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地盤改良工法の種類と選定ガイド|軟弱地盤への対応

地盤改良工法の種類と選定ガイド|軟弱地盤への対応

地盤改良工法とは

地盤改良工法は、軟弱地盤を構造物の建設に適した状態に改良するための工法です。道路、堤防、建築物の基礎など、さまざまな土木構造物の基盤として安定した地盤を確保するために実施します。

地盤条件や構造物の種類、施工環境に応じて最適な工法を選定することが重要です。本記事では、主要な地盤改良工法の特徴と選定の考え方を解説します。

軟弱地盤の判定

以下のような地盤は軟弱地盤と判定され、地盤改良の検討が必要です。

指標軟弱地盤の目安
N値(標準貫入試験)粘性土:N値4以下、砂質土:N値10以下
一軸圧縮強度50kN/m2以下
含水比液性限界を超える
有機物含有量高有機質土(腐植土等)
地盤の種類沖積粘土、泥炭、埋立地

地盤調査(ボーリング調査、標準貫入試験、室内土質試験)の結果に基づいて判定します。

地盤改良工法の分類

分類主な工法原理
表層処理工法表層混合処理、サンドマット表層部の強度増加
置換工法掘削置換軟弱土を良質材料に置き換え
圧密・排水工法サンドドレーン、ペーパードレーン、プレロード間隙水の排出促進
締固め工法サンドコンパクションパイル、バイブロフローテーション振動・圧入による密度増加
固結工法深層混合処理(CDM)、薬液注入、石灰パイルセメント等による固結
補強工法ジオテキスタイル、鋼矢板補強材による安定化

主要工法の詳細

表層混合処理工法

項目内容
概要表層の軟弱土にセメント系固化材を混合して固化
改良深度1-3m程度
適用地盤N値3以下の粘性土、含水比の高い土
使用機械バックホウ(混合撹拌)、スタビライザー
固化材セメント系固化材(50-200kg/m3)
コスト目安3,000-8,000円/m3

施工が比較的簡易で、小規模工事に適しています。

深層混合処理工法(CDM工法)

項目内容
概要地盤中にセメント系固化材を注入・撹拌して柱状の改良体を造成
改良深度3-50m程度
適用地盤軟弱粘性土、有機質土
使用機械CDM専用機(撹拌翼付き)
改良体径800-1,600mm
コスト目安5,000-15,000円/m

大規模な土木工事(道路、堤防)で多く採用されています。

サンドドレーン工法

項目内容
概要砂杭を打設して排水路を形成し、圧密を促進
改良深度5-25m程度
適用地盤粘性土(圧密沈下が問題となる場合)
ドレーン径400mm程度
打設間隔1.5-3.0m
コスト目安3,000-6,000円/m

プレロード(盛土荷重)と併用して効果を発揮します。圧密に時間がかかるため、工程に余裕が必要です。

サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)

項目内容
概要振動により砂杭を圧入し、地盤を締め固め
改良深度5-20m程度
適用地盤緩い砂質土(液状化対策)、軟弱粘性土
砂杭径700mm程度
置換率30-80%
コスト目安5,000-10,000円/m

液状化対策としても広く使用されています。

薬液注入工法

項目内容
概要地盤中に薬液(水ガラス系等)を注入して固結
改良深度条件による(10m程度まで一般的)
適用地盤砂質土(止水目的)、砂礫(地下水対策)
注入材水ガラス系(溶液型、懸濁型)
用途トンネル工事の先行注入、シールド発進・到達部
コスト目安条件により大きく変動

上下水道工事の推進工事でも、発進・到達部の地盤改良に使用されます。

工法選定の考え方

選定フロー

(1) 地盤調査結果の確認(土質、N値、含水比、地下水位)

(2) 構造物の要求性能の確認(許容沈下量、支持力)

(3) 施工条件の確認(敷地の広さ、周辺環境、工期)

(4) 適用可能な工法のリストアップ

(5) 技術的比較と経済的比較

(6) 最適工法の選定

条件別の推奨工法

条件推奨工法
改良深度が浅い(3m以下)表層混合処理、置換工法
改良深度が深い(10m以上)深層混合処理、サンドドレーン
液状化対策が必要サンドコンパクションパイル
止水が目的薬液注入、地中連続壁
工期に余裕があるサンドドレーン+プレロード
工期が短い深層混合処理、置換工法
周辺への影響を抑えたい薬液注入、深層混合処理(低変位型)

施工管理のポイント

管理項目内容
固化材の品質種類、配合量、ロットごとの確認
施工記録深度、撹拌回数、注入量のリアルタイム管理
改良体の品質確認コア採取による一軸圧縮強度試験
周辺地盤への影響変位計測(近接構造物がある場合)
地下水の監視水位、水質(pH)の観測
排泥の処理発生土の適正処理

改良後の品質確認として、一軸圧縮強度試験を改良体の頭部・中部・先端部から採取したコアで実施します。設計強度を満たしているか確認しましょう。

環境への配慮

項目対策
六価クロムの溶出セメント系固化材使用時に溶出試験を実施(環境基準:0.05mg/L以下)
地下水への影響pH上昇の監視、中和処理
振動・騒音低振動工法の採用、施工時間の配慮
排泥の処理産業廃棄物として適正処理

特にセメント系固化材を使用する場合は、六価クロムの溶出試験が必須です。事前に配合試験で確認し、基準を超える場合は特殊固化材の使用を検討します。

まとめ

地盤改良工法の選定は、地盤条件、構造物の要求性能、施工条件、コストを総合的に判断して行います。適切な地盤調査に基づき、複数の工法を比較検討した上で最適な工法を選定しましょう。施工後の品質確認と環境対策も忘れずに計画に含めることが重要です。

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