土工事の掘削・盛土の施工管理|締固め管理と品質確保
土工事の基本
土工事は、土木工事の中で最も基本的な工種の一つです。道路の路体・路床の構築、堤防の築造、宅地の造成など、あらゆる土木工事の基盤となります。
掘削と盛土は一見単純な作業に見えますが、地盤条件や含水比の管理を適切に行わないと、沈下や崩壊といった重大な問題を引き起こします。本記事では、土工事の施工管理のポイントを解説します。
掘削工の施工管理
掘削の分類
| 分類 | 内容 | 主な留意点 |
|---|---|---|
| 切土掘削 | 自然地盤を切り取る | 法面の安定、湧水処理 |
| 開削掘削 | 管路工事等の溝掘り | 土留め、埋設物防護 |
| 浚渫 | 水中の土砂を除去 | 濁水処理、土砂運搬 |
| 岩掘削 | 岩盤の掘削 | 発破・ブレーカーの選定 |
掘削時の安全管理
労働安全衛生規則では、地山の掘削に関して以下の基準が定められています。
| 地山の種類 | 掘削面の勾配基準 |
|---|---|
| 岩盤(硬岩) | 90度(垂直)可能 |
| 岩盤(軟岩) | 75度以下 |
| 砂質土 | 35度以下(掘削面高さ5m以上) |
| その他の地山 | 45度以下(掘削面高さ5m以上) |
掘削面の高さが2m以上になる場合は、地山の掘削作業主任者の選任が必要です。安全管理計画に含めましょう。
機械の選定
| 掘削条件 | 推奨機械 | 備考 |
|---|---|---|
| 広範囲の浅い掘削 | ブルドーザー | 押土距離60m以下が効率的 |
| 溝掘削・積込み | バックホウ | 最も汎用性が高い |
| 広い面積の掘削 | 面整地はモーターグレーダー | 路床・路盤の仕上げに最適 |
| 軟弱地盤の掘削 | 湿地ブルドーザー | 接地圧が低い |
| 長距離の土砂運搬 | ダンプトラック | 運搬距離に応じて容量を選定 |
盛土の施工管理
盛土材料の選定
盛土材料として適している土と適さない土があります。
| 適否 | 土質 | 理由 |
|---|---|---|
| 適する | 砂質土、礫質土 | 締固めやすい、透水性良好 |
| 適する | 良質な山砂 | 安定した品質 |
| 条件付き | 粘性土 | 含水比管理が重要 |
| 不適 | 高有機質土(腐植土) | 圧縮性が大きい |
| 不適 | ベントナイト質粘土 | 膨張性が大きい |
| 不適 | 含水比が極端に高い土 | 締固めが困難 |
締固めの施工要領
(1) まき出し厚さ 1層の仕上がり厚さが30cm以下となるようにまき出します(路体の場合)。路床は20cm以下が一般的です。
(2) 含水比の管理 締固め効果は含水比に大きく左右されます。最適含水比(Wopt)に近い状態で施工することが重要です。含水比が高すぎる場合は、ばっ気乾燥や安定処理を行います。
(3) 転圧回数 試験施工で求めた最適な転圧回数で施工します。一般的な目安は以下の通りです。
| 転圧機械 | 転圧回数の目安 | 適用土質 |
|---|---|---|
| 振動ローラー(10-12t) | 6-8回 | 砂質土、礫質土 |
| タイヤローラー(15-20t) | 8-12回 | 粘性土 |
| ブルドーザー(15-21t) | 8-12回 | 砂質土 |
| タンパー | 適宜 | 狭い箇所、構造物周辺 |
(4) 段差すりつけ 作業を中断する場合は、盛土端部を階段状に仕上げ、次回の施工時に段差をすりつけます。
締固め管理の方法
管理基準値
| 管理項目 | 管理基準(道路土工) |
|---|---|
| 締固め度 | 90%以上(路体)、95%以上(路床) |
| 空気間隙率 | 2-10%(路体)、2-10%(路床) |
| 飽和度 | 85-95% |
品質管理試験
| 試験名 | 目的 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 現場密度試験(砂置換法) | 締固め度の確認 | 1,000m3に1回以上 |
| RI法による密度試験 | 締固め度の迅速確認 | 同上 |
| 含水比試験 | 施工時の含水比確認 | まき出し時に随時 |
| CBR試験 | 路床の支持力確認 | 設計段階+施工時 |
| 平板載荷試験 | 地盤の支持力確認 | 必要に応じて |
施工管理のTS・GNSSの活用
近年はICT施工の普及により、TS(トータルステーション)やGNSS(衛星測位システム)を活用した締固め管理が増えています。
| 管理方法 | 概要 | メリット |
|---|---|---|
| TS・GNSSによる締固め管理 | ローラーの走行軌跡を記録し転圧回数を管理 | 全面の管理が可能、記録が自動化 |
| 従来法(砂置換法等) | 測点ごとに密度試験を実施 | 直接的な密度の確認が可能 |
ICT施工の導入方法については関連記事をご覧ください。
土量配分計画
掘削した土を盛土材料として有効活用するため、土量配分計画(マスカーブ)を作成します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 切土量 | 掘削する土量(地山土量) |
| 盛土量 | 必要な盛土量(締固め後の土量) |
| 変化率L | 地山土量/ほぐし土量(運搬時の増量) |
| 変化率C | 地山土量/締固め後土量(締固めによる減量) |
| 残土処分量 | 切土量-盛土量(変化率補正後) |
| 不足土量 | 盛土量-切土量(変化率補正後) |
土量の変化率は土質によって異なります。砂質土のCは0.85-0.90、粘性土のCは0.80-0.90が一般的な目安です。
まとめ
土工事の品質は、施工後の構造物全体の性能を左右します。特に盛土の締固め管理は、将来的な沈下や崩壊を防ぐために欠かせない工程です。含水比管理と締固め度の確認を確実に行い、品質管理計画に基づいた施工を実践しましょう。
