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建設リサイクル法の届出と分別解体の実務ポイント
建設リサイクル法とは
建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)は、建設廃棄物の適正処理とリサイクルの促進を目的とした法律です。一定規模以上の工事では、特定建設資材の分別解体と再資源化が義務付けられています。
土木工事では、コンクリートやアスファルトの取壊し、既設構造物の撤去など、建設リサイクル法の対象となる場面が多くあります。
対象工事の基準
届出が必要な工事の規模
| 工事の種類 | 規模の基準 |
|---|---|
| 建築物の解体 | 床面積の合計80m2以上 |
| 建築物の新築・増築 | 床面積の合計500m2以上 |
| 建築物の修繕・模様替え(リフォーム) | 請負金額1億円以上(税込) |
| その他の工作物に関する工事(土木工事) | 請負金額500万円以上(税込) |
土木工事の場合、請負金額500万円以上の工事が届出の対象です。橋梁の撤去、道路の改良、下水道の敷設替えなど、多くの土木工事が該当します。
特定建設資材
建設リサイクル法で再資源化が義務付けられている資材は以下の4品目です。
| 特定建設資材 | 土木工事での発生場面 |
|---|---|
| コンクリート | 構造物の取壊し、舗装版の撤去 |
| コンクリート及び鉄から成る建設資材 | 鉄筋コンクリート構造物の解体 |
| 木材 | 仮設材の撤去、木製矢板の除去 |
| アスファルト・コンクリート | 舗装の切削・打替え |
届出の手続き
届出の流れ
| 手順 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| (1) 事前調査 | 対象建設資材の有無、工事規模の確認 | 工事計画段階 |
| (2) 分別解体等の計画作成 | 解体方法、分別方法の計画 | 工事計画段階 |
| (3) 届出書の作成 | 所定の様式で届出書を作成 | 着工の7日前まで |
| (4) 届出 | 都道府県知事(市区町村長)に届出 | 着工の7日前まで |
| (5) 届出済シールの掲示 | 現場に届出済みであることを掲示 | 工事期間中 |
届出書の記載項目
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| 工事の名称・場所 | 工事名称、施工場所の住所 |
| 発注者の氏名・住所 | 発注者(施主)の情報 |
| 元請業者の氏名・住所 | 元請業者の情報、建設業許可番号 |
| 工事の概要 | 工事の種類、規模、請負金額 |
| 工程の概要 | 工期、着工予定日 |
| 分別解体等の計画 | 解体方法、分別方法、搬出先 |
| 再資源化等の計画 | 再資源化施設、処理方法 |
届出先
| 届出先 | 条件 |
|---|---|
| 都道府県知事 | 原則 |
| 政令指定都市の長 | 政令指定都市内の工事 |
| 中核市の長 | 中核市内の工事(権限が移譲されている場合) |
届出は発注者(施主)が行うのが原則ですが、実務上は元請業者が代行するケースが多いです。
分別解体の方法
分別解体の手順(土木工事の場合)
| 手順 | 作業内容 |
|---|---|
| (1) 事前調査 | 構造物の種類、使用材料、地下埋設物の確認 |
| (2) 仮設工事 | 防じん対策、飛散防止措置 |
| (3) 付属物の撤去 | 手すり、照明、標識等の撤去 |
| (4) 本体の解体 | 手作業又は機械による分別しながらの解体 |
| (5) 分別・保管 | 資材ごとに分別して仮置き |
| (6) 搬出 | 資材ごとに再資源化施設へ搬出 |
分別のポイント
| 資材 | 分別時の注意点 |
|---|---|
| コンクリート塊 | 鉄筋は分離する。アスファルトと混合しない |
| アスファルト塊 | コンクリートと混合しない。路盤材と分離する |
| 建設発生木材 | CCA処理木材(防腐処理)は分別する |
| 金属くず | 鉄、アルミ、銅など種類ごとに分別 |
| 建設汚泥 | 含水率に応じた処理方法を選定 |
やむを得ず分別できない場合
技術的困難や工事の安全上やむを得ない場合は、正当な理由を付して都道府県知事に届け出ることで、分別解体の義務が緩和される場合があります。ただし、原則は分別解体が義務です。
再資源化の義務
再資源化施設への搬出
特定建設資材の廃棄物は、再資源化施設に搬出して再資源化する義務があります。
| 特定建設資材廃棄物 | 再資源化の方法 | 再生品 |
|---|---|---|
| コンクリート塊 | 破砕 | 再生砕石(路盤材等) |
| アスファルト塊 | 破砕・加熱混合 | 再生アスファルト合材 |
| 建設発生木材 | チップ化 | チップ、ボード原料 |
縮減が認められる場合
再資源化施設が工事現場から一定距離以内にない場合(概ね50km以内に施設がない場合)は、再資源化に代えて**縮減(焼却等による減量化)**が認められます。ただし、コンクリート塊とアスファルト塊は縮減の対象外です。
完了報告
再資源化等の完了報告
| 報告内容 | 詳細 |
|---|---|
| 報告者 | 元請業者から発注者へ報告 |
| 報告時期 | 再資源化等が完了した後、速やかに |
| 報告内容 | 再資源化等の実施状況(搬出先、搬出量、処理方法) |
| マニフェスト | 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しを添付 |
発注者は、元請業者からの報告内容を確認し、適正に再資源化等が行われたことを確認する義務があります。
罰則
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 届出をしなかった場合 | 20万円以下の罰金 |
| 虚偽の届出をした場合 | 20万円以下の罰金 |
| 分別解体等の義務違反 | 命令違反で50万円以下の罰金 |
| 再資源化等の義務違反 | 命令違反で50万円以下の罰金 |
実務チェックリスト
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| 工事が届出対象か確認したか | -- |
| 着工7日前までに届出を完了したか | -- |
| 届出済シールを現場に掲示しているか | -- |
| 分別解体等の計画を作成したか | -- |
| 特定建設資材の分別を適正に行っているか | -- |
| 再資源化施設への搬出記録を保管しているか | -- |
| マニフェストを適正に管理しているか | -- |
| 発注者への完了報告を行ったか | -- |
建設リサイクル法の遵守は、環境負荷の低減と法令遵守の両面で重要です。施工計画書の段階から廃棄物の処理計画を盛り込み、適切な管理を行いましょう。
