管渠工事の施工管理|開削工法の掘削から埋戻しまで
管渠工事とは
管渠工事は、下水道や雨水排水のための管路を地中に構築する工事です。上下水道工事の中核をなす工種であり、掘削から管の布設、埋戻しまで一連の工程を確実に管理する必要があります。
管渠の施工方法は大きく開削工法と非開削工法(推進工法など)に分かれますが、本記事では最も一般的な開削工法について解説します。
開削工法の施工フロー
開削工法の基本的な施工フローは以下のとおりです。
(1) 事前調査(埋設物確認、地盤調査) (2) 掘削(土留めの設置を含む) (3) 基礎工 (4) 管の布設 (5) 管の接合 (6) 埋戻し (7) 路面復旧
事前調査
管渠工事を始める前に、以下の調査を行います。
| 調査項目 | 確認内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 埋設物 | ガス管、水道管、電力ケーブル、通信ケーブル | 各占用企業者への照会、試掘 |
| 地盤条件 | 土質、地下水位、N値 | ボーリング調査、簡易動的コーン貫入試験 |
| 道路条件 | 幅員、交通量、規制条件 | 現地踏査、道路管理者との協議 |
| 地下水 | 水位、透水係数 | 観測井、現地透水試験 |
試掘は埋設物の位置を正確に把握するために極めて重要です。設計図面上の位置と実際の位置がずれていることは珍しくありません。
掘削
掘削の基本
(1) 掘削幅:管の外径に対して左右各30cm以上の余裕を確保する
(2) 掘削深さ:管の底高さに基礎厚さを加えた深さまで掘削する
(3) 土留め:掘削深さが1.5mを超える場合は土留めを設置する。土留めの種類と選定については土留め工の施工手順を参照
(4) 床付け:掘削底面を所定の高さに平坦に仕上げる。軟弱な部分があれば置換える
掘削時の注意点
- 埋設物の近接箇所は人力掘削とする
- 掘削土は搬出するか、埋戻し材として仮置きする
- 地下水が湧出する場合は釜場排水やウェルポイントで対応
- 掘削面の崩壊に注意し、異常があれば直ちに退避
基礎工
管の基礎は管種と地盤条件に応じて選定します。
| 基礎の種類 | 適用条件 | 概要 |
|---|---|---|
| 砂基礎 | 良好な地盤 | 砂を敷均して管を据える |
| 砕石基礎 | 一般的な地盤 | 砕石を敷均して転圧する |
| コンクリート基礎 | 軟弱地盤、大口径管 | 基礎コンクリートを打設する |
| はしご胴木基礎 | 軟弱地盤 | 木材またはコンクリート製の胴木を設置 |
基礎の厚さは一般的に100-200mm程度で、管径や地盤条件に応じて設計されます。
管の布設
管種と特徴
| 管種 | 内径(mm) | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 硬質塩化ビニル管(VU) | 150-600 | 軽量、耐食性、施工容易 | 小口径下水道 |
| 遠心力鉄筋コンクリート管(ヒューム管) | 200-3,000 | 高強度、耐久性 | 中大口径下水道 |
| 強化プラスチック複合管(FRPM) | 200-3,000 | 軽量、耐食性、高強度 | 大口径下水道 |
| ダクタイル鋳鉄管 | 75-2,600 | 高強度、可撓性 | 上水道、圧送管 |
布設の手順
(1) 管を下流側から上流側に向かって布設する(水は上流から下流に流れるため)
(2) 管の方向と勾配をレーザーレベルまたは水糸で管理する
(3) 管底の高さを基礎の上で調整する。管の下部にも確実に砂を充填する
(4) 管の接合は管種に応じた方法で行う(ゴム輪接合、接着接合など)
(5) 取付管の接続位置を確認し、正確に穿孔・接続する
管の接合と検査
| 管種 | 接合方法 | 検査方法 |
|---|---|---|
| 塩ビ管 | ゴム輪接合、接着接合 | 水張り試験、TVカメラ検査 |
| ヒューム管 | ゴム輪接合 | 水張り試験、TVカメラ検査 |
| FRPM管 | ゴム輪接合 | 水張り試験 |
接合部からの漏水は管路全体の機能を損なうため、確実な接合が求められます。
埋戻し
埋戻しは管渠工事の品質を長期間維持するために重要な工程です。
(1) 管周辺の埋戻し:管の左右と上部30cm程度まで砂で埋戻す。管の下部にも隙間なく充填する
(2) 管上部の埋戻し:良質土または発生土で30cm以下の層厚ごとに埋戻し、各層を転圧する
(3) 路面復旧部の埋戻し:路面の沈下を防ぐため、路床部分は締固め度95%以上を確保する
| 埋戻し区分 | 材料 | 締固め度 |
|---|---|---|
| 管周辺(管頂まで) | 砂 | 管を損傷しない程度に転圧 |
| 管頂から路床下面まで | 発生土または良質土 | 90%以上 |
| 路床部分 | 良質土 | 95%以上 |
品質管理のポイント
| 管理項目 | 管理基準 |
|---|---|
| 管底高さ | 設計値からプラスマイナス30mm |
| 管の勾配 | 設計勾配からプラスマイナス10%以内 |
| 管の通り | 設計ラインからプラスマイナス30mm |
| 接合部の止水 | 水張り試験で漏水なきこと |
| 埋戻し密度 | 締固め度90%以上(路床は95%以上) |
| マンホールの位置・高さ | 設計値からプラスマイナス30mm |
施工計画書への記載
管渠工事の施工計画書については、上下水道工事の施工計画書に詳しい記載例があります。基本的な書き方は土木工事の施工計画書ガイドを参照してください。
まとめ
管渠工事は掘削から埋戻しまで多くの工程があり、各段階での確実な品質管理が求められます。特に管の勾配管理、接合部の止水、埋戻しの転圧は管路の長期的な機能を左右する重要なポイントです。
