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土木工事の請求書と出来高調書の書き方

土木工事の請求書と出来高調書の書き方

土木工事の請求書と出来高調書の役割

土木工事、特に公共工事では、工事が完了する前に「出来高」に応じて代金を請求できる仕組みがあります。この際に必要になるのが「請求書」と「出来高調書(出来高報告書)」です。

書類役割
請求書発注者に対して代金の支払いを正式に求める書類
出来高調書請求金額の根拠となる施工出来高を一覧にした書類

出来高調書は請求書の添付書類として提出するのが一般的です。正確に作成することで、スムーズな支払いと資金繰りの安定につながります。

出来高払いの仕組み

公共工事の出来高払いには、いくつかの種類があります。

支払い方法内容請求のタイミング
前払金請負金額の40%以内を先に受領契約後(保証が必要)
中間前払金請負金額の20%以内を追加で受領工期の半分経過後
部分払い(出来高払い)実際の出来高に基づいて請求出来高が一定割合に達したとき
完成払い工事完了後に残額を請求竣工検査合格後

部分払いでは、出来高から前払金相当額を控除した金額が支払い対象となります。計算を間違えると請求のやり直しが必要になるため、正確な計算が求められます。

出来高調書の書き方

基本的な記載項目

項目記載内容
工事名契約書と同一の工事名称
請負金額契約金額(税込)
出来高期間対象期間の開始日と終了日
工種・種別・細別設計書の内訳に合わせた工種分類
設計数量契約上の設計数量
出来高数量実際に完了した数量
出来高率出来高数量 / 設計数量 x 100
出来高金額各工種の出来高に対応する金額
累計出来高金額これまでの出来高の合計金額

記載例

工種細別単位設計数量出来高数量出来高率金額(千円)
土工掘削(機械)m31,5001,20080%2,400
土工盛土m380060075%1,800
擁壁工場所打ち擁壁m503060%4,500
舗装工表層工m22,00000%0
-合計----8,700

作成のポイント

(1) 設計書の内訳と項目を一致させる

出来高調書の工種分類は、設計書(契約書の内訳書)と完全に一致させます。独自の項目を追加したり、項目を省略したりしてはいけません。

(2) 出来高数量は実測に基づく

出来高数量は、実際に施工が完了した数量を記載します。「ほぼ終わっている」は認められず、検査で確認できる状態であることが必要です。

(3) 単位と小数点に注意する

設計書の単位と端数処理のルールに合わせます。m3の小数点以下の桁数やm2の計算方法など、発注者ごとの指定に従いましょう。

請求書の書き方

基本的な記載項目

項目記載内容
宛名発注者名(正式名称)
請求日請求書の作成日
工事名契約書と同一の工事名称
請負金額契約金額(税込)
既支払い額前払金、既受領の部分払い額
今回請求額出来高金額 - 既支払い額の比率按分
消費税税率と消費税額
振込先金融機関名、口座番号

部分払いの請求額の計算式

部分払いの請求金額は以下の計算式で求めます。

部分払い金額 = 出来高金額 x (請負金額 - 前払金) / 請負金額

例えば、請負金額1,000万円、前払金400万円、出来高金額700万円の場合は次のとおりです。

700万円 x (1,000万円 - 400万円) / 1,000万円 = 420万円

この420万円が請求可能な金額となります。

請求から入金までの流れ

ステップ内容目安の期間
(1) 出来高の確認発注者(監督員)と現場で出来高を確認1-2日
(2) 出来高調書の作成確認結果に基づき書類を作成1-3日
(3) 請求書の提出出来高調書を添付して発注者に提出1日
(4) 発注者の審査発注者側で内容を確認1-2週間
(5) 支払い指定口座に入金審査完了後14日以内(公共工事)

全体で3-4週間程度かかるため、出来高が発生したら早めに手続きを始めることが資金繰り改善のポイントです。資金繰り全般については土木工事会社の資金繰り改善 入金サイクルと経費管理で解説しています。

よくあるミスと対策

よくあるミス対策
設計書と工種の項目が不一致設計書の内訳を転記して作成する
出来高数量の計算ミス複数人でダブルチェックする
消費税の計算間違い端数処理のルールを確認する
前払金控除の計算ミス計算式を定型化しておく
請求書の社印・代表者印の押し忘れ提出前のチェックリストを作る

まとめ

土木工事の請求書と出来高調書は、正確に作成することでスムーズな入金を実現し、資金繰りの安定に貢献します。設計書との整合性、出来高数量の正確性、計算式の適用を確認し、ミスのない書類作成を心がけましょう。

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