ドローン測量の活用法と導入手順【土木工事】
ドローン測量とは
ドローン(UAV)測量は、無人航空機に搭載したカメラやレーザースキャナーで地形データを取得する測量手法です。従来の測量に比べて広範囲を短時間で測量でき、3次元の点群データとして出力できるため、ICT施工の起工測量や出来形管理に活用されています。
本記事では、土木工事の現場でドローン測量を導入するための実践的な手順を解説します。
ドローン測量と従来測量の比較
| 項目 | ドローン測量 | TS測量 | 地上レーザースキャナー |
|---|---|---|---|
| 測量範囲 | 広い(数ha-数十ha) | 狭い | 中程度 |
| 所要時間(1haあたり) | 30分-1時間 | 半日-1日 | 2-3時間 |
| 精度 | プラスマイナス50mm程度 | プラスマイナス数mm | プラスマイナス数mm |
| データ形式 | 点群、オルソ画像 | 座標点 | 点群 |
| 人員 | 1-2名 | 2-3名 | 2名 |
| 天候の影響 | 風速5m/s以上は困難 | 比較的小さい | 雨天は困難 |
| 植生の影響 | 大きい(地表が見えない) | 小さい | レーザーは透過可能 |
ドローン測量の種類
| 方式 | 概要 | 精度 | コスト |
|---|---|---|---|
| 写真測量(SfM) | 多数の写真から3次元モデルを生成 | プラスマイナス50mm | 低-中 |
| レーザー測量(LiDAR) | レーザーで直接距離を計測 | プラスマイナス30mm | 高 |
| RTK測量対応 | GNSSのRTK測位で高精度な位置情報を取得 | プラスマイナス20-30mm | 中 |
写真測量(SfM方式)が最も普及しており、導入コストも比較的低いため、初めてのドローン測量にはSfM方式をお勧めします。
必要な機材と費用
| 機材 | 用途 | 費用目安 |
|---|---|---|
| ドローン本体(測量用) | 空中写真撮影 | 100-300万円 |
| GNSS受信機(RTK対応) | 対空標識の位置決め | 100-200万円 |
| 対空標識(GCP) | 写真の位置合わせ用 | 1-5万円(10枚セット) |
| SfM解析ソフト | 点群データの作成 | 50-150万円(年間ライセンス) |
| 点群処理ソフト | データの編集・加工 | 30-100万円(年間ライセンス) |
レンタルの場合、ドローン本体は1日5-10万円程度で利用可能です。まずはレンタルで試し、効果を確認してから購入を検討するのが良いでしょう。
導入の手順
ステップ1: 資格・許可の取得
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 操縦ライセンス | 国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)または民間資格 |
| 飛行許可申請 | 航空法に基づく許可・承認(DIPS2.0で申請) |
| 機体登録 | 100g以上のドローンは登録義務あり |
| リモートID | 機体識別情報の発信が義務 |
2022年12月から無人航空機のライセンス制度が開始されました。特に人口集中地区(DID)での飛行や目視外飛行には許可が必要です。
ステップ2: 飛行計画の作成
(1) 現場の確認(飛行空域の制限、障害物、電波環境) (2) 飛行ルートの設定(ラップ率:縦80%、横60%以上) (3) 飛行高度の設定(地上高50-100m程度、地上画素寸法1cm/pixel以下) (4) 対空標識(GCP)の配置計画(測量範囲の外周と内部に均等配置) (5) 飛行日時の決定(天候、風速、日照条件を考慮)
ステップ3: 現場での測量実施
(1) 対空標識の設置とGNSS測量による座標取得 (2) 自動飛行による空中写真撮影 (3) 撮影データの確認(漏れ、ブレの確認) (4) 必要に応じて補足撮影
ステップ4: データ処理
(1) SfMソフトで写真から点群データを生成 (2) GCPによる位置合わせ(精度確認) (3) 不要点(植生、構造物等)のフィルタリング (4) グラウンドデータ(地表面データ)の抽出 (5) TINモデル、等高線、オルソ画像の作成
精度確保のポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| GCPの配置 | 測量範囲の外周+内部に5点以上。均等に配置 |
| ラップ率 | 縦80%以上、横60%以上を確保 |
| 飛行高度 | 一定高度を維持(地形追従が理想) |
| 天候条件 | 曇天が理想(影が少ない)。風速5m/s以下 |
| 検証点の設置 | GCPとは別に精度検証用の点を設置 |
活用事例
事例1: 土量算出
現況地形のドローン測量データと設計データを比較し、切土量・盛土量を自動算出します。従来の横断測量に比べて、面的な土量計算が可能になり精度が向上します。
事例2: 出来形管理
施工後にドローン測量を実施し、3次元の出来形データとして管理します。出来形管理の効率が大幅に向上します。
事例3: 進捗管理
定期的にドローンで空撮を行い、工事の進捗状況を記録します。時系列での比較が容易で、発注者への報告資料としても活用できます。
事例4: 安全管理
法面や高所など、人が近づきにくい箇所の状況確認にドローンを活用します。危険箇所の点検作業が安全に行えます。
注意点と制限事項
- 植生が多い場所では地表面のデータ取得が困難(レーザー測量の検討が必要)
- 雨天・強風時は飛行不可
- 飛行禁止区域(空港周辺、重要施設周辺等)の確認が必要
- バッテリーの持続時間(一般的に20-30分)を考慮した計画が必要
- データ処理には高性能なPCが必要(GPU搭載推奨)
まとめ
ドローン測量は、土木工事の測量業務を大幅に効率化する技術です。初期投資はかかりますが、レンタルから始めることで導入のハードルを下げることができます。ICT施工の第一歩として、まずは起工測量でドローンを活用してみることをお勧めします。
