理基準確認方法
打設位置設計位置からプラスマイナス50mmトランシット測量
天端高さ設計高さからプラスマイナス50mmレベル測量
鉛直度傾斜1/100以内トランシット、下げ振り
根入れ長設計長以上打設記録で確認
継手のかみ合い全延長で確実にかみ合っていること目視確認
壁体の通り設計ラインからプラスマイナス50mm糸張り測量

工法選定のフローチャート

工法の選定は以下の手順で行います。

(1) 周辺環境の確認:住宅密集地か、近接構造物はあるか

(2) 地盤条件の確認:砂質土か粘性土か、硬質層はあるか、地下水位は

(3) 施工条件の確認:施工スペース、工期、矢板の転用の有無

(4) 工法の絞り込み:市街地なら圧入工法、広い敷地ならバイブロ工法が基本

(5) 経済性の比較:絞り込んだ工法でコスト比較を行う

施工計画書への記載

鋼矢板の施工計画書には以下の項目を記載します。施工計画書の基本構成は土木工事の施工計画書ガイドを参照してください。

  • 鋼矢板の種類・規格・枚数
  • 打設工法の選定理由
  • 使用機械の諸元
  • 打設順序の計画図
  • 導材の設置計画
  • 品質管理計画(管理項目、基準値)
  • 騒音・振動対策
  • 近接施工の影響検討(必要な場合)

まとめ

鋼矢板の施工は、工法の選定によって周辺環境への影響、施工品質、コストが大きく変わります。現場条件を十分に調査し、最適な工法を選定しましょう。

土留め工事全体の計画については土留め工の施工手順、河川工事での鋼矢板活用は河川工事の仮締切工法も参照してください。

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